心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
向田邦子の「思い出トランプ」。13の物語を収めた短編集です。もともと「あ・うん」や「寺内貫太郎一家」「時間ですよ」など伝説的なテレビドラマを手がけた脚本家。その後、小説家としても作品を発表。1980年には、「かわうそ」「犬小屋」「花の名前」という短編の連作で直木賞を受賞。その3つの作品がすべて入っているのが短編集「思い出トランプ」です。「そのどれもが脚本家にしか書けない小説」と小川洋子さん。視点のするどさ。そしてその視点の動きが自由自在。まるでドラマのように、焦点があっていない部分もすべてわかったうえで書かれた小説です。
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