心の本棚にある、たくさんの名作の中から、今週はこちらをご紹介します。
11月23日は、樋口一葉が亡くなった「一葉忌」。その日を前に、樋口一葉の代表作「たけくらべ」を取り上げてみました。5千円札の肖像にもなっている身近な作家でありながら、その作品を読んだことがないという方も多いのでは。というのも樋口一葉が残した小説は「擬古文」という古語を交えた言葉で綴られているため、難しい印象があるからです。
それでも読み始めてみると、言葉の響きだけでも魅力があふれるように伝わってきます。「一文は長いけれど無駄のない文章。その中に潔さを感じる」と小川洋子さん。最初の1ページを読んだだけで、まるで映画の冒頭のように100年以上も前の東京「吉原」の風景が見えてくるのです。
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