2007年11月11日
島尾敏雄 『死の棘』

文庫本にして610ページ。読んでも読んでも出てくるのは、ミホの嘆きと罵倒。時に死を口にする妻に対して夫は詫び続け「努力する」と誓うのです。ではなぜこれほどまでに、島尾敏雄はこのテーマにこだわったのか。「これは葛藤の記録と同時に、二人の愛がどれほど深いかを表した作品」と小川洋子さん。島尾敏雄にとって、生涯のテーマが一番近くにあったこと。それを書いて書いて書き尽くすことで、今までにないあらたな文学の形が完成されてゆきました。そのため読者もそれなりの覚悟が必要。体力と気力のある時に、読み始めることをおすすめします。

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