2007年9月16日
カズオ・イシグロ 日の名残り』

その回想には、長年、仕えた主人のダーリントン卿。偉大な執事でもあった亡き父。そして淡い想いを抱いていた女中頭ミス・ケントンなど様々な人との時間が描かれています。
「その描き方は、まるでゴブラン織りの絨毯のよう。」と小川洋子さん。主人公の想いを
縦糸に英国の伝統や時代の流れを横糸に、丹念に織り込まれた絨毯のように、1ページ1ページ描かれています。

「日の名残り」の作者であるカズオ・イシグロは、生まれてから5歳まで長崎にいたこともあり、遺伝子のどこかに日本人的なものを持っている作家。職人のような丁寧な描き方、そして主人公の精神性。日本人の心にもぴったりとくる外国文学のひとつです。

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