2007年9月2日
田辺聖子
『ジョゼと虎と魚たち』

足が悪く車椅子の生活をしているジョゼ。本が好きで、ジョゼという呼び名もサガンの小説からとったもの。そんな彼女が大学生の恒夫と出会い、やがて一緒に住むようになるまでを描いた物語です。でもその中にあるのは渾然一体となった「生と死」。そして背中合わせの「喜びと死」。この作品の最後に綴られているこんな言葉に出会った時、その真理が心の中に深く広がっていきます。「完全無欠な幸福は、死そのものだった」。

「田辺聖子さんの作品には、人生を楽しむ方向に変えることができる女性が描かれている」と小川洋子さん。この他にも、小川さんのお好きな田辺作品が数多くあるそうです。今後もご紹介していきますので、お楽しみに。

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