第46回 9月1日「イヤホン」前編
2024.09.01
イヤホン開発に生まれたのがヘッドフォン。
それは電話の発明がきっかけでした。
今を遡ること140年ほど前の1880年代に電話が普及し始めます。
当時の電話は人間が交換機のケーブルを繋ぎ変えて
2つの電話機を接続することで話をすることが出来ました。
その作業をする電話交換手が使っていたのが元祖ヘッドフォン。
現在の電話オペレーターが使用するヘッドセットの「聞く」部分の役割です。
程なく、この発明は他の用途に応用されるようになります。
1881年のパリ国際電気博覧会では、劇場やコンサート会場にマイクを置いて
電話回線で離れた場所へオペラや音楽の音情報を送信、
生中継するシステムが発表されました。
そのレシーバー部分が、音楽を聴くヘッドフォンの原型。
両耳に当てるタイプではありましたが
2つのレシーバー部分をバンドで繋いで頭で支えることはせず
支える棒に接続されていて聴診器のように下から耳に当てていました。
その後、1910年代にアメリカの電気技師によって考案されたのが
耳に当てるスピーカー部分をバンドで繋いで頭にセットするタイプ。
やがてレコードやラジオで音楽を聴く趣味が広まると
音響メーカーがこのタイプのヘッドフォンを発売。
音楽鑑賞のツールとして普及します。
時は移って1970年代の終わりに、音楽はポータブルの時代を迎えました。
持ち運べる軽量かつコンパクトな機材でカセットテープに録音した音楽を再生し
街を歩きながら聴くという新しいライフスタイルが爆発的に普及します。
そのために生まれたのがイヤホンであり、
それは日本のメーカーが発明した製品だったのです。