みらい図鑑

VOL.317「タバジビエ」

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山梨県・丹波山村(たばやまむら)。

人口は、わずか550人。

2000mを超える山々に囲まれ、
清らかな水が流れる自然豊かなこの村が大切にしているものは、「狩猟の文化」です。


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農業に適した場所が少なく、
昔から、冬を越えるための十分な食料を確保することができなかった丹波山村。

そのため、命を繋ぐ糧として、
鹿や猪、熊などの山の幸を、狩猟によって得てきました。

これらの野生動物を、村では“山の神様からの授かりもの”として尊ぶ風習が、
現在にも受け継がれています。

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そんな、丹波山村の狩猟文化を知ってもらいたい、
という思いから生まれたジビエのブランドが、「タバジビエ」。

鹿肉を使ったカレーやコロッケ、「そぼろ」など、
加工品の種類もさまざまです。

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「狩猟っていうのは、一人ではできないんですよね。」

そう語るのは、
「タバジビエ」を手がける、保坂幸德(ほさか・ゆきのり)さん。

「たとえば、村の猟師の先輩方は、
獲った動物は余すことなく頂くんだ、と言います。

この村の狩猟は、団結力が素晴らしくて、
ひと山越えたところで誰かが獲ったら、
ひと山越えてでも、みんなで獲りに行くんだ、と教えてくれるんですね。」

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保坂さんは、村に根付いている文化を通して、伝えたい想いがあるといいます。

「いまの若い方は、田舎暮らしに憧れて、こういう山によく来るんですね。
自由にひとりで自然と戯れたいという夢を描いて来るわけですが、
結局、一人でなんて何もできないんですね、こういう村に来ると。

小さい村だけど、みんなが協力してやることで、
一人では出来ないことができるわけですよね。
狩猟をとおして、そういったことを伝えていきたいというか。」

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山の神様からいただいた尊い命を、余すところなく提供することで、
一人でも多くの人に、丹波山村の狩猟文化を知ってもらいたい。

そんな思いからうまれたジビエブランド、「タバジビエ」。

感謝の気持ちを持って美味しく頂くことが、
この村の魅力を未来へ発信することにつながっていきます。