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2024.10.27
守り、つないでいこう!日本の伝統的酒造り
今や海外からも人気の高い日本酒。あなたは日本酒の造り方をご存知でしょうか。
先人たちが培ってきた経験と技術を守り、次世代へつなげていくためにできることとは?
今回は、「守り、つないでいこう! 日本の伝統的酒造り」というテーマで学びました。
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先人たちが培ってきた経験と技術を守り、次世代へつなげていくためにできることとは?
今回は、「守り、つないでいこう! 日本の伝統的酒造り」というテーマで学びました。
(杉浦)
さぁ早速、佳菜子ちゃん、問題です!「ユネスコ無形文化遺産」は、芸能や伝統工芸技術などの形のない文化で、現代まで受け継がれている慣習や知識、技術などと密接に関わっているものを保護し、尊重する機運を高めることを目的に2006年から始まった登録制度です。では現在、その「ユネスコ無形文化遺産」に登録されている日本の文化は、いくつあるでしょうか?
(村上)
えー難しい!でも、「和食」は登録されてますよね。確か「歌舞伎」とかも。15個?
(杉浦)
惜しい!正解は現時点で22件。
(村上)
すごい!結構あるんだ。
(杉浦)
「和食」は2013年に登録されたんだけど、その他、一部の例を挙げますと、「歌舞伎」、「能楽」、「人形浄瑠璃文楽」、「雅楽」とかね、あと、秋田の「男鹿のナマハゲ」とか。来訪神って言うんだけど。来訪神というのは、お正月など年の節目に、人間の世界に来訪するとされる神様のことで、ナマハゲ以外にも、佳菜子ちゃんが大好きな宮古島に「宮古島のパーントゥ」っていう来訪神がいるんだけど、「ユネスコ無形文化遺産」に登録されてます。
(村上)
知らなかった!今度行ったら聞いてみよう。覚えとこ。
(杉浦)
こうした「ユネスコ無形文化遺産」への登録を目指して、現在日本からユネスコに提案しているのが、今日のテーマである日本の「伝統的酒造り」なんです。佳菜子ちゃんは、日本産のお酒が海外で人気だって聞いたことある?
(村上)
もちろんありますよ。外国の選手とかも、試合が終わった後に「ジャパニーズ・サケ」って言って飲んでたりとか。外国のかたにも人気というのはありますよね。
(杉浦)
そうなのよ。日本酒、人気なんだよね。実際、日本産のお酒などの輸出額は近年、増加傾向にありまして、10年前と比べると5倍以上にまで増えているんだって。
(村上)
やっぱり外国人観光客のかたが、日本で飲んだお酒の美味しさを忘れられず、母国に帰ってからも飲んでくれたりとかするのかな。
(杉浦)
僕らがフランス産のワインを飲むみたいな感じだよね。ところが、日本国内の酒などの市場を見ますと、全体として縮小傾向にあるんだって。
(村上)
え、そうなんですか?こんなに海外では人気なのに不思議ですね。
(杉浦)
ここからは、今日の講師に伺っていきましょう。文化庁生活文化連携担当専門官の清水 大樹さんです。
(村上)
清水さん、日本の酒などの市場は縮小傾向ということですが、もう少し詳しく教えてください。
(清水)
はい。縮小傾向の要因は、少子高齢化による人口の減少や、ライフスタイルの変化、嗜好の多様化など、いろいろ考えられます。酒類全体の中でも、とりわけ清酒、いわゆる日本酒は、約50年前のピーク時から出荷数量ベースで4分の1以下にまで減少しています。
(杉浦)
お酒といっても、ビールやワインもありますし、最近は、チューハイとか飲みやすいタイプのお酒も増えてきて、いろいろなお酒がありますしね。
(清水)
そうですね。でも日本酒は地域に根ざした伝統的なお酒で、誇るべきものですし、お祭りや結婚式など社会的・伝統的な行事に欠かせないものです。これからも大切に守り、つないでいきたい日本文化の一つです。
(村上)
つないでいきたいですよね。お正月にはお屠蘇を飲みますし、お祭りの時、お神輿を担いでいる人に日本酒をかけたりしますし、日本酒は日本の文化と密接ですよね。
(清水)
はい。ですから文化庁では、日本の「伝統的酒造り」を守り、次の世代へつないでいくために、2021年に国の無形文化財に登録しました。そして今、国内だけではなく世界に向けて、「ユネスコ無形文化遺産」への登録を目指しているというわけです。
(村上)
そうなんですね。確かに、ユネスコ無形文化遺産に登録されれば、世界中の人に日本酒のことを知ってもらう機会がもっと増えますよね。
(杉浦)
実際に「和食」が登録された時も、海外に日本食のレストランが増えたりとか、日本の農林水産物や食品の輸出額が増えたっていう話も聞いたことがあります。
(村上)
日本の食を目当てに訪れる外国人観光客のかたも増えたように感じますもんね。
(杉浦)
それではここで再び、佳菜子ちゃんに問題です!日本の伝統的酒造りによって作られるのは日本酒以外にもあるんですが、次のうちどれでしょう?「1、焼酎」、「2、泡盛」、「3、みりん」。
(村上)
「2、泡盛」!だって、泡盛は沖縄の文化じゃないですか。
(杉浦)
正解は、清水さんからお願いします。
(清水)
はい。正解は、「全部」です!1番の焼酎には、米焼酎以外に、芋焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎など、米以外を主原料にしているものもあるんですが、そういった焼酎も含めて、全部です。
(村上)
そうか、いろいろありますもんね。日本酒だけじゃなくて、焼酎も泡盛も、みりんも全部という。みりんがなかったら、和食の味は決まりませんよね。日本食を作るとき、使いますもん。料理好きの私としては、さらに、伝統的酒造りに興味が湧いてきました。具体的に、その「伝統的酒造り」って、どういうものなんでしょうか?
(清水)
簡単に言うと、原料である穀物などに含まれるデンプンを糖に変えるときに、こうじ菌を用いていることが最大の特徴で、ちなみに、醤油や味噌も同じく、こうじ菌を用いています。近代科学が成立・普及する以前から、杜氏(とうじ)・蔵人(くらびと)といった職人の皆さんが、経験の蓄積によって探り出し、築き上げてきたお酒造りの技術なんです。
(村上)
日本酒の製造工程はマニュアル化が難しい非常に繊細なものだっていうのは、なんとなく知ってますけど、もう少し詳しく教えていただけますか。
(清水)
はい。日本の伝統的酒造りの技術には大きく三つの工程があります。一つ目の工程は「原料の前処理」です。原料処理の中で米や麦を蒸す工程がありますが、ワインやビールなどのお酒には、原料を蒸す工程がありません。日本の伝統的酒造りでは、蒸すことで、こうじ菌を繁殖しやすくしています。
(杉浦)
原料を酒造りに適した状態にするんですね。
(清水)
はい、そのとおりです。そして、二つ目の工程は「こうじ造り」です。麹室(こうじむろ)と呼ばれる高温多湿の部屋で蒸した原料にこうじ菌の胞子をふりかけ、原料に含まれるデンプンを糖に変える準備を行います。そして、こうじ菌をふりかけた後は、時間をおいてから、木の箱に移して積み上げたり、といった作業が行われます。
(杉浦)
積み上げたら、それで終わり、ではないんですよね。
(清水)
はい。こうじ菌を順調に生育させるためには、繊細な温度管理が必要なため、箱の位置を入れ替えて温度のムラを抑えたり、米をほぐして空気を入れ替えたり、昼夜を問わずに、こうじ造りに向き合います。
(杉浦)
麹室(こうじむろ)で行われる工程は、とても繊細なものなので、作業中は限られた人しか入ることが許されない神聖な場所だそうですよ。では、伝統的酒造りの工程、その三は?
(清水)
「もろみの発酵」です。この発酵は、並行複発酵という技術が用いられます。
(村上)
並行複発酵とは?
(杉浦)
これがまた、極めて珍しい技術なんですよね。
(清水)
はい。ワインの発酵の仕組みは「単発酵」と言い、収穫したブドウを発酵に適した状態にすれば、自然界に存在する酵母、いわゆる菌の働きで発酵が起こりワインが出来上がるというものです。ビールの場合は「複発酵」といい、麦に含まれるデンプンを発芽の際の酵素が分解して糖分に変える工程と、その糖分に酵母を入れてアルコール発酵させる工程があり、これを別々に行います。
(村上)
ワインは「単発酵」、ビールは「複発酵」。じゃぁ、日本酒の「並行複発酵」というのは?
(清水)
はい。これは原料に含まれているデンプンをこうじ菌の働きにより糖に変える作用と、発生した糖を酵母の働きによりアルコール発酵させる作用を、同時並行的に行う方法です。
(村上)
すごいですねー。それって、フィギュアスケート的に言うと、ステップしながらトリプルジャンプ跳ぶみたいな感じ?!
(清水)
そうですね。そんなスゴ技は、さすがの村上さんにもできないと思います。
(村上)
できません!私できません(笑)
(清水)
この並行複発酵により日本酒は醸造酒として世界でも類を見ないアルコール度数の高いお酒になるんです。
(村上)
日本酒って、すごい技術によって生み出されているものなんですね。
(杉浦)
こうした、こうじ菌を使った酒造りは、室町時代に確立したと考えられてて、500年以上前から先人たちが経験と技を蓄積して継承してきたものなんだよね。
(村上)
きっと何回も挑戦して何回も失敗して、この連続を繰り返したおかげで今のような美味しい日本酒が飲めるようになったっていうことですよね。改めて、先人に感謝ですね。
(杉浦)
でもですね、今は人手不足も影響してまして、いろんな分野でスマート化が進んでいるじゃないですか。それはそれで必要なことだと思うんですが、一方で、こうした古くから伝わる製法を守ることも大切なんですよね、清水さん。
(清水)
はい。文化庁では、酒類業を所管する国税庁とも連携して、伝統的酒造りの魅力を国内外の多くのかたに知ってもらうために、「ユネスコ無形文化遺産」への登録に向けて日本からユネスコに提案しています。その結果は今年12月にも出る予定です。この機会に、皆さんにも是非、「伝統的酒造り」に関心を持ち、理解を深めていただければと思います。
(村上)
今日の話を聞いて、特に注目したのは「守り、つなぐ、伝統の酒造り」です。つないでいきたい。これだけ、素晴らしい技術ですから。
(杉浦)
いい言葉ですね。僕は、さらに、それを「世界に誇れる日本の伝統的酒造り」ということで、世界にどんどん発信してほしいと思います。
「 関連リンク 」
・文化庁「伝統的酒造り」
・文化庁公式YouTube bunkachannel「登録無形文化財『伝統的酒造り』について」
・国税庁「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術について」
・国税庁公式YouTube 国税庁動画チャンネル「日本の伝統的な酒造り(本編)」
さぁ早速、佳菜子ちゃん、問題です!「ユネスコ無形文化遺産」は、芸能や伝統工芸技術などの形のない文化で、現代まで受け継がれている慣習や知識、技術などと密接に関わっているものを保護し、尊重する機運を高めることを目的に2006年から始まった登録制度です。では現在、その「ユネスコ無形文化遺産」に登録されている日本の文化は、いくつあるでしょうか?
(村上)
えー難しい!でも、「和食」は登録されてますよね。確か「歌舞伎」とかも。15個?
(杉浦)
惜しい!正解は現時点で22件。
(村上)
すごい!結構あるんだ。
(杉浦)
「和食」は2013年に登録されたんだけど、その他、一部の例を挙げますと、「歌舞伎」、「能楽」、「人形浄瑠璃文楽」、「雅楽」とかね、あと、秋田の「男鹿のナマハゲ」とか。来訪神って言うんだけど。来訪神というのは、お正月など年の節目に、人間の世界に来訪するとされる神様のことで、ナマハゲ以外にも、佳菜子ちゃんが大好きな宮古島に「宮古島のパーントゥ」っていう来訪神がいるんだけど、「ユネスコ無形文化遺産」に登録されてます。
(村上)
知らなかった!今度行ったら聞いてみよう。覚えとこ。
(杉浦)
こうした「ユネスコ無形文化遺産」への登録を目指して、現在日本からユネスコに提案しているのが、今日のテーマである日本の「伝統的酒造り」なんです。佳菜子ちゃんは、日本産のお酒が海外で人気だって聞いたことある?
(村上)
もちろんありますよ。外国の選手とかも、試合が終わった後に「ジャパニーズ・サケ」って言って飲んでたりとか。外国のかたにも人気というのはありますよね。
(杉浦)
そうなのよ。日本酒、人気なんだよね。実際、日本産のお酒などの輸出額は近年、増加傾向にありまして、10年前と比べると5倍以上にまで増えているんだって。
(村上)
やっぱり外国人観光客のかたが、日本で飲んだお酒の美味しさを忘れられず、母国に帰ってからも飲んでくれたりとかするのかな。
(杉浦)
僕らがフランス産のワインを飲むみたいな感じだよね。ところが、日本国内の酒などの市場を見ますと、全体として縮小傾向にあるんだって。
(村上)
え、そうなんですか?こんなに海外では人気なのに不思議ですね。
(杉浦)
ここからは、今日の講師に伺っていきましょう。文化庁生活文化連携担当専門官の清水 大樹さんです。
(村上)
清水さん、日本の酒などの市場は縮小傾向ということですが、もう少し詳しく教えてください。
(清水)
はい。縮小傾向の要因は、少子高齢化による人口の減少や、ライフスタイルの変化、嗜好の多様化など、いろいろ考えられます。酒類全体の中でも、とりわけ清酒、いわゆる日本酒は、約50年前のピーク時から出荷数量ベースで4分の1以下にまで減少しています。
(杉浦)
お酒といっても、ビールやワインもありますし、最近は、チューハイとか飲みやすいタイプのお酒も増えてきて、いろいろなお酒がありますしね。
(清水)
そうですね。でも日本酒は地域に根ざした伝統的なお酒で、誇るべきものですし、お祭りや結婚式など社会的・伝統的な行事に欠かせないものです。これからも大切に守り、つないでいきたい日本文化の一つです。
(村上)
つないでいきたいですよね。お正月にはお屠蘇を飲みますし、お祭りの時、お神輿を担いでいる人に日本酒をかけたりしますし、日本酒は日本の文化と密接ですよね。
(清水)
はい。ですから文化庁では、日本の「伝統的酒造り」を守り、次の世代へつないでいくために、2021年に国の無形文化財に登録しました。そして今、国内だけではなく世界に向けて、「ユネスコ無形文化遺産」への登録を目指しているというわけです。
(村上)
そうなんですね。確かに、ユネスコ無形文化遺産に登録されれば、世界中の人に日本酒のことを知ってもらう機会がもっと増えますよね。
(杉浦)
実際に「和食」が登録された時も、海外に日本食のレストランが増えたりとか、日本の農林水産物や食品の輸出額が増えたっていう話も聞いたことがあります。
(村上)
日本の食を目当てに訪れる外国人観光客のかたも増えたように感じますもんね。
(杉浦)
それではここで再び、佳菜子ちゃんに問題です!日本の伝統的酒造りによって作られるのは日本酒以外にもあるんですが、次のうちどれでしょう?「1、焼酎」、「2、泡盛」、「3、みりん」。
(村上)
「2、泡盛」!だって、泡盛は沖縄の文化じゃないですか。
(杉浦)
正解は、清水さんからお願いします。
(清水)
はい。正解は、「全部」です!1番の焼酎には、米焼酎以外に、芋焼酎、麦焼酎、黒糖焼酎など、米以外を主原料にしているものもあるんですが、そういった焼酎も含めて、全部です。
(村上)
そうか、いろいろありますもんね。日本酒だけじゃなくて、焼酎も泡盛も、みりんも全部という。みりんがなかったら、和食の味は決まりませんよね。日本食を作るとき、使いますもん。料理好きの私としては、さらに、伝統的酒造りに興味が湧いてきました。具体的に、その「伝統的酒造り」って、どういうものなんでしょうか?
(清水)
簡単に言うと、原料である穀物などに含まれるデンプンを糖に変えるときに、こうじ菌を用いていることが最大の特徴で、ちなみに、醤油や味噌も同じく、こうじ菌を用いています。近代科学が成立・普及する以前から、杜氏(とうじ)・蔵人(くらびと)といった職人の皆さんが、経験の蓄積によって探り出し、築き上げてきたお酒造りの技術なんです。
(村上)
日本酒の製造工程はマニュアル化が難しい非常に繊細なものだっていうのは、なんとなく知ってますけど、もう少し詳しく教えていただけますか。
(清水)
はい。日本の伝統的酒造りの技術には大きく三つの工程があります。一つ目の工程は「原料の前処理」です。原料処理の中で米や麦を蒸す工程がありますが、ワインやビールなどのお酒には、原料を蒸す工程がありません。日本の伝統的酒造りでは、蒸すことで、こうじ菌を繁殖しやすくしています。
(杉浦)
原料を酒造りに適した状態にするんですね。
(清水)
はい、そのとおりです。そして、二つ目の工程は「こうじ造り」です。麹室(こうじむろ)と呼ばれる高温多湿の部屋で蒸した原料にこうじ菌の胞子をふりかけ、原料に含まれるデンプンを糖に変える準備を行います。そして、こうじ菌をふりかけた後は、時間をおいてから、木の箱に移して積み上げたり、といった作業が行われます。
(杉浦)
積み上げたら、それで終わり、ではないんですよね。
(清水)
はい。こうじ菌を順調に生育させるためには、繊細な温度管理が必要なため、箱の位置を入れ替えて温度のムラを抑えたり、米をほぐして空気を入れ替えたり、昼夜を問わずに、こうじ造りに向き合います。
(杉浦)
麹室(こうじむろ)で行われる工程は、とても繊細なものなので、作業中は限られた人しか入ることが許されない神聖な場所だそうですよ。では、伝統的酒造りの工程、その三は?
(清水)
「もろみの発酵」です。この発酵は、並行複発酵という技術が用いられます。
(村上)
並行複発酵とは?
(杉浦)
これがまた、極めて珍しい技術なんですよね。
(清水)
はい。ワインの発酵の仕組みは「単発酵」と言い、収穫したブドウを発酵に適した状態にすれば、自然界に存在する酵母、いわゆる菌の働きで発酵が起こりワインが出来上がるというものです。ビールの場合は「複発酵」といい、麦に含まれるデンプンを発芽の際の酵素が分解して糖分に変える工程と、その糖分に酵母を入れてアルコール発酵させる工程があり、これを別々に行います。
(村上)
ワインは「単発酵」、ビールは「複発酵」。じゃぁ、日本酒の「並行複発酵」というのは?
(清水)
はい。これは原料に含まれているデンプンをこうじ菌の働きにより糖に変える作用と、発生した糖を酵母の働きによりアルコール発酵させる作用を、同時並行的に行う方法です。
(村上)
すごいですねー。それって、フィギュアスケート的に言うと、ステップしながらトリプルジャンプ跳ぶみたいな感じ?!
(清水)
そうですね。そんなスゴ技は、さすがの村上さんにもできないと思います。
(村上)
できません!私できません(笑)
(清水)
この並行複発酵により日本酒は醸造酒として世界でも類を見ないアルコール度数の高いお酒になるんです。
(村上)
日本酒って、すごい技術によって生み出されているものなんですね。
(杉浦)
こうした、こうじ菌を使った酒造りは、室町時代に確立したと考えられてて、500年以上前から先人たちが経験と技を蓄積して継承してきたものなんだよね。
(村上)
きっと何回も挑戦して何回も失敗して、この連続を繰り返したおかげで今のような美味しい日本酒が飲めるようになったっていうことですよね。改めて、先人に感謝ですね。
(杉浦)
でもですね、今は人手不足も影響してまして、いろんな分野でスマート化が進んでいるじゃないですか。それはそれで必要なことだと思うんですが、一方で、こうした古くから伝わる製法を守ることも大切なんですよね、清水さん。
(清水)
はい。文化庁では、酒類業を所管する国税庁とも連携して、伝統的酒造りの魅力を国内外の多くのかたに知ってもらうために、「ユネスコ無形文化遺産」への登録に向けて日本からユネスコに提案しています。その結果は今年12月にも出る予定です。この機会に、皆さんにも是非、「伝統的酒造り」に関心を持ち、理解を深めていただければと思います。
(村上)
今日の話を聞いて、特に注目したのは「守り、つなぐ、伝統の酒造り」です。つないでいきたい。これだけ、素晴らしい技術ですから。
(杉浦)
いい言葉ですね。僕は、さらに、それを「世界に誇れる日本の伝統的酒造り」ということで、世界にどんどん発信してほしいと思います。
「 関連リンク 」
・文化庁「伝統的酒造り」
・文化庁公式YouTube bunkachannel「登録無形文化財『伝統的酒造り』について」
・国税庁「日本の伝統的なこうじ菌を使った酒造り技術について」
・国税庁公式YouTube 国税庁動画チャンネル「日本の伝統的な酒造り(本編)」