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2024.10.13
自ら提案できる未来のルール!製品やサービスの標準化
私たちが普段何気なく利用している製品やサービス。これらの多くは、「標準化」されているのをご存知ですか?
さらに、その標準化は、企業だけでなく、私たち消費者も提案できるんです。
今回は、「自ら提案できる未来のルール! 製品やサービスの標準化」というテーマで学びました。
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さらに、その標準化は、企業だけでなく、私たち消費者も提案できるんです。
今回は、「自ら提案できる未来のルール! 製品やサービスの標準化」というテーマで学びました。
(杉浦)
佳菜子ちゃん、僕らの身の回りには、鍋とか缶詰の缶、ペットボトル、家電、配送サービスなどたくさんの製品やサービスがありますけども、その標準化ってどういうことだと思う?
(村上)
「標準」は、物事の基準、目安みたいなことですよね。「標準化」は何なんだろう?
(杉浦)
「標準化」というのは、製品やサービスを「標準」という一定のルールに従って、みんなが共通して利用できたり便利になったりすることで、僕たちの身の回りには、この標準化された製品がたくさんあるんだよね。
(村上)
たくさんあるんだ。例えばどんな物ですか?
(杉浦)
乾電池。乾電池って、メーカーが違っても、単一、単二、単三とか、それぞれの大きさも同じだし、プラスとマイナスの部分も同じ形じゃん。だから例えば、単三電池を使用する目覚まし時計とか家電のリモコンなどの工業製品なら、どのメーカーの単三電池をセットしても使えるし、時計やリモコンのほうもセットできるように設計されてるしね。
(村上)
確かにそうですよね。
(杉浦)
他にも、シャープペンシルと芯、パソコンのキーボードの配列、電気のコンセント、などなどいっぱいあるのよ。
(村上)
標準化されてると、専用じゃなくて共通して使えるから便利っていうことですね。
(杉浦)
そうそう。でも標準化は、そういった互換性だけじゃないんだよね。ここからは、今日の講師に教えてもらいましょう。経済産業省イノベーション・環境局 基準認証調査広報室の小嶋 誠さんです。
(村上)
小嶋さん、標準化は互換性のためだけにされるものじゃないということなんですが、どういうことでしょう?
(小嶋)
はい。例えば、ある「決め事」に基づいて統一したデザインを取り入れることで、高齢者や障害のある人を含め「誰でも使えるように」すること、これも標準化です。例えばシャンプーのボトルは、側面や蓋の部分にギザギザ状の「きざみ」が付いていることが多いですが、リンスのボトルには付いていません。
(村上)
それ、私知ってます。触っただけでシャンプーとリンスを区別できるように付けられたものですよね。目の不自由なかただけでなく、目をつぶって髪を洗う時に、誰でも区別しやすいようにデザインされたって聞いたことがあります。
(小嶋)
こうしたデザインのことを「アクセシブル・デザイン」と言って、これも標準化の一つです。そのほか、標準化は「品質」や「安全性」の確保、「環境保護」、こうした目的で設けられているものもあります。
(杉浦)
佳菜子ちゃん、「JIS」って聞いたことあるよね?
(村上)
JISマーク、知ってます。
(杉浦)
小嶋さん、「JIS」は日本の標準を示すものなんですよね?
(小嶋)
はい。「JIS」は「Japanese Industrial Standards」の略で、日本語では「日本産業規格」と言って、製品やサービスに関する日本の国家規格です。ちなみに標準と規格はほぼ同じ意味です。「JIS」では、様々な製品の形状や寸法、品質などを定めていて、JISマークが表示されている製品は、JISに定められている寸法に合っていることや品質水準を満たしていることになります。また、同じように世界には、国際標準化機関が定める世界的な標準があり、これを「国際規格」と言います。アルファベットで「ISO」と表記されていてご存知のかたも多いのではないかと思います。
(杉浦)
実は、日本から提案して国際規格になっているものもあるんですよね。
(小嶋)
はい。「非常口マーク」、「音楽CD」、「QRコード」は日本から提案して国際規格になった代表的なものです。また近年では「コールドチェーン物流」も国際規格になっています。
(杉浦)
この「コールドチェーン物流」とは、「低温保管が必要な食料品や薬剤などが保冷された状態で品質が失われることなく届けられる配送サービス」のことで、日本では当たり前に利用しているサービスだけど、世界的にはまだまだこれから普及する国も多いみたいだね。日本で生まれた技術や製品、デザインやサービスが世界の標準になって世界中で使用されているなんて、誇らしいですよね。
(村上)
これまであまり意識したことがなかったですけど、身の回りには標準化されている物って、こんなにたくさんあるんですね。
(杉浦)
それだけ、消費者にも、企業にも、メリットがあるってことですよね。
(小嶋)
はい。例えば、ライターはこどもが触っても簡単に火がつかないように、回しづらくなっていたり、ロックスイッチが付いているものが多く流通しています。このように安全性の基準を設けることで、消費者は製品を選びやすくなりますし、消費者の安心・安全にも役立ちます。また企業は、製品の仕様を共通にすることで生産費用が低減できますし、製品の品質や機能が求められる水準を満たしていることを客観的に説明することができるので、企業間の取引でもメリットを感じられます。
(村上)
私も気付かぬうちに標準化のお世話になっているんですね。
(杉浦)
気付かぬうちにね!さぁ、ここまでで、佳菜子ちゃんも「標準化」の基本が分かったと思いますので、標準化をもう少し深く学んでいきます。
(村上)
あの、改めてテーマを聞いて思ったんですけど、「自ら提案できる」って、標準化とどんな関係があるんでしょうか?
(杉浦)
いい質問ですよね、小嶋さん。
(小嶋)
はい。例えば、これまで存在していなかった新しい技術や優れた製品・サービスを開発した時、それが、いかに素晴らしいものか、取引先や消費者に説明して理解してもらうのは大変なことです。
(村上)
その技術や製品・サービスが画期的であればあるほど、「本当に良いものなの?」「品質は大丈夫?」「安全なの?」と、いろいろ不安に思いそうですよね。
(小嶋)
でも「JIS」があれば、そのJISを満たすことで、製品の品質や性能を客観的に示すことができます。また、その規格を普及させて利用者を増やせば、相乗効果でマーケット自体が拡大したり、新たなマーケットを作りだす可能性もあります。
(杉浦)
つまり標準化は、新商品が売れるようにしたり、製品のマーケットを作るための有力なツールでもあるんですよね。
(小嶋)
はい。ですから、新しい技術や優れた製品・サービスを開発したときは、自ら標準化を提案して、そのルール作りに向けて主体的に取り組んでいくことをお勧めしています。
(村上)
え?標準化って、国や業界の偉い人が決めるわけじゃないんですか?
(小嶋)
JISは業界団体などが原案を作成し、産業標準化法に基づいて担当大臣によって制定されます。しかし、新しい技術や優れた製品であるため、既存の団体では対応できない場合などに、自ら提案をして標準化を進めることも可能です。ところが、日本では標準は与えられるもの、従うものと考えている人が多く、企業における標準化活動の優先順位は総じて低い状況です。また、標準化の重要性を理解していても、経験や人材不足により十分な取組ができていない企業もあります。
(村上)
せっかくのビジネスチャンスをいかせていない場合があるっていうことですよね。でも、自ら標準化を進めていくのって、難しそうじゃないですか。何から手を着けていいのか、分からない企業も多いんじゃないかなと思います。
(小嶋)
はい。そのため、経済産業省ではいくつか支援策を設けていまして、そのうちの一つが「標準化活用支援パートナーシップ制度」です。これは「良い技術や良い製品があるのに、その良さが顧客に認めてもらえない」そのような経営課題がある企業が無料で相談できるように整備された制度です。
(村上)
どういったかたが相談に乗ってくれるんですか?
(小嶋)
自治体、金融機関、大学や研究機関などの全国各地のパートナー機関と、一般財団法人「日本規格協会」が、セミナーや個別面談において、標準化の戦略的活用に関する情報提供やアドバイスなどを行います。そして、標準化するべき案件については、日本規格協会が支援対象企業の標準の策定支援を行います。また、日本規格協会は、「工業所有権情報・研修館」と連携しており、標準化に加えて、知的財産の有効な活用や戦略立案の支援も受けることができます。
(村上)
実際、自ら標準化を進めて成功している事例ってありますか?
(小嶋)
はい。例えば、醤油や濃縮タイプの鍋用スープなどに用いられる袋式液体容器は、開封後も外気を遮断して、液体を真空に近い状態で保存し酸化を防ぐ優れた製品です。これまで、瓶やペットボトルが主流だったスタイルに変革をもたらしました。
(村上)
私もそれ使ってます!便利。
(小嶋)
この容器を開発した企業では、技術の特許を取得しただけではなく、その技術の評価方法の標準化にも取り組みました。具体的には、容器に入れられた溶液の酸化度合いの測定方法、試験条件、酸化防止性能の表示方法などを定めました。
(村上)
自ら提案して標準化を進めて、最終的にJIS規格を取得したんですね。効果はあったんですか?
(小嶋)
調味料業界との取引で鮮度保持容器の認知度を確立して、その性能の高さから、他の業界から大型案件の引き合いがあったそうです。
(村上)
すごい!標準化で取引先が拡大したんですね。
(杉浦)
だからやっぱり、新しい技術や優れた製品・サービスを開発したら、一度、標準化について社内で議論したほうがいいですよね。よく分からなければ、先ほどご紹介した「標準化活用支援パートナーシップ制度」を用いて相談してほしいですよね。相談先の一覧は、「標準化」スペース「パートナーシップ制度」で検索しますと、経済産業省のページで案内されています。
(村上)
革新的なスタートアップ企業はたくさんありそうですから、チャンスをつかんでいってほしいですよね。ところで、素朴な疑問なんですけど、標準化って、個人の意見や要望から定められることってないんですか?
(小嶋)
それもあります。先ほど少しお話したシャンプーのギザギザの「きざみ」は、消費者の声から標準化されました。また、牛乳パックの上の部分にある「切欠き」という凹みは、目の不自由な方々が触っただけで「牛乳」と分かるように付けられたものです。視覚障害者の日常の食生活で、同じ形の紙パックの中身が分からないことに不便を感じているという調査結果を受けて、業界団体や行政、個人が協力して検討し標準化されたものです。
(村上)
消費者の声も標準になるんですね。
(小嶋)
一般消費者からのご意見やご要望は、今年度の消費者向けポスターでお伝えしている経済産業省ホームページの「標準化ご意見窓口」などで受け付けています。10月14日は「世界標準の日」で、日本では毎年10月を「産業標準化推進月間」とし、経済産業省では、様々な場面で、標準化の重要性や活用方法、支援策などを紹介しています。是非、この機会に製品に意見や要望があるかたはその声をお聞かせください。また、新しい技術や優れた製品をお持ちの企業の皆様は、標準化についての理解を深めていただき、世界を動かす未来のルールメイカーを目指しましょう!
(村上)
今日の話の中で特に注目したのは「その製品やサービス、標準化しませんか!?」です。企業のかたもそうだし、一般消費者のかたも、こうやって提案できるっていうことを知らなかったので、「標準化しませんか?」と改めて呼び掛けてみようと思いました。
(杉浦)
ビジネスチャンスですね。僕は、「意外と身近にあります、標準化」です。けっこう知らない物も多かったんで、ちょっと目の向け方を変えると、「あっ!これも標準化されてる!」みたいな発見もありだよね。
「 関連リンク 」
・経済産業省「標準化・認証」
・経済産業省「標準化活用支援パートナーシップ制度」
・経済産業省「産業標準化推進月間」・「標準化ご意見窓口」
佳菜子ちゃん、僕らの身の回りには、鍋とか缶詰の缶、ペットボトル、家電、配送サービスなどたくさんの製品やサービスがありますけども、その標準化ってどういうことだと思う?
(村上)
「標準」は、物事の基準、目安みたいなことですよね。「標準化」は何なんだろう?
(杉浦)
「標準化」というのは、製品やサービスを「標準」という一定のルールに従って、みんなが共通して利用できたり便利になったりすることで、僕たちの身の回りには、この標準化された製品がたくさんあるんだよね。
(村上)
たくさんあるんだ。例えばどんな物ですか?
(杉浦)
乾電池。乾電池って、メーカーが違っても、単一、単二、単三とか、それぞれの大きさも同じだし、プラスとマイナスの部分も同じ形じゃん。だから例えば、単三電池を使用する目覚まし時計とか家電のリモコンなどの工業製品なら、どのメーカーの単三電池をセットしても使えるし、時計やリモコンのほうもセットできるように設計されてるしね。
(村上)
確かにそうですよね。
(杉浦)
他にも、シャープペンシルと芯、パソコンのキーボードの配列、電気のコンセント、などなどいっぱいあるのよ。
(村上)
標準化されてると、専用じゃなくて共通して使えるから便利っていうことですね。
(杉浦)
そうそう。でも標準化は、そういった互換性だけじゃないんだよね。ここからは、今日の講師に教えてもらいましょう。経済産業省イノベーション・環境局 基準認証調査広報室の小嶋 誠さんです。
(村上)
小嶋さん、標準化は互換性のためだけにされるものじゃないということなんですが、どういうことでしょう?
(小嶋)
はい。例えば、ある「決め事」に基づいて統一したデザインを取り入れることで、高齢者や障害のある人を含め「誰でも使えるように」すること、これも標準化です。例えばシャンプーのボトルは、側面や蓋の部分にギザギザ状の「きざみ」が付いていることが多いですが、リンスのボトルには付いていません。
(村上)
それ、私知ってます。触っただけでシャンプーとリンスを区別できるように付けられたものですよね。目の不自由なかただけでなく、目をつぶって髪を洗う時に、誰でも区別しやすいようにデザインされたって聞いたことがあります。
(小嶋)
こうしたデザインのことを「アクセシブル・デザイン」と言って、これも標準化の一つです。そのほか、標準化は「品質」や「安全性」の確保、「環境保護」、こうした目的で設けられているものもあります。
(杉浦)
佳菜子ちゃん、「JIS」って聞いたことあるよね?
(村上)
JISマーク、知ってます。
(杉浦)
小嶋さん、「JIS」は日本の標準を示すものなんですよね?
(小嶋)
はい。「JIS」は「Japanese Industrial Standards」の略で、日本語では「日本産業規格」と言って、製品やサービスに関する日本の国家規格です。ちなみに標準と規格はほぼ同じ意味です。「JIS」では、様々な製品の形状や寸法、品質などを定めていて、JISマークが表示されている製品は、JISに定められている寸法に合っていることや品質水準を満たしていることになります。また、同じように世界には、国際標準化機関が定める世界的な標準があり、これを「国際規格」と言います。アルファベットで「ISO」と表記されていてご存知のかたも多いのではないかと思います。
(杉浦)
実は、日本から提案して国際規格になっているものもあるんですよね。
(小嶋)
はい。「非常口マーク」、「音楽CD」、「QRコード」は日本から提案して国際規格になった代表的なものです。また近年では「コールドチェーン物流」も国際規格になっています。
(杉浦)
この「コールドチェーン物流」とは、「低温保管が必要な食料品や薬剤などが保冷された状態で品質が失われることなく届けられる配送サービス」のことで、日本では当たり前に利用しているサービスだけど、世界的にはまだまだこれから普及する国も多いみたいだね。日本で生まれた技術や製品、デザインやサービスが世界の標準になって世界中で使用されているなんて、誇らしいですよね。
(村上)
これまであまり意識したことがなかったですけど、身の回りには標準化されている物って、こんなにたくさんあるんですね。
(杉浦)
それだけ、消費者にも、企業にも、メリットがあるってことですよね。
(小嶋)
はい。例えば、ライターはこどもが触っても簡単に火がつかないように、回しづらくなっていたり、ロックスイッチが付いているものが多く流通しています。このように安全性の基準を設けることで、消費者は製品を選びやすくなりますし、消費者の安心・安全にも役立ちます。また企業は、製品の仕様を共通にすることで生産費用が低減できますし、製品の品質や機能が求められる水準を満たしていることを客観的に説明することができるので、企業間の取引でもメリットを感じられます。
(村上)
私も気付かぬうちに標準化のお世話になっているんですね。
(杉浦)
気付かぬうちにね!さぁ、ここまでで、佳菜子ちゃんも「標準化」の基本が分かったと思いますので、標準化をもう少し深く学んでいきます。
(村上)
あの、改めてテーマを聞いて思ったんですけど、「自ら提案できる」って、標準化とどんな関係があるんでしょうか?
(杉浦)
いい質問ですよね、小嶋さん。
(小嶋)
はい。例えば、これまで存在していなかった新しい技術や優れた製品・サービスを開発した時、それが、いかに素晴らしいものか、取引先や消費者に説明して理解してもらうのは大変なことです。
(村上)
その技術や製品・サービスが画期的であればあるほど、「本当に良いものなの?」「品質は大丈夫?」「安全なの?」と、いろいろ不安に思いそうですよね。
(小嶋)
でも「JIS」があれば、そのJISを満たすことで、製品の品質や性能を客観的に示すことができます。また、その規格を普及させて利用者を増やせば、相乗効果でマーケット自体が拡大したり、新たなマーケットを作りだす可能性もあります。
(杉浦)
つまり標準化は、新商品が売れるようにしたり、製品のマーケットを作るための有力なツールでもあるんですよね。
(小嶋)
はい。ですから、新しい技術や優れた製品・サービスを開発したときは、自ら標準化を提案して、そのルール作りに向けて主体的に取り組んでいくことをお勧めしています。
(村上)
え?標準化って、国や業界の偉い人が決めるわけじゃないんですか?
(小嶋)
JISは業界団体などが原案を作成し、産業標準化法に基づいて担当大臣によって制定されます。しかし、新しい技術や優れた製品であるため、既存の団体では対応できない場合などに、自ら提案をして標準化を進めることも可能です。ところが、日本では標準は与えられるもの、従うものと考えている人が多く、企業における標準化活動の優先順位は総じて低い状況です。また、標準化の重要性を理解していても、経験や人材不足により十分な取組ができていない企業もあります。
(村上)
せっかくのビジネスチャンスをいかせていない場合があるっていうことですよね。でも、自ら標準化を進めていくのって、難しそうじゃないですか。何から手を着けていいのか、分からない企業も多いんじゃないかなと思います。
(小嶋)
はい。そのため、経済産業省ではいくつか支援策を設けていまして、そのうちの一つが「標準化活用支援パートナーシップ制度」です。これは「良い技術や良い製品があるのに、その良さが顧客に認めてもらえない」そのような経営課題がある企業が無料で相談できるように整備された制度です。
(村上)
どういったかたが相談に乗ってくれるんですか?
(小嶋)
自治体、金融機関、大学や研究機関などの全国各地のパートナー機関と、一般財団法人「日本規格協会」が、セミナーや個別面談において、標準化の戦略的活用に関する情報提供やアドバイスなどを行います。そして、標準化するべき案件については、日本規格協会が支援対象企業の標準の策定支援を行います。また、日本規格協会は、「工業所有権情報・研修館」と連携しており、標準化に加えて、知的財産の有効な活用や戦略立案の支援も受けることができます。
(村上)
実際、自ら標準化を進めて成功している事例ってありますか?
(小嶋)
はい。例えば、醤油や濃縮タイプの鍋用スープなどに用いられる袋式液体容器は、開封後も外気を遮断して、液体を真空に近い状態で保存し酸化を防ぐ優れた製品です。これまで、瓶やペットボトルが主流だったスタイルに変革をもたらしました。
(村上)
私もそれ使ってます!便利。
(小嶋)
この容器を開発した企業では、技術の特許を取得しただけではなく、その技術の評価方法の標準化にも取り組みました。具体的には、容器に入れられた溶液の酸化度合いの測定方法、試験条件、酸化防止性能の表示方法などを定めました。
(村上)
自ら提案して標準化を進めて、最終的にJIS規格を取得したんですね。効果はあったんですか?
(小嶋)
調味料業界との取引で鮮度保持容器の認知度を確立して、その性能の高さから、他の業界から大型案件の引き合いがあったそうです。
(村上)
すごい!標準化で取引先が拡大したんですね。
(杉浦)
だからやっぱり、新しい技術や優れた製品・サービスを開発したら、一度、標準化について社内で議論したほうがいいですよね。よく分からなければ、先ほどご紹介した「標準化活用支援パートナーシップ制度」を用いて相談してほしいですよね。相談先の一覧は、「標準化」スペース「パートナーシップ制度」で検索しますと、経済産業省のページで案内されています。
(村上)
革新的なスタートアップ企業はたくさんありそうですから、チャンスをつかんでいってほしいですよね。ところで、素朴な疑問なんですけど、標準化って、個人の意見や要望から定められることってないんですか?
(小嶋)
それもあります。先ほど少しお話したシャンプーのギザギザの「きざみ」は、消費者の声から標準化されました。また、牛乳パックの上の部分にある「切欠き」という凹みは、目の不自由な方々が触っただけで「牛乳」と分かるように付けられたものです。視覚障害者の日常の食生活で、同じ形の紙パックの中身が分からないことに不便を感じているという調査結果を受けて、業界団体や行政、個人が協力して検討し標準化されたものです。
(村上)
消費者の声も標準になるんですね。
(小嶋)
一般消費者からのご意見やご要望は、今年度の消費者向けポスターでお伝えしている経済産業省ホームページの「標準化ご意見窓口」などで受け付けています。10月14日は「世界標準の日」で、日本では毎年10月を「産業標準化推進月間」とし、経済産業省では、様々な場面で、標準化の重要性や活用方法、支援策などを紹介しています。是非、この機会に製品に意見や要望があるかたはその声をお聞かせください。また、新しい技術や優れた製品をお持ちの企業の皆様は、標準化についての理解を深めていただき、世界を動かす未来のルールメイカーを目指しましょう!
(村上)
今日の話の中で特に注目したのは「その製品やサービス、標準化しませんか!?」です。企業のかたもそうだし、一般消費者のかたも、こうやって提案できるっていうことを知らなかったので、「標準化しませんか?」と改めて呼び掛けてみようと思いました。
(杉浦)
ビジネスチャンスですね。僕は、「意外と身近にあります、標準化」です。けっこう知らない物も多かったんで、ちょっと目の向け方を変えると、「あっ!これも標準化されてる!」みたいな発見もありだよね。
「 関連リンク 」
・経済産業省「標準化・認証」
・経済産業省「標準化活用支援パートナーシップ制度」
・経済産業省「産業標準化推進月間」・「標準化ご意見窓口」