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今こそ知りたい!火山防災

今こそ知りたい!火山防災

日本には多くの活火山があり、その周辺にお住まいのかたはもちろん、登山や観光で訪れる場合など、私たちの生活に大きく影響しています。
でも、その活火山が噴火したら…あなたはどのような行動をとりますか?
もしもの時に備えるためにも、今回は「今こそ知りたい!火山防災」というテーマで学びました。
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(杉浦)
今日のテーマは、「今こそ知りたい!火山防災」です。火山は、地下の深い所にあるマグマが地面の上に噴き出してできた山のことだけど、佳菜子ちゃんは「火山」というと、どんなイメージ?

(村上)
火山というと、桜島とか、富士山も火山ですよね。あとは、火山といえば、噴火して、溶岩がドロドロ出てくるみたいな、ちょっと怖いイメージもあったり。

(杉浦)
僕たちはその火山活動のおかげで温泉を楽しむことができるんだよね。温泉は地下の深い所から上昇してできたマグマに、地下水が温められて地上に湧き出たものだからね。すべての温泉が火山活動によるものではないけれど、箱根温泉とか別府温泉とか、火山活動由来の温泉なんだって。

(村上)
だから、場所によって成分が違ったりするのかな。

(杉浦)
ほかにも火山は僕たちの生活と深いつながりを持っていて、昔の火口に水が溜まってできた湖、それを火口湖って言うんだけど、魅力的なんだよね。宮城県と山形県にまたがる蔵王山にある御釜。ここに写真があるけど、湖面がエメラルドグリーンで、もう、人気の観光スポットなんだよ!

(村上)
私、行ったことないけど、本当にこれ現実にあるの?っていうくらい美しいですね。

(杉浦)
こんな色する?みたいな。天然のアートですね。そして、農作物を作るのに欠かせない「良質な土壌」や、「地熱発電」も、火山のおかげなんだよ。ちなみにさっき佳菜子ちゃんが言っていた鹿児島県にある桜島、そこの伝統野菜である「桜島大根」は、世界一重たい大根としてギネスブックに認定されてるんだけど、この大根が大きく育つのは、水はけの良い火山灰を含んだ土壌と、温暖な気候のお陰でもあるんだって。

(村上)
そうなんだ!

(杉浦)
でも、確かに佳菜子ちゃんの言うとおり、火山が噴火すると僕たちの生活に大きな影響があるから、「火山」や「火山防災」についてはよく知っておくことが必要なんだよね。
しかも、明日8月26日は、今年から「火山防災の日」に制定されました。

(村上)
今年からなんですね!

(杉浦)
ここからは講師のかたに伺っていきましょう。気象庁地震火山部火山防災推進室長の今野 英慈さんです。

(村上)
今野さん、今年から「火山防災の日」が制定されたということですが、なぜ今、新たにこの日が設けられることになったんですか?

(今野)
実は近年、最新の調査により富士山の市街地近くに新たな火口が発見されたり、桜島で大規模噴火の可能性が指摘されたりと、活火山について分かったことが増えています。

(村上)
新たな火口?大規模噴火?聞くとちょっとドキッとしちゃいますけど。

(今野)
確かに、今のような情報だけを聞くとビックリするかたもいると思いますが、活火山については「正しく恐れて備える」ことが大切なんです。そこで「活動火山対策特別措置法」という法律の一部を改正し、住民や登山者の安全を確保することを目的に、活火山対策をより強化することになったんです。その一つが「火山防災の日」の制定です。この日をきっかけに、皆さんに火山災害に備えることを考えていただければと思っています。

(村上)
でも、なぜ8月26日なんですか?

(今野)
今から113年前の1911年8月26日に、日本で最初の火山観測所が、群馬県と長野県の県境にある浅間山に設置されました。この火山観測が始まった日にちなんで、火山防災の日を定めたんです。

(杉浦)
そうなんです。では、ここで、活火山について「正しく恐れて備える」ために、佳菜子ちゃんに「活火山クイズ」です!問題です!活火山とは、火山のうち1万年ほど前から現在までに1度は噴火したことがある火山や、今もガスや蒸気などが噴き出している火山のことです。世界には、この活火山がおよそ1500あると言われていますが、さて、日本にはいくつあるでしょうか?

(村上)
日本は世界と比べると島国ですから…30とか?いや、50!

(杉浦)
答えは、今野さんからお願いします!

(今野)
はい。答えは「111」です。実は、世界の活火山のおよそ1割が日本にあるんです!例えば、鹿児島県の桜島、それから岐阜県と長野県の県境にある御嶽山、群馬県の草津白根山、福島県の磐梯山、北海道の十勝岳、そして、富士山も活火山です。

(村上)
聞いたことのある山の名前がたくさんだった。十勝岳も。

(杉浦)
そうだね。磐梯山をよく目にするけど、活火山なんだね。111あるから、めっちゃあるんだよ。

(今野)
気象庁では、この111の活火山のうち、特に監視や観測体制の充実を図る必要がある50の火山を、気象庁の職員が24時間体制で常時観測・監視しています。

(村上)
24時間体制!火山の観測って、どのように行うんですか?

(杉浦)
佳菜子ちゃん、この技術がすごいんです!

(村上)
今野さん、火山の観測や監視はどのように行われているんでしょうか?

(今野)
はい。常時監視している50の火山については、その近くに様々な種類の機器をたくさん設置して観測しています。大学など関係機関からデータの提供も受けて監視しています。例えば、「空振計」で噴火に伴う空気の振動を観測したり、地面の傾きを測る「傾斜計」や、「GPS」よりも高い精度の「GNSS」という装置を使って、山が膨張したり収縮したりするのを観測しています。

(村上)
山が膨張するんですか!?

(杉浦)
収縮もする!?

(今野)
はい、そうなんです。風船が膨らむように、地下のマグマが上昇してくると山自体が膨張するんです。この地殻変動に関する観測精度は極めて高く、例えば「100キロメートル先が1ミリメートル上下する」ことに相当するほどの微細な変化も観測することができるんです。

(村上)
すごい精度ですね。

(杉浦)
気象庁ではこうした監視・観測によるデータを解析し、必要に応じて火山に関する情報を発表しているんですよね。佳菜子ちゃんは、火山による災害というとどんなものがあると思う?

(村上)
ん~。火山灰が降ったりとか…、マグマが流れてくるみたいな。

(杉浦)
そうだね。噴煙から火山灰が降ったり、積もった灰が舞い上がるなどして視界が悪くなるから、車の運転には注意が必要だよね。今野さん、他にどんなことがありますか。

(今野)
はい。過去には、噴火によって火口から飛んだ大きな噴石などにより、登山客が亡くなったり、建物が破壊される被害が発生しています。また「火砕流」と言って、噴火により放出された火山灰や岩石のような固体物質と火山ガスなどが一体となって急速に山から流れ下る現象もあります。火砕流の速度は時速100キロメートル以上で、温度は数百度に達することもあり、火砕流発生後の脱出は不可能です。

(村上)
脱出不可能って、恐ろしい現象ですよね。でも、日本ではそこまでの噴火はありませんよね?

(杉浦)
佳菜子ちゃんは生まれてないから知らないかもしれないけど、1991年に長崎県にある雲仙岳では火砕流が発生して、亡くなったり行方不明になったかたが43名いらっしゃるんだよね。僕は当時10歳だったけど、記憶に残っているよ。

(村上)
そうなんですか。知らなかったです。火山ってやっぱり怖いですね。

(今野)
そうですね。火山が噴火する頻度はそんなに多くはありませんが、一たび噴火したら大きな災害を引き起こす可能性があります。そのため、活火山の周辺にお住まいのかたはもちろん、観光や、登山で訪れるかたは、気象庁から発表される火山に関する防災情報に注意を払っていただければと思います。

(村上)
火山に関する防災情報って、どんなものなんですか?

(今野)
気象庁が発表する火山に関する防災情報には「噴火警報」や「降灰予報」などがあります。
「噴火警報」は、生命に危険を及ぼす火山現象の発生が予想される場合などに「噴火警戒レベル」と合わせ発表するものです。

(今野)
また「降灰予報」は、火山灰の降る量や範囲、風に流されて小さな噴石が落下する範囲を予測して発表するものです。

(杉浦)
「噴火警戒レベル」というのは、5段階に区分されていまして、「警戒が必要な範囲」と、防災機関や住民などの「とるべき対応」が示されているものですよね。

(今野)
はい。噴火警戒レベル1であれば通常の生活を行っていただいて構いませんが活火山であることにはご留意ください。レベル2では、火口に近づいてはいけませんし、レベル3になったら、山に近づいてはいけません。レベル4が発表されたら、高齢者など配慮が必要なかたは避難。レベル5は危険な地域にいるかたは全員避難です。地元の市町村の指示があった場合はそれに従って行動してください。

(村上)
噴火警戒レベルには常に注意を払って行動しないといけないということですね。

(杉浦)
それに、噴火警報が発表される、されないに関わらず、事前に備えてほしいこともありますよね。

(今野)
はい。地元住民のかただけでなく、登山や観光で活火山の周辺へ行くかたも、各自治体のサイトから地元のハザードマップを見て、事前に噴火警戒レベルに対応する危険な場所はどこか、避難場所はどこかなど、確認しておきましょう。登山で活火山に入るかたは、「火山への登山のしおり」に必要な装備や情報、噴火時の対応や連絡先がまとまっていますのでご確認のうえ、火山ガスや噴気地帯にも気をつけて登山計画を立ててください。

(村上)
「火山への登山のしおり」ってどこで見られるんですか?

(今野)
「気象庁 火山防災」で検索すると、気象庁ホームページの「火山防災の日」特設サイトの中でご覧いただけます。こちらでは今日お話しした火山や火山防災に関する情報をまとめてご紹介しておりまして、監視カメラで現在の火山の様子なども確認することができます。
また、明日8月26日に開催されます、内閣府や火山防災強化推進都道県連盟主催の「「火山防災の日」制定記念イベント」の情報などもご案内しておりますので、ぜひチェックしてみてください。

(杉浦)
僕も「火山防災の日」特設サイトを見たんですけども、「日本の活火山写真集」などもあって、めちゃくちゃ充実していましたよ。是非、見てみてください。

(今野)
明日、8月26日は「火山防災の日」です。私たちは火山がもたらす恵みの中で生活していますが、ときに火山は、噴火活動により私たちに被害をもたらすこともあります。火山と共存し暮らしている私たちだからこそ、どうぞ「火山防災の日」をきっかけに、火山防災について考え、理解を深めていただければと思います。

(村上)
今日私が特に注目したのは、やっぱりこれでしょ!「8月26日 火山防災の日」です。

(杉浦)
僕は「活火山へお出かけする際は事前にチェック!!」です。登るかただけでなく、観光とかその周辺に行くかたもいると思うので。


「 関連リンク 」
気象庁「「火山防災の日」特設サイト」
内閣府「火山対策」
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