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キズナを深めよう!太平洋・島サミット

キズナを深めよう!太平洋・島サミット

太平洋に浮かぶ島国や地域と日本は、とても重要な関係であることをご存知ですか?
そこには、同じ島国ならではの共通の課題があり、共に取り組み、人物交流を深めてきました。
今回は、「キズナを深めよう! 太平洋・島サミット」というテーマで学びました。
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(杉浦)
早速ですが、問題です!「アツイネ」、「ダイジョブ」、「ツカレナオス」 この三つに共通することはなんでしょうか?

(村上)
えぇー、何だろう?「ツカレナオス」は初めて聞きました。三つとも、追い込まれた時に使いそうな。そこは私がアスリートなもので。

(杉浦)
そっか、なるほどー!答えは、パラオに根付いている日本語です。「アツイネ」、「ダイジョブ」は、日本語がそのままパラオで使われているんだって。「ツカレナオス」は、「ビールを飲む」っていう意味がある、「お酒を飲んだら疲れが治る」みたいな。そういう意味があるかもしれないんだって。

(村上)
なるほど!面白いですね。ちなみに、パラオって、どの辺りにある国でしたっけ?

(杉浦)
パラオは、日本から約3,000キロメートル南の方、フィリピンのすぐ東に位置するミクロネシア地域に浮かぶ島国で、なんと586もの島々が連なっているんだよね。第二次世界大戦時に日本とアメリカが激戦を繰り広げたペリリュー島もパラオの島の一つで、パラオと日本は、今年、外交関係樹立30周年を迎えているんだって。ここに地図があるんだけど、佳菜子ちゃん、パラオを探してみて!

(村上)
パラオ以外にも、周りにも島がいっぱいありますね。こんなにたくさんあるって知らなかったです。

(杉浦)
この辺りの太平洋の国は日本に友好的で、パラオ、ミクロネシア連邦、マーシャル諸島には日本の委任統治領だった歴史的な背景もあって、日本の言葉や文化が現地の暮らしの中に残っているんだよね。ミクロネシア連邦には、「もりさん」、「なかそねさん」、「なかむらさん」という名字のかたもいらっしゃるんだって。

(村上)
そうなんですね!知らなかった。それ以外に、マーシャル諸島にはどんな日本語が残っているんですか?

(杉浦)
他には、「デンキ」、「サンポ」、「アミモノ」など、いろんな言葉がそのままの意味で使われてるんだって。「アミモノ」は、マーシャル諸島では、「ヤシなどの葉の繊維を使って編み上げた工芸品」のことで、日本の編み物に由来して付けられたんだって。また、マーシャルの人の中には、日本の名前のかたも多くて、中には「モモタロウ」さんという名字のかたもいらっしゃるんだって!

(村上)
名字なんだ!面白い。

(杉浦)
日本人はみんなピンとくるワードだよね。こうした、親密な関係が続いているのは、今日のテーマ「太平洋・島サミット」が深く関係しているということなので、ここからは「太平洋・島サミット」を学んでいきましょう。講師は、外務省アジア大洋州局大洋州課 岩崎 竜司さんです。

(村上)
岩崎さん、「太平洋・島サミット」って、私は初めて聞きますけど、どういったものなんですか?

(岩崎)
「太平洋・島サミット」は、日本と太平洋の島からなる国と地域が関係を深めて、太平洋地域の安定と発展に取り組むために、首脳レベルで話合いをする会議なんです。太平洋に浮かぶ島国や地域は、日本にとって非常に重要な存在ということもあり、今から30年近く前の1997年から3年ごとに開催していて、今年で10回目を迎えるんです。

(村上)
どういった点で日本にとって重要なんですか?

(岩崎)
太平洋に浮かぶ国々と地域は、先ほど、杉浦さんがおっしゃっていたように、歴史的な背景から日系人が多い地域もあって親日的で、日本と緊密に連携をしているパートナーなんです。第二次世界大戦においては日米の激戦地となった場所も多くて、今でも戦没者の遺骨収集活動が行われ、更に慰霊が行われています。これらの国々は外国で命を落とした日本人を敬い弔うことを大切にしてくれており、こうした活動にも協力してくれております。

(村上)
日本の友人なんですね。

(岩崎)
はい、また、多くが陸地よりも大きな水域を持っていて、日本の漁船は、その広大な排他的経済水域でマグロやカツオを取っています。その漁獲量は全体のおよそ4割にも上り、日本の主要な漁場になっています。さらに、日本はエネルギーの多くを外国に頼っていますが、石炭と液化天然ガスは、オーストラリアから最も多く輸入しています。そのため、太平洋の島国と地域の水域は、日本とオーストラリアを結ぶ非常に重要な海上輸送路になっているんです。また、パプアニューギニアからは液化天然ガスを輸入しており、日本の重要な資源の供給元となっているんです。

(杉浦)
つまり、佳菜子ちゃん!太平洋の島国と地域は「日本の食卓と経済を支えている存在」ってことなんだよね。

(村上)
めちゃくちゃ重要じゃないですか!「太平洋・島サミット」に参加される国と地域って具体的には?

(岩崎)
今回の島サミットには、三つの地域、ミクロネシア、メラネシア、ポリネシアにある14か国と、ニューカレドニアとフレンチ・ポリネシアにある地域、そして、オーストラリアとニュージーランド、これに日本を加えた19の国と地域が参加することになっております。

(杉浦)
パラオ、ソロモン諸島、フィジー共和国、トンガなどなど、たくさんの国が参加するんだって。佳菜子ちゃん、行ったことある国はある?

(村上)
聞いた国や地域の名前はあるんですけど、やっぱり暖かい場所には、あまりスケートで行ったことがなくって…。

(杉浦)
氷が解けちゃうからね!プライベートではどう?

(村上)
プライベートでも行ったことはないんですよ。太陽さんはどうですか?

(杉浦)
僕は、新婚旅行でパラオに行きました。もう17年前になるけども、最高だね。僕は、ダイバーなんだけど、パラオはダイバーの聖地とも言いますから、絶対、潜った方がいいよ。魚種が豊富で、なんなら野生のジュゴンに会えるよ。すごい国なのよ。クラゲの天国みたいな島もあるし、ここ…天国なんだ!みたいな。パラオは絶対に行ってほしい!

(村上)
岩崎さん、「太平洋・島サミット」には、ほんとに魅力的な島や地域が参加するんですね。

(岩崎)
確かに魅力的なんですが、実は、太平洋の国々と地域は、島国特有の課題に直面しておりまして、それは日本も同じなんです。そのために「太平洋・島サミット」でそうした課題に向けた話合いが行われているんです。

(杉浦)
そこで、ここからは、課題の内容や、日本の協力について学んでいきましょう。

(村上)
岩崎さん、太平洋に浮かぶ国々と地域には、どんな課題があるんですか?

(岩崎)
はい。大きく分けると、三つの課題に直面しています。一つは「国土が狭く分散」していることです。そのため人口が少なく、国内市場が小さいので、成熟した産業が育ちにくいんです。

(杉浦)
例えば、ナウル共和国やツバルは、東京の品川区とほぼ同じ面積の島で、人口は1万1,000人から3,000人ほど。ナウルの主要産業はリン鉱石の採掘といった鉱業ですが、すでに枯渇状態。ほかに経済を支えるめぼしい産業はなく、自給可能な食糧産業もないため、食糧や生活物資のほとんどを海外からの輸入に頼っているんですよね。

(岩崎)
はい。二つ目の問題は「国際市場から遠い」という点で、主要な国際市場から地理的に遠く、輸送コストが高くついてしまいます。そのため、ナウルのように輸入に頼っている国は、世界的な石油価格上昇の影響を受け、物価も上昇してしまいます。また、国土である離島が離れており、同じ国内でも移動に大変な時間を要してしまうということもあります。

(村上)
それは、日本にも似た問題がありますね。

(杉浦)
物価高ですね。

(村上)
そして、三つ目の問題は?

(岩崎)
「自然災害や気候変動などの環境変化に弱い」という点です。地震やサイクロンなどの自然災害が多発するエリアで、実際、先月には、パプアニューギニアで大きな地滑りが起きました。日本からは、テントや毛布等の緊急援助物資を送り、国際機関を通じた緊急援助を行いました。また、海面上昇によりツバルなどは国土が海に沈んでしまう強い危機感を有しております。

(村上)
太平洋の国々は、日本と同じように色んな自然災害の課題を抱えているんですね。

(岩崎)
そのため、日本は太平洋の島国や地域に対して、資金や知識、技術を提供して課題の解決に協力しております。例えば、政府開発援助(ODA)などを通じて空港、港、病院、橋などの社会経済活動に必要な大型のインフラを整備しています。また、未来を担う若者らの技術力や知識を向上させるために、専門家を派遣して様々な分野の研修なども行っています。

(村上)
近頃では、どんな支援をしたんですか?

(岩崎)
サモアに「太平洋気候変動センター」という研修施設を整備しました。サモアには、もともと「太平洋地域環境計画事務局」があり、その気候変動業務の強化と、環境や気候変動に強い国作りのための人材育成を目的とした施設です。これは、第7回の太平洋・島サミットで日本が支援を表明した重点分野である「防災」、「環境」そして「気候変動」に役立つ取組の一つなんです。

(杉浦)
僕も事前にその研修センターの写真を見たんですけど、プロジェクターやパソコンが設置されている空間や、広い多目的ルームなどがあって、非常に立派な研修施設でしたよ。

(村上)
その場所で気候変動に関する、様々な研修がされてるってことですね。

(岩崎)
はい。施設が新しく立ち上げたeラーニングプラットフォームを活用して開催された研修では、13の国と地域からなる54名が参加して、災害に強い建物の構造などについて学びました。この施設では、このような研修が盛んに行われています。

(村上)
研修施設が有益に使われているんですね。

(杉浦)
岩崎さん、太平洋の島国とは様々な人物交流が行われているそうですね。

(岩崎)
はい。例えば、JICA海外協力隊を太平洋の島国10か国に、これまで約4,000人を派遣してきました。太平洋の国々は、国土の狭さや廃棄物の増加、処理施設の不足等で、廃棄物の処理が非常に大きな課題の一つになっております。最初に紹介したパラオでは、協力隊員をリサイクルセンターに派遣し、廃棄物管理の指導や生ゴミなどから肥料を作るコンポスト施設の開発を行いました。その協力隊員の活動が高く評価され、現在はパラオのコロール州政府に雇用され、地域の住民とキズナを深めています。

(杉浦)
太平洋の国々の課題に、日本の強みを生かして貢献しているんですね。

(岩崎)
はい。その協力隊員は、空き瓶などのガラスをリサイクルし、吹きガラスの技法を使用してガラス工芸品を生み出す活動を支援しています。廃ガラスが亀の形の置物やカラフルなピアスなどに生まれ変わり、お土産としても販売されているんです。

(村上)
素敵ですねー!他にはどのような人物交流が行われていますか。

(岩崎)
JENESYSという青年交流プログラムの一環として、太平洋の島国の青年を日本に招へいしています。今年3月には、島国やニュージーランドの計10か国の学生が日本を訪れ、平和学習として広島を訪問したり、日本文化を学ぶために福島でホームステイをして地域の住民とキズナを深めました。

(村上)
日本と太平洋の国々は歴史的にもつながりがあるだけでなく、各国の課題に日本が共に取り組み、人物交流を深めることで、重要な信頼関係を築き、キズナを深めているんですね。今年の「太平洋・島サミット」では、どのようなことが話し合われる予定なんですか?

(岩崎)
今年は、7月16日から18日までの3日間、東京で開催されます。10回目となる今回は、気候変動や防災、海洋や環境、人的交流、経済開発、平和や安全など、太平洋の島国と日本が共有する様々な問題に共に取り組んでいくための協力を重点的に議論する予定です。

(杉浦)
では、最後にメッセージをお願いします。

(岩崎)
太平洋に浮かぶ国々と地域は、日本と同じ海に生きる大切なパートナーです。是非、今回の「太平洋・島サミット」にご注目いただくと同時に、それぞれの国と地域について、理解を深めていただければと思います。

(村上)
私が今日、注目したのはズバリ「太平洋・島サミットに注目」です!まず、知ってもらいたいですね。

(杉浦)
僕が注目したのは「太平洋の島国と日本のキズナ」です。やっぱり、密接な関係にありますからね。


「 関連リンク 」
外務省「太平洋・島サミット(PALM)」
外務省「アジア大洋州地域との交流JENESYS」
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