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ヘイトスピーチ、許さない。違いを認め尊重しよう!

ヘイトスピーチ、許さない。違いを認め尊重しよう!

日本のみならず、世界的な課題でもあるヘイトスピーチ。
この課題を解消するには、私たち一人ひとりの意識や行動がポイントに。
今回は、「ヘイトスピーチ、許さない。違いを認め尊重しよう!」というテーマで学びました。
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(杉浦)
最近、街を歩いていると、外国のかたが増えたなーって思うよね。

(村上)
そうですね。最近だと、観光の人も多かったりしますよね。私は地元が名古屋なんですけど、小さい頃から外国のかたが住んでいることが多かったです。同級生にも、中国のかたとか、あとはネパールのかたとか、私の初恋の!結構学校でも多かったんですよ。

(杉浦)
僕が通っているジムにも外国のかたが多いね。一緒にサウナに入ったりしてるよ。円安の影響もあって、実際、観光で日本に来るかたは増えているよね。それに加えて、日本で暮らす外国のかたも増えているそうで、昨年末の在留外国人数は、なんと、およそ342万人、過去最高だって。

(村上)
おぉ!すごいですね。日本に興味をもって来てくれるかたがいるのはもちろんですけど、日本は人手不足だから、働きに来てくれるかたも増えてるんでしょうね。

(杉浦)
ただ、こうした現状がある中で、言語とか宗教、生活習慣などの違いから、外国人をめぐって様々なトラブルが起こっているんだよね。そこで、今日は「ヘイトスピーチ」と「外国人の人権」について学んでいきます。講師は、法務省人権擁護局総務課人権擁護推進室長の杉山 典子さんです。

(村上)
杉山さん、ヘイトスピーチという言葉は聞いたことがあるんですけど、具体的にどういうことをヘイトスピーチと言うのか、詳しく知らないかたも多いと思うので教えていただけますか?

(杉山)
はい。法律上は、ヘイトスピーチに明確な定義はありません。しかしながら、街頭デモやインターネット上で、特定の国や地域の出身者や特定の民族のかたを、そのことのみを理由に、一方的に「社会から追い出そうとしたり」、「危害を加えようとしたり」、「著しく侮蔑したり」する言動が見られ、このような言動が一般的にヘイトスピーチと言われています。

(杉浦)
佳菜子ちゃんは街頭で行われているデモとか見たことない?「〇〇人は日本から出ていけ」とか「〇〇人は祖国へ帰れ」などと書かれたプラカードや横断幕を持って活動している人たち。

(村上)
日本では私は見たことなくて、逆に、アメリカとかでアジアンへイトで悩んでいるというのを友達から聞いたことがあります。

(杉浦)
以前、サッカーの競技場で「JAPANESE ONLY(日本人だけ)」という横断幕が掲げられて、広く報道されたことがあったけれども、これも、暗に特定の国の出身者を排斥しようとするもので、ヘイトスピーチに当たるものだよね。

(杉山)
差別と認識されるような横断幕が提示されたことはとても残念なことです。法務省では、スポーツ団体とも連携して、ヘイトスピーチ解消に向けた呼びかけを行っています。

(杉浦)
以前は、街頭での宣伝活動が多く見受けられましたが、近頃はインターネット上でのヘイトスピーチが目立っているそうですね。

(杉山)
はい。インターネット上では誰もが匿名でヘイトスピーチを行うことができてしまいます。しかも、投稿したことが、世界中にリアルタイムで拡散されたり、永続的に残る可能性があり、ヘイトスピーチによる被害が深刻化している印象があります。

(杉浦)
一度、ネットに流れた情報はなかなか消えませんから、しばらく経ってから、再び注目を集めてしまうこともありますよね。

(杉山)
はい。また、SNSに書いてあることをうのみにして、真実かどうかを確かめずに、気軽な気持ちで、ヘイトスピーチに当たる投稿を拡散する人もいます。

(杉浦)
確かに、僕も日頃からSNSを活用していますけど、誰が発信したものか、その内容の真偽はどうなのか、そういうことを確認もせずに拡散する人が本当に多いなって実感しています。デマもそうですけど、投稿内容が刺激的であればあるほど、拡散する傾向があるんですよね。ネット上のヘイトスピーチは大きな問題です。

(村上)
こういう話を聞いていると、悲しくなるのを通り越して、心が苦しいです。私がもし外国に行って、日本人やアジア人という理由だけで「出て行け。」なんて言われたらつらいし、先ほどの友達のアジアンへイトのことを聞くと、ちょっとその国に行くのをしばらくやめておこうかなと思っちゃいますね。

(杉浦)
逆に優しくされたら、その国にまた行こうとなるしね。やっぱり人と人だからね。当事者でない人々でもヘイトスピーチを見たり聞いたりすると不安な気持ちになるし、嫌悪感を抱くんだから、直接、攻撃されている方々は、もっと深く心を傷つけられているよね。杉山さん、ヘイトスピーチの問題は深刻ですね。

(杉山)
はい。特定の国の出身者に対するものであるかを問わず、国籍、人種、民族などを理由としたヘイトスピーチは、言われている人々の心を傷つけ、尊厳を踏みにじるもので、決してあってはなりません。また、問題はそれだけではありません。ヘイトスピーチを見聞きした人々に、ヘイトスピーチの対象となっている人々に対する差別意識を新たに生じさせるおそれがあるものです。

(村上)
それまでは、何も思っていなかったのに、ヘイトスピーチを見聞きしたことによって、特定の国や地域の出身者や特定の民族のかたを意識して見るようになってしまう危険性があるってことですよね。

(杉山)
はい。ヘイトスピーチによって偏見や差別が助長されてしまうことは極めて問題です。実際、インターネット上でヘイトスピーチに当たる言動を見たり聞いたりした人が影響を受け、差別意識が動機になった犯罪行為にまで至った事件が報道されたこともあります。

(村上)
海外は日本以上に、色々な人種や民族の方々が生活を共にしてると思いますけど、外国人への差別意識などは、どういった状況ですか?

(杉山)
残念ながら諸外国でも、外国人を排斥する動きは根強くあり、問題になっているとのニュースを目にすることがあります。こうした状況から、2021年に国連総会において毎年6月18日を「ヘイトスピーチと闘う国際デー」と定める決議が採択され、その翌年には、アントニオ・グテーレス事務総長から「ヘイトスピーチはあらゆる人々にとって危険であり、それと闘うことは私たち全員の責務」である旨のメッセージが示されるなど、国際社会においてもヘイトスピーチへの対応が求められています。

(村上)
ヘイトスピーチをなくしていくことは、世界的な課題なんですね。では、ヘイトスピーチをなくすために、私たちにできることには、どんなことがあるんでしょうか?

(杉浦)
そう、そこが今日の大切なポイントですよね。

(村上)
杉山さん、ヘイトスピーチをなくすために、私たちにできることは、どんなことでしょうか?

(杉山)
まずは、ヘイトスピーチをなくしていく必要性について、みんなが理解を深めていくことが重要だと思っています。

(杉浦)
佳菜子ちゃん、日本には「ヘイトスピーチ解消のための法律」があるんだけど、知ってる?

(村上)
知らなかったです。そうなんだ!杉山さん、その法律はどんな内容なんでしょうか?

(杉山)
「ヘイトスピーチ解消のための法律」は、特定の国や地域の出身者やその子孫に対して危害を加えたり、著しく侮蔑したり、地域社会から排除することを扇動する不当な差別的言動を許さない、ということを宣言し、国や地方公共団体に対して、不当な差別的言動を解消するために、更なる人権教育や人権啓発などの施策を講ずることを求めています。また、私たち国民も、こうした差別的言動の解消が必要であることを理解し、差別的言動のない社会の実現に努めなければならない、という内容も盛り込まれています。

(杉浦)
この法律を踏まえて、僕たちにできることはなんだろうと考えると、やっぱり、外国の方々に対する理解を深めることだと思うんですよね。実際、ヘイトスピーチだけでなく、言語や宗教、生活習慣などの違いから、外国人をめぐっては、様々な人権問題が起こっているわけですしね。

(村上)
それって、具体的にはどんなことですか?そもそも「人権」って、よく聞きますが、「人権」の本当の定義をちゃんと理解できていないので、杉山さん改めて「人権」の定義とはどういうものなんでしょうか?

(杉山)
「人権」と言うと難しいことのように思われがちですが、「人権」とは「全ての人々が生命と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利のこと」です。こどもたちには「命を大切にすること」、「みんなと仲良くすること」と話しています。

(村上)
そうやって聞くと、当たり前のことですね。

(杉山)
はい。しかし、外国人だからという理由だけで、アパートへの入居や、宿泊施設の利用などを一律に拒否される事案などが起こっています。

(村上)
なんで、外国人だからという理由だけで拒否するんですかね?実際にトラブルになるようなことがあったんですかね?

(杉浦)
外国の方が「ホテルの備品を持ち去ってしまう」とか、「ゴミ捨てのルールを守ってくれない」、「銭湯に水着を着て入ってしまう」とか、そういうトラブルは聞いたことがありますけどね。

(村上)
でも、そういうトラブルはちゃんと説明すれば減らすことができるんじゃないかなと思います。それに外国人だけがそういうトラブルを起こすわけじゃないし、日本人だってルールを守らない人はいますよね。

(杉山)
そうですね。ただ、言葉の壁があると、どうしてもコミュニケーションがとりづらくなるので、トラブルを避けようとするあまり、外国人だからという理由だけで一律に断ってしまう、という不適切な対応がとられてしまうのかもしれません。

(杉浦)
佳菜子ちゃんは、現役時代、海外へ行くことが多かったでしょ。実際に、海外の選手たちと話してみて、どんな印象を持っている?

(村上)
海外に行く前までは、こうでなきゃいけないというのが自分の中でありました。でも、海外の試合に行って、外国人の選手たちと触れ合ったり、街の人たちと触れ合ったことで、個性って素晴らしい、違いってこんなに素敵なんだと気付くことができて、自分に自信が持てました。

(杉浦)
そうだよね。自分に持っていないものを持っている、イコール、尊敬するところも出てくるよね。

(村上)
そうなんです。だから、いろんな国や場所に行くのはいつも楽しみでした。

(杉浦)
佳菜子ちゃんは、こうやっていろんな経験をしてきましたけれども、多くの人が、外国の方々との違いを認め合って、尊重し合えるようになれば、それが一番ですよね。杉山さん、法務省では、外国の方々に対する理解を深める取組を行っていますよね。

(杉山)
はい。法務省では、全国の都道府県や市町村と協力しながらシンポジウムを開催しているほか、ポスターや啓発映像をホームページで公開しています。また、全国の法務局では、ヘイトスピーチによる被害など、人権に関する問題でお悩みのかたが誰でも対面で相談できる窓口を設けています。また、電話で相談できる「外国語人権相談ダイヤル」やメールで相談できる「外国語インターネット人権相談受付窓口」もあり、これらは10の言語で対応しておりますので、日本語での相談が難しいかたが周りにいらっしゃったら、ぜひ教えていただければと思います。

(杉浦)
「法務省 外国人人権相談」で検索すると、該当するページをすぐに見つけられます。では、最後にメッセージをお願いします。

(杉山)
ヘイトスピーチは、言われている人々の心を傷つけたり、そのような人々に対する差別を生じさせるおそれがあり、いかなる社会においても決してあってはならないものです。大切なのは、外国人に限らず、人と人とがお互いの理解を深め、尊重し合うことです。思いやりの気持ちを持ち続けていきましょう。

(村上)
今日の話の中で特に注目したのは、やはり「違いもステキ」です。私は、違うということがきっかけで、個性っていいなと思えたから、やっぱり、同じようにポジティブに捉えていければ、変わっていくのかなと思います。

(杉浦)
そうだよね。ネガティブに捉えると壁ができちゃうんだけど、違いを認め合っていくと、もう、みんなLOVE&PEACEですよね。僕が注目したのは「違いを認め、尊重し合う。LOVE&PEACE」です。


「 関連リンク 」
法務省「ヘイトスピーチ、許さない。」
法務省「外国人のための人権相談」
法務省「インターネット人権相談受付窓口へようこそ!」
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