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知っていますか?C型肝炎特別措置法

知っていますか?C型肝炎特別措置法

“心当たりのあるかた”または、対象となる“年齢に当てはまるかた”は、是非、肝炎ウイルス検査を!
今回は、「知っていますか? C型肝炎特別措置法」というテーマで学びました。
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(杉浦)
佳菜子ちゃんは「C型肝炎」という病気を知ってる?

(村上)
B型肝炎は聞いたことがある気がしますけど、C型もあるんですね。

(杉浦)
「C型肝炎」というのは、C型の肝炎ウイルスに感染することで起きる「肝炎」、つまり肝臓の病気なんだよね。

(村上)
C型というくらいだから、A型など、他の種類もあるんですか?

(杉浦)
ウイルス性の肝炎はA、B、C、D、E型などウイルスの種類によって区別されていて、AとEは主に食べ物を介して感染して、B、C、D型は主に血液を介して感染するんだって。怖いよね。この中で、慢性化するのはB型とC型で、C型肝炎の場合、感染したかたのうち、およそ30パーセントは自然に治るけど、残りの70パーセントは慢性肝炎になる可能性があるみたい。

(村上)
慢性化するって、怖いんですけど。どうなるんですか?

(杉浦)
20年から30年かけて、「肝硬変」とか「肝臓がん」に進行することがあるんだって。「肝硬変」は漢字で「肝臓が硬く変わる」って書くんだけど、まさに徐々に肝臓が硬くなって機能が大きく低下するんだって。怖いね。

(村上)
長い期間をかけて悪くなってしまうってことですね。症状はないんですか?

(杉浦)
ウイルス性の肝炎は自覚症状が少ないことで知られていて、ある場合でも主には、「なんとなくだるい」とか「食欲がない」など、一般的な体調不良くらいなので、非常に気付きにくい、やっかいな病気なんだよね。

(村上)
C型肝炎は「主に血液を介して感染する」ってことですけど、それって例えば?

(杉浦)
汚染された注射器とか注射針を使用した場合や、母子感染などもあるんだけど、血液から作られた「医薬品」、いわゆる「血液製剤」の投与によってC型肝炎に感染しているかたがいるんだって。

(村上)
医薬品って、つまりお薬ですよね?薬から感染するなんてことあるんですね!

(杉浦)
そうなんです。ここからは、今日の講師に伺っていきましょう。厚生労働省医薬局血液対策課課長補佐の金子 健太郎さんです。

(村上)
金子さん、血液製剤の投与によってC型肝炎に感染したかたがいるということですけど、血液製剤ってどういう時に使うお薬なんですか?

(金子)
はい。献血などにより提供された、ヒトの血液を原料として作られた医薬品を「血液製剤」といいます。「血液製剤」には、輸血に使われるものと、出血を止めるために使われる、いわゆる「止血剤」があります。私たちの血液には、出血した時に血液を固めるのに必要な血液凝固因子という成分が含まれているのですが、その成分を取り出して医薬品が作られています。

(村上)
その血液製剤というお薬で、なぜC型肝炎に感染してしまったのでしょうか?

(金子)
C型肝炎の感染経路には様々ありますが、1964年から1986年まで販売されていた当時の血液製剤にC型肝炎ウイルスが入っていたため、その血液製剤を投与されたかたの中に、ウイルスに感染して慢性肝炎や肝硬変、肝臓がんなどの病気になってしまったかたがいらっしゃるんです。

(村上)
ウイルスが混ざった状態の医薬品が販売されていたなんて、驚きですね。50年も昔に感染してしまったようですが、どういうことなのでしょうか?

(金子)
はい。今は科学技術が進歩しまして、ウイルス性の肝炎に様々な種類があることが分かっていますが、その昔はA型とB型の2種類しかなく、A型でもB型でもない肝炎は「原因不明の肝炎」とされていました。

(杉浦)
C型肝炎のウイルスが発見されたのは1988年なんですよね。なぜ、そのような血液製剤が使われていたんでしょうか?

(金子)
はい。それまでは「輸血を受けると、原因は分からないけれど高い確率で肝炎になる場合がある」ということくらいしか分かっていませんでした。そうした時代背景の中で作られた血液製剤は、当時としては安全性を守るための製造工程を経てはいましたが、やはり十分ではなく、C型肝炎ウイルスが入った血液製剤が作られてしまい、世界中で使われてしまっていたんです。

(村上)
そうなんですね。その当時の血液製剤って、具体的に何という薬だったんですか?

(金子)
「フィブリノゲン製剤」と「血液凝固第Ⅸ因子製剤」と呼ばれる医薬品にC型肝炎ウイルスの混入リスクがありました。ですから、1964年から1994年ぐらいまでの間に、出産や手術などの際に、大量に出血して止血剤としてこれらの血液製剤を使われたかたは、C型肝炎ウイルスに感染している可能性があります。

(杉浦)
どれくらいのかたが、その血液製剤を投与されているんですか?

(金子)
対象となる血液製剤が納入されたと分かっている医療機関は7,000ほどあります。しかし、残念ながら20年以上も前のため、記録が残っていた医療機関は、7,000のうちわずか1,500ほどに過ぎず、投与されたことが判明したかたは、2万から3万人ほどでした。

(村上)
そうなんですね。ということは、他にもまだ、投与された可能性のあるかたがいらっしゃるということですね。

(金子)
はい。その時代に出産や大きな手術などをされたかたとなりますと、おそらく現在70歳以上、幼いうちに大きな病気やけがで輸血をされたことがあれば40歳、50歳以上のかたの中に、投与された可能性があるかたがいます。しかし、その数は、正確には分からない状況です。

(杉浦)
何十年も前のことですよね。投与されたかどうかなんて、自分でも、わからないんじゃないですか?

(金子)
投与されたことが判明したかたには病院からお知らせを行っていただいています。しかしながら、連絡先が不明な場合もあり、可能性があることを知らないかたがいまだに大勢いる状況です。

(村上)
なんとも、もどかしいですね。

(金子)
はい。ですから、1964年から1994年頃になんらかの理由により大量の出血があり医療機関で処置した経験があるかたは、「肝炎ウイルス検査」を受けていただきたいんです。そして、C型肝炎ウイルスが入った血液製剤を投与したことが原因でC型肝炎ウイルスに感染したと判明したかたは、是非、「C型肝炎特別措置法」に基づき、給付金を受け取っていただきたいです。

(村上)
金子さん、「C型肝炎特別措置法」に基づく給付金があるということですが、これは、どういったものなんですか?

(金子)
はい。「C型肝炎特別措置法」に基づく給付金は、特定の血液製剤の投与によりC型肝炎に感染したかたを救済するための給付金です。2002年以降、C型肝炎ウイルスが入っていた血液製剤である特定の「フィブリノゲン製剤」や「血液凝固第Ⅸ因子製剤」の投与によりC型肝炎ウイルスに感染した方々によりまして、国と製薬企業に対して「C型肝炎訴訟」が提起されました。この訴訟の解決を図るために、いわゆる「C型肝炎特別措置法」が制定され、2008年1月16日から施行されました。

(杉浦)
国は感染被害者の方々に甚大な被害が生じ、その被害の拡大を防止できなかったことについて、率直に責任を認めているんですよね。

(金子)
はい。お金を給付することで責任を果たせるものではないことは承知しておりますが、C型肝炎ウイルスに感染されたかたや、それにより、尊い命を失ってしまったかたのご遺族には、この「C型肝炎特別措置法」に基づく救済の仕組みに沿って給付金を受け取っていただければと思います。

(村上)
給付金は、どうすれば受け取ることができるんですか?

(金子)
この給付金の対象となるのは、妊娠中や出産の時、または手術や特定の病気により大量出血するなどして、特定の血液製剤の投与を受けたことによって、C型肝炎ウイルスに感染されたかたです。ただ、給付を受けるには、まず、国を相手として裁判所へ訴訟を起こす必要があります。

(杉浦)
国を相手として訴えるということですね。

(金子)
はい。すると、裁判所において、対象となる血液製剤が投与されたかどうか、その投与と感染の因果関係、症状について判断がなされます。そして、これらの事実関係が認められる旨の判決が確定、または和解・調停が成立した場合には、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)に給付金の支給を請求します。

(村上)
この手続きをしないと給付金を受け取ることができないということですね。ちなみに、どのくらい給付されるものなんですか?

(金子)
裁判手続きの中で認められた症状に応じて、1,200万円から4,000万円までが、ご本人や、亡くなられたかたのご遺族に支給されます。

(村上)
訴訟を起こすなんて、手続きが難しそうなイメージがありますけど、どうなんでしょうか?

(金子)
厚生労働省ではC型肝炎や給付金に関する相談窓口を設けております。また、政府広報オンラインのページでは、C型肝炎の情報や厚生労働省の相談窓口などもまとめて紹介していますので、そちらをご確認ください。詳しくは「C型肝炎特別措置法」で検索をお願いいたします。なお、訴訟の提起には2028年1月17日までの期限がありますので、最寄りの弁護士会や法テラスにご相談いただければと思います。

(村上)
金子さん、改めて、一人でも多くのかたに知ってもらいたいことは?

(金子)
C型肝炎ウイルスは、感染しても無症状のまま経過することが少なくありません。1994年、平成6年頃までに、大量の出血があって医療機関で治療を受けたなど、特定の血液製剤を投与された可能性があるかたは、自覚症状がない場合でも、「肝炎ウイルス検査」を受けてください。

(杉浦)
対象となる可能性のあるかたや、当該の血液製剤の納入が確認できている医療機関リストについては、厚生労働省のC型肝炎に関するページに記載されていますよね。

(村上)
その「肝炎ウイルス検査」はどこへ行けば受けられるんですか?

(金子)
お近くの保健所や医療機関で無料、または低額で受けることができます。詳しくは、お住まいの自治体にお問い合わせください。C型肝炎は早期発見・早期治療が重要です。心当たりのあるかたは、「肝炎ウイルス検査」を受けてください。

(村上)
私が今日の話を聞いて特に注目したことは「心当たりのあるかたは肝炎ウイルス検査へ!」です。自覚症状がなくても、「もしかしたら…」というかたは検査に行ってほしいですね。

(杉浦)
感染の可能性のある年代も分かっているから、その範囲の中に入っている!と思ったら検査に行ったほうがいいですね。僕が今日の話の中で特に注目したことは「C型肝炎特別措置法」。これを理解することだね。給付を受けるには国を相手として裁判所へ訴訟を起こす必要があるから大変だけれども、そこもちゃんとサポートがついているから、いろんなことを学んでいったほうがいいですね。


「 関連リンク 」
厚生労働省「出産や手術での大量出血などの際に、血液から作られた医薬品の投与によりC型肝炎ウイルスに感染したかたへのお知らせ」
厚生労働省「C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ(フィブリノゲン製剤納入先医療機関名の再公表について)」
厚生労働省「B型肝炎・C型肝炎ウイルス検査受診の呼びかけ(血液凝固因子製剤納入先医療機関名等の公表について)」
厚生労働省「出産や手術で大量出血したかたなどへ」
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