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大人だって学びたい!リスキリングをサポートする教育訓練給付制度

大人だって学びたい!リスキリングをサポートする教育訓練給付制度

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キャリアアップ、キャリアチェンジのための資格取得講座など、働きながら学べる場と、受講費用の一部を支給してくれる制度があるのをご存知ですか?

今回は、「大人だって学びたい! リスキリングをサポートする教育訓練給付制度」というテーマで学びました。
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(村上)
「リスキリング」って言葉、初めて聞いたんですけど、どんな意味なんですか?

(杉浦)
最近よく聞くようになってきたんだけど、いろいろな意味で使われることが多い言葉なんだよね。「キャリアアップやキャリアチェンジのための学び直し」や、日本では「スキルアップのための学び」という意味で使われることもあるみたいだね。例えば、「不動産会社で一般事務をしてたけれども、営業もしてみたくなって宅地建物取引士の資格を取るために学ぶ」とか、「今とは違う職業に就きたくなって専門の学校で学ぶ」とか、こうしたキャリアアップやキャリアチェンジを目指して学ぶことを「リスキリング」って言うの。

(村上)
そうなんだ! 仕事をしているうちに「もっとこうしたい」「もっとこうなりたい」って思うことありますもん。私もヨガの資格取ったりしました。

(杉浦)
取ったの!? リスキリングじゃん。

(村上)
わぁー! やってたー!(笑) 太陽さんは一級小型船舶の免許取ったり、野菜のことも。

(杉浦)
そうそう。野菜の資格も取って、キノコの資格も取ってるから、リスキリングー!(笑)

(村上)
社会人になってからやるってことも、リスキリングってことですね。やっぱり仕事の役にたってますか?

(杉浦)
(役に)たってるねー。やっぱり好きが高じて取ったけれども、僕らの場合それが仕事につながったじゃない。

(村上)
確かに! 私もヨガ雑誌の取材とか来ました。

(杉浦)
やっぱり? リスキリングー!(笑) でも不思議なのが、学校に通ってる時より社会人になってからの方が、学び欲が増してるなぁって感じしない?

(村上)
めちゃくちゃ感じます! ちゃんと学びたいと思って学びますしね。こういう気持ちって仕事をしてるかたなら、共感されるかたも多いんじゃないかなって思います。

(杉浦)
多いと思うよ! 実際に仕事をしていく中で、新しい知識や技術を習得したいって思うことはあると思うんだよね。そんなかたに是非活用してもらいたいのが、今日のテーマ「教育訓練給付制度」なんです! ここからは今日の講師に教えていただきましょう。厚生労働省雇用保険課 細川 拓郎さんです。

(村上)
細川さん、「教育訓練給付制度」ってどういったものなんですか?

(細川)
「教育訓練給付制度」は、働く方々の主体的なキャリアチェンジやスキルアップを支援するため、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了したかたに対して、受講費用の一部が支給される制度です。

(村上)
受講料を一部支給してもらえちゃうって、めちゃくちゃうれしいですよねー。ありがたいですよ。

(杉浦)
そうなんですよ…。僕、使うの忘れたんです、その時知らなかったんで。(みなさんは)今日学んでください、これ。でね、その給付率が昨年10月からアップして、なんと最大80パーセントになるケースもあるんだって!

(村上)
最大80パーセント!すごい。

(細川)
そうなんです。近年は、働き方が大きく変化し多様化していますので、「キャリア」は会社から与えられるだけでなく「働くひと、一人ひとりが自ら獲得していく」ことも重要という考えで、教育訓練給付制度を設けています。そのような中で昨年、働くかたのリスキリング、スキルアップの取組を更に強力に後押しするために、給付率の引上げを行ったんです。

(杉浦)
ただし、「対象となる講座」や「給付率」「対象になるひと」については、いろんな要件があるので、一つひとつ教えていただきましょう! 佳菜子ちゃんは何から聞きたい?

(村上)
やっぱり「対象となる講座」、ここすごい大事だなと思います。先ほど「厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練」とおっしゃってましたけど、指定されている教育訓練にはどういったものがあるんですか?

(細川)
はい。例えば、TOEICや簿記検定、宅地建物取引士、電気工事士など、様々な「資格取得」のための講座から、専門学校や大学に学生として通い、資格や学位などを取得するものまで、その数は1万6,000ほどあります。中には、オンラインや土日、夜間開講など働きながら受講できるものも多くあります。

(杉浦)
さっき資料を見たんだけど、表計算ソフトなどのパソコンスキルに関する講座とか、英語、中国語とかの外国語講座、インテリアコーディネーターとかもあったし、もう少し専門的なものだと、普通自動車第二種免許とか大型自動車第一種・第二種免許、さらに、介護福祉士、看護師、美容師、保育士などの資格取得を目指す講座、大学院や大学などで、MBAや建築などの修士や学位などの取得を目標とする課程、高度なITスキルの資格取得を目標とする講座もあるんだって。

(村上)
すごいですねー。それだけ種類がたくさんあれば、目当ての講座絶対ありますよね。

(杉浦)
当てはまると思うよ! 実は、対象の講座を検索できる「教育訓練講座検索システム」があって、さっき「マンガ」とか「アニメ」関係の講座もあるかなって思って検索してみたら、結構あったんだよね。佳菜子ちゃんが興味ありそうな「トリマー」もあったよ!

(村上)
トリマー! やってみたい!! でも確かトリマーの資格を取得するのって、結構費用がかかるんですよね。先ほど、教育訓練給付制度の給付率は最大80パーセントのケースもあるっておっしゃっていましたけど、給付率はどのように決まるんでしょうか?

(細川)
受講する教育訓練の種類によって給付率が変わってきます。実はこの制度では、教育訓練を「一般教育訓練」「特定一般教育訓練」「専門実践教育訓練」の3種類の分類で厚生労働大臣が指定しています。

(杉浦)
「一般教育訓練」っていうのは、働くかたの雇用の安定・就職の促進を支援する講座として指定されているもので、TOEICとか簿記検定、宅地建物取引士資格試験とか、そういうものに当てはまります。「特定一般教育訓練」は働くかたの速やかな再就職および早期のキャリア形成を支援する講座として指定されているもので、大型自動車第一種・第二種免許などがあります。そして「専門実践教育訓練」は、働くかたの中長期的なキャリア形成を支援する講座として指定されてるもので、介護福祉士とか看護師、保育士、調理師などがあるんですね。

(細川)
「一般教育訓練」の給付率は、受講費用の20%で上限は10万円。「特定一般教育訓練」の給付率は、昨年10月から10パーセントアップして、最大で受講費用の50パーセントで上限は25万円。「専門実践教育訓練」の給付率も、昨年10月から10パーセントアップして、最大で受講費用の80パーセントで、年間の上限が64万円です。例えば、専門実践教育訓練で修了までに3年を要する講座を受講する場合だと、3年で最大192万円が支給されます。

(村上)
大きいですねー!でもこれって、誰でも給付を受けられるわけじゃないですよね?

(杉浦)
そうだね。

(村上)
「教育訓練給付制度」は、厚生労働大臣の指定を受けた教育訓練を受講・修了したかたに対し、その費用の一部が支給される制度ということで、ここで気になるのは「支給の対象になるひと」です。細川さん、この制度の対象になるのはどういったかたでしょうか?

(細川)
大前提となるのは「訓練を開始した日に在職中で、雇用保険に加入しているかた」、または「過去に雇用保険に加入していて、離職してから訓練開始まで1年以内のかた」です。加入期間は原則3年以上が要件となっていますが、初めて教育訓練給付の支給を受けるかたは、この要件が少し緩和されています。「一般教育訓練」と「特定一般教育訓練」の場合は1年以上、「専門実践教育訓練」の場合は2年以上雇用保険に加入していれば対象です。

(杉浦)
学生でなく週に20時間以上働いている人は原則雇用保険に加入してるから、働いている人の多くが当てはまるということですね。

(村上)
じゃあ、支給を受けるにはどうしたらいいんでしょうか?

(細川)
申請の手順は、受講する教育訓練の種類により少し異なります。「一般教育訓練」の場合は、受講が修了した翌日から1か月以内にお住まいを管轄するハローワークで申請手続きをしてください。

(村上)
「一般教育訓練」の場合は受講が修了してから手続きを行うんですね。

(細川)
はい。ただし「特定一般教育訓練」と「専門実践教育訓練」の場合は、講座を受講する前に、ハローワークなどに設置しているキャリア形成・リスキリング相談コーナーで事前にキャリアコンサルティングを受けて、希望するキャリアに合った講座を選択してください。その後、お住まいを管轄するハローワークで雇用保険の加入期間などの受給資格を確認し、講座を受講してから申請手続きをしてください。「特定一般教育訓練」は修了した翌日から1か月以内、「専門実践教育訓練」は受講開始日から6か月ごとに申請手続きが必要です。

(杉浦)
「一般」「特定一般」「専門実践」、どの「教育訓練」の場合も受講費用を先に自己負担するのは同じなんだけど、「一般」「特定一般」の教育訓練は、修了後に受講費の一部が雇用保険から支給されるのに比べて、「専門実践教育訓練」の場合は、費用が高額で通う期間も年単位と長いから、受講開始から6か月ごとに申請して6か月分ずつ支給を受けられるということですね。

(村上)
学びたくても費用のめどが立たず諦める人がないように、配慮されているんですね。

(杉浦)
ここに、実際に制度を利用したかたのコメントがあるので紹介しますね。メーカー勤務・40代女性。「会社員時代、コロナ禍をきっかけに在宅勤務となりました。将来のステップアップについて考える時間ができて、改めて勉強し直したいと大学院のビジネススクールに行くことを決めました。一番のネックは学費でしたが、教育訓練給付制度が大きな後押しになりました。この制度がなければチャレンジしようとは思わなかったです。」ということで、このかたは無事にMBAを取得したそうですよ。

(村上)
コロナ禍をきっかけに自分の働き方を見つめ直している人って、いっぱいいますよね。この制度のこと、もっと知ってもらって活用してもらいたいですね。

(杉浦)
そうだよね。では、もう一人、別のかたのコメントもありますのでご紹介します。50代のシングルマザーのかた。「シングルマザーなので、何らかの国家資格があればとずっと考えていました。年齢に関係なくできる仕事は何かと考え、保育士の資格を取ろうと決意しました。ただし、仕事を辞めることはできず、生活への心配もありました。そんな折、教育訓練給付制度について知り、保育士の通信講座に申し込みました。アルバイトで保育士の手伝いをしたことはありましたが、当時よりもレベルアップを実感できたのがうれしかったです。メンタル面の充実感も得ることができたように思います。」他に、定年を見越して技術士の資格を取ったという50代の男性のコメントもありました。

(村上)
皆さん私よりも先輩ですけど、自分自身の知識や技術に磨きをかけていこうとされている、その姿勢が素晴らしいなって思いました。

(杉浦)
ちなみに、この制度を利用している人のおよそ8割は在職中なんだって。だから、皆さん仕事しながら学びも深めているってことですよね、細川さん。

(細川)
はい。先ほどもお伝えしましたが、働きながら受講しやすい講座も指定されていますので、在職中に制度を利用する方が多くなっています。最後に1点補足情報がありまして、雇用保険に加入しているかたは離職後にハローワークで手続きをすると失業給付を受給できるのですが、ご自身の都合で退職された場合、ハローワークでの手続き後最大3か月間の「給付制限期間」を過ぎないと失業給付の支給を受けられないんです。

(村上)
自分の都合で仕事を辞めると、すぐには失業給付が支給されないというわけですね。

(細川)
はい。しかし、本年4月以降、離職期間中や離職日前の1年以内に教育訓練を受講した場合には、その給付制限が解除され、離職後、早期に失業給付の支給を受けられることになります。これも教育訓練給付制度と併せて覚えておいていただければと思います。リスキリングでキャリアアップ、キャリアチェンジを目指すかた、教育訓練給付制度が拡充されています。まずは「教育訓練講座検索システム」で、どんな教育訓練があるのかご希望に合った講座を探してみてください。

(村上)
今日の話を聞いて特に注目したのは、「リスキリングでキャリアアップ、キャリアチェンジ!」です。

(杉浦)
僕は「学び直したいかたは教育訓練給付制度」です。


「 関連リンク 」
厚生労働省「教育訓練給付制度」
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