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ロシアのメドベージェフ首相北方領土訪問。その過激発言の真意を探る!

ON AIR BLOG / 2012.07.11 update
毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION
毎日新聞政治部、前田浩智さんのご登場です。
ロシアのメドべージェフ首相が突然、北方領土を訪問しました。
北方4島の中で2番目に大きい国後島という島を訪問しました。
島民との対話で「北方領土はロシア固有の領土であり、
たとえわずかでも渡さない」と語ったので、
北方領土の返還を求めてきた日本政府は「極めて遺憾だ」と抗議しました。



Q:そもそも 北方領土は日本の領土?
A:日本はロシアよりも早く北方4島の存在を知り、
  約200年前に支配下に置きました。第2次世界大戦のころ、
  日本とソ連は中立条約を結んでいましたが、終戦の6日前になって、
  ソ連は突然、条約を破って参戦し、4島から1週間ほどで
  日本人を追い出し占領しました。日本政府は「不法占拠」と批判しています。

Q:何人ぐらいの日本人が住んでいたのですか。
A:約1万7000人です。
  今、住んでいるロシア人も1万6000人ちょっとですから、
  人口で言うなら一つの町ぐらいでしょうか。ただ、面積は大きくて、
  4つの島を合わせると東京都の2.5倍ぐらいあります。

Q: ロシアの狙いは何でしょう?
A:メドベージェフ首相は大統領時代の2010年にも国後島を訪問して、
  日露関係は極度に悪化しました。日本に理解があるプーチン氏が
  大統領に復帰して、
  領土問題が進展するのではないかという期待が日本側にありましたが、
  今回の国後訪問はプーチン大統領も了解したはずですから、
  領土問題はそんなに簡単じゃないぞ、というロシア側の脅しでしょう。
  外交は駆け引きの世界ですから。今回の国後訪問は、
  消費増税をめぐって民主党が分裂した時期とも重なります。
  日本の国内政治の混乱につけ込んだ、ということもあるでしょう。
  メドベージェフ首相の国後訪問の2、3日前には、
  ロシア海軍のミサイル駆逐艦など30隻近くが稚内の北の宗谷海峡を通過して、
  サハリン近海で演習をしたことも確認されています。
  日本の政治は内ゲバばっかりやっている状況じゃありませんね。

Q:完全にロシアペースですね。
A:確かにそうですね。プーチン政権は極東地域の開発で国内経済を
  よくしようとしています。天然ガス輸入などのエネルギー協力も
  進展していますが、日本企業にもっと投資してほしいと考えています。
  それが弱みなのですが、かといって、北方領土を安く売るつもりはない。
  だから、逆にジャブを放って、日本を萎縮させようというわけです。
  したたかな国ですね。戦後も67年となり、元島民の人たちも高齢化しています。
  領土問題の一日も早い解決を願うばかりですが、
  ロシアという国を相手にする限り、忍耐強く話し合いを続けていくより
  ほかにないのかもしれません。

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