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ON AIR BLOG / 2020.08.26 update
コロナウイルスの影響が社会全体に広がっていますが、大学生も大変なようです。
今日は毎日新聞マーケティング室・田村彰子さんに「大学生の今」について解説していただきました。
Q:大学生もいま大変だということを聞きました。
A:前期はオンライン授業のみだった大学もあり、大きく様変わりしたと思います。これはちょっと前のデータなのですが、文部科学省によると、7月1日現在の国内の大学・高等専門学校のうち、コロナ前と同様、対面講義のみで再開したのは16%にとどまるそうです。60%が遠隔講義と対面講義を組み合わせており、残り24%は遠隔講義だけという状況が続いていました。このうち約5割は、対面での講義を一部でも再開する時期について「9月以降」または「検討中」と回答しています。
Q:入学してから、大学に1回も行けていない学生さんもいるということですよね。
A:そうなんですよ。下宿にも入居せず、実家からオンラインで受けている方もいます。
Q:一人暮らしとなって、孤独を感じている人もいますよね。
A:すべての講義を原則としてオンラインで実施している福岡市の九州大の学内調査では、15%の学生が1カ月間友人と直接会話をしていないと回答しました。
孤独感を感じている学生が40%にも上ったそうです。先ほどの話のように、九州大学は学内への立ち入りやサークル活動などを制限してきました。つまり入学式もなかった1年生は、いまだキャンパス経験もなく、調査では1年生の約4割が福岡県外でオンライン授業を受講していることも判明しました。県外出身者の多くが入学後も自宅で暮らしています。
Q:せっかく頑張って勉強して入学し、その状況だと落ち込むと思います。やる気だってなくなってしまいます。
A:おっしゃるとおりです。調査では心身の状態についても質問しているんですね。「気分が落ち込んでいるか」との問いに「あてはまる」「ややあてはまる」との回答が計42%ありました。「孤独感や孤立感を感じるか」との問いに対しても同様に計40%が「あてはまる」「ややあてはまる」と答えました。「最近の体の調子」については44%が「問題がある」と回答しています。具体的内容は「疲れる、根気がない」が全回答者の28%で最も多く、「寝つきが悪い、眠りが浅い、よく眠れない」(24%)、「いらいらする」(9%)と続いています
Q:かなり多くの学生さんが、悩まれていますね。大学は、学習はもちろんですけれど、サークル活動とか、同じ世代の人たちと集まり、人間関係を築いていく場でもありますもんね。
A:ある学生は「まだ会ったことがないクラスメートとzoomで話しても盛り上がりません。新たな人間関係を築くのは難しい」と話します。教授も「学生同士が対面で交わる場は大切です。特に大学院生にとって資料を閲覧し、議論する研究室は必要」と話していますね。
Q:確かに、オンラインで新しい友だちはできにくいかもしれません。難しい問題ですが、どういう支援をしていくべきでしょうか。
A:ある専門家は、「学生たちは立派な大人なので、大学は社会的距離の取り方や、密の避け方などについて学生と話をして対策を取り、早期に講義を再開すべきです」と話しています。今までに経験したことのない難しい状況が続いていますが、その中っで学生がきちんと考えて、自ら実行していくのを、まずは周囲の大人たちがサポートしていけると良いと思います。