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ON AIR BLOG / 2020.07.22 update
今日のテーマは「コロナに揺れる学校」。
毎日新聞マーケティング室、田村彰子さんに解説していただきました。
Q:連日、新型コロナウイルスの感染者が数多く出ていると報告されています。東京都は、感染状況の警戒レベルを4段階で最も高い「感染が拡大している」にしています。学校や保育園などで感染が確認されていますね
A:そうですね。しかし、長期休校による学習の遅れも出ていることもあり、3月、4月のような一斉休校はできないと考えられています。安全面は手探りの状況が続いていますね。
Q:学校の先生も大変ですよね。
A:そうですよね。公立小中高校などを休校とした全国の1794教育委員会のうち、学習遅れを取り戻すために夏休みの短縮を予定しているのは1710教委で、全体の95%に上ることがわかっています。「夏休みはほぼないもの」という感じですね。
Q:学校の先生や職員、児童生徒に感染者が出た場合の対応は、一律に決まっているのですか?
A:文部科学省の最新のマニュアル「学校の新しい生活様式」は、濃厚接触者が特定されるまでの間は「その学校の全部または一部を休みにする」としているが、具体的な休校期間などの基準は示していません。判断は、自治体に委ねられています。
Q:自治体によって違うのですね
A:そうなんです。大津市では7月に市立小学校に通う男児の感染が確認されました。市教育委員会は、6月の学校再開に合わせて独自に作った基準に沿い、
「2週間」の臨時休校を決めたんです。しかし、他の都道府県教委や文部科学省に問い合わせると、「長すぎる」との指摘が相次いだため「5日間」に短縮しています。
Q:最初2週間にした理由はなんだったのでしょう。
A:担当者は、文科省の通知やマニュアルで、濃厚接触者の出席停止期間が「感染者と接触した翌日から2週間」となっている点を理由に挙げています。「休校期間をそれに合わせれば、感染者や濃厚接触者がだれなのか子どもたちの間で特定されないし、その子どもたちの学習も遅れないなどの配慮につながると思った」と話しているそうです。確かに、5日間だけだと、来ていない子だと特定されてしまう可能性はありますね。
Q:本当に対応はばらばらなんですね。
A:そうなんですよ。濃厚接触の範囲が狭かったといって、休校にしなかった学校もあります。都市部では3月の一斉休校以降、休校期間は最大3カ月にも及んでいます。これ以上の学習の遅れはできるだけ避けたいという本音もあると思います。専門家は、「感染者が地域で急増した場合、一律に休校とする必要はなく、
学級閉鎖など学校ごとに臨機応変に判断すべき。ただ、学校は3密(密閉、密集、密接)になりやすい環境なので感染者を確認したら早めの対応が必要になります」と指摘しています。
Q:何かできることはありますか。
A:休校に対応するために、オンライン授業の体制整備が不可欠になると思います。全国の公立小中学校、高校に配備されているパソコンやタブレット端末は、文部科学省によると、2019年3月時点で児童生徒5・4人に1台です。文科省は1人1台を実現する計画でしたが、前倒しし、今年度中に完了させるため今年度の予算に計上しています。 中でも文科省は、「特定警戒都道府県」に指定されていた東京、大阪、福岡など13都道府県には8月末までの配備を促していますが、その数は膨大になるため各自治体は苦労していますね。
Q:金銭的な問題や、議会での承認もあるだろうし、作業も大変でしょうけれど、安心して休める体制を作ることは大事ですね。
A:長期休みを想定した取り組み必要になりますね。