毎日新聞 NEWS CONNECITION
ON AIR BLOG / 2019.11.13 update
毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。
今日は、毎日新聞・論説委員 平田崇浩 さんと、
国会の議論についてお話しました。
Q 秋の臨時国会が始まって1カ月以上がたちましたね。
A 経済産業大臣と法務大臣が辞任する混乱もありましたが、
とても重要な議論が行われています。
若い世代の皆さんに身近なところでは、
大学入試に英語の民間試験を導入する話が見送りになりました。
Q 来年度から英検やTOEFLなどの民間試験を受けないといけないということで、
高校2年生以下が準備していましたよね。
A 来年度からセンター試験が共通テストという新しい仕組みに代わって、
英語では「読む」「聞く」「書く」「話す」という総合的な能力を試験する、
そのためには民間業者のノウハウが必要だと。
ですが、民間業者の試験を受けるにはおカネがかかるし、
試験会場のある都市部に住んでいる方が有利になる、といった問題点が
指摘されていました。
Q そういう問題は前からわかっていたのではないですか。
A 生徒たちや先生方から不安の声が上がっていたし、野党も強く反対していました。
それでも政府はなかなか方針を変えなかったのですが、萩生田光一文部科学大臣が
「身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と発言して状況が一変しました。
Q 「身の丈に合わせて」って、所得が低い家庭はその所得の範囲内で
という意味に聞こえますよね。所得格差があっても仕方ないということですか。
A 「教育の機会均等」といって、生まれた環境が裕福か貧しいか、
都会か田舎かにかかわらず、国民は等しく教育を受ける権利があると
憲法に定められています。それを否定したと受け取られても仕方ない失言を
教育行政のトップがしたのだから問題です。
Q 民間試験で格差問題が生じることを大臣が認めたようなものですね。
A 安倍首相としては、大臣をクビにするか、民間試験の導入をやめるかの
どちらかを選ばざるを得なくなったのでしょうが、もっと早く決断すべきでした。
振り回された生徒たちがかわいそうです。
文部科学省は1年かけて再検討すると言っていますが、そもそも全国共通のテストを
民間業者に任せてよいのか。
どうしても必要だというなら、格差の生じない方法を検討し、
民間業者に全国での実施を義務づけなければなりません。
Q 国語と数学の記述試験の問題もありますね。
A 来年度の共通テストから導入する方針は変えないそうです。
しかし、50万人規模になる回答の採点を民間業者に任せて本当に大丈夫なのか。
これまでのマークシート方式と違って、記述式の回答を全国同じ基準で
公平に採点するのは難しいように思います。
Q 野党は国語・数学の記述式も中止すべきだと主張していますね。
A 教育現場の不安がなくなるまで徹底的に国会で議論してもらいたい。
不安の解消策が見つからないなら、導入を急ぐべきではありません。
英語にしろ、国語・数学にしろ、総合的な学力は
各大学の2次試験などでも審査できるわけで、民間業者の活用にこだわる理由を
政府は誰もが納得できるように説明する責任があります。
Q 一般の人たちは仕事や勉強に追われて国会審議をじっくり追うのは
難しいとは思いますが、私たちの生活に直接関係する大事な議論をしているのですね。
A 英語民間試験のように政府がいったん決めたことを変えるのは珍しいでしょう。
ですが、国民の代表が集まる国会で重要な問題について首相がどう説明するか、
できるだけ新聞やラジオ・テレビ、ネットでニュースをチェックしてもらえたらと思います。
――安倍首相は辞任した閣僚の任命責任についても十分に説明していません。
今後の災害や地球温暖化への対策とか、自衛隊を中東に派遣する話とか、
首相から説明を聞きたいことはたくさんあります。
臨時国会は12月9日まで開かれているそうですから、
さらに活発な国会論戦をお願いしたいと思います。
毎日新聞・平田さん、ありがとうございました。
今日は、毎日新聞・論説委員 平田崇浩 さんと、
国会の議論についてお話しました。
Q 秋の臨時国会が始まって1カ月以上がたちましたね。
A 経済産業大臣と法務大臣が辞任する混乱もありましたが、
とても重要な議論が行われています。
若い世代の皆さんに身近なところでは、
大学入試に英語の民間試験を導入する話が見送りになりました。
Q 来年度から英検やTOEFLなどの民間試験を受けないといけないということで、
高校2年生以下が準備していましたよね。
A 来年度からセンター試験が共通テストという新しい仕組みに代わって、
英語では「読む」「聞く」「書く」「話す」という総合的な能力を試験する、
そのためには民間業者のノウハウが必要だと。
ですが、民間業者の試験を受けるにはおカネがかかるし、
試験会場のある都市部に住んでいる方が有利になる、といった問題点が
指摘されていました。
Q そういう問題は前からわかっていたのではないですか。
A 生徒たちや先生方から不安の声が上がっていたし、野党も強く反対していました。
それでも政府はなかなか方針を変えなかったのですが、萩生田光一文部科学大臣が
「身の丈に合わせて勝負してもらえれば」と発言して状況が一変しました。
Q 「身の丈に合わせて」って、所得が低い家庭はその所得の範囲内で
という意味に聞こえますよね。所得格差があっても仕方ないということですか。
A 「教育の機会均等」といって、生まれた環境が裕福か貧しいか、
都会か田舎かにかかわらず、国民は等しく教育を受ける権利があると
憲法に定められています。それを否定したと受け取られても仕方ない失言を
教育行政のトップがしたのだから問題です。
Q 民間試験で格差問題が生じることを大臣が認めたようなものですね。
A 安倍首相としては、大臣をクビにするか、民間試験の導入をやめるかの
どちらかを選ばざるを得なくなったのでしょうが、もっと早く決断すべきでした。
振り回された生徒たちがかわいそうです。
文部科学省は1年かけて再検討すると言っていますが、そもそも全国共通のテストを
民間業者に任せてよいのか。
どうしても必要だというなら、格差の生じない方法を検討し、
民間業者に全国での実施を義務づけなければなりません。
Q 国語と数学の記述試験の問題もありますね。
A 来年度の共通テストから導入する方針は変えないそうです。
しかし、50万人規模になる回答の採点を民間業者に任せて本当に大丈夫なのか。
これまでのマークシート方式と違って、記述式の回答を全国同じ基準で
公平に採点するのは難しいように思います。
Q 野党は国語・数学の記述式も中止すべきだと主張していますね。
A 教育現場の不安がなくなるまで徹底的に国会で議論してもらいたい。
不安の解消策が見つからないなら、導入を急ぐべきではありません。
英語にしろ、国語・数学にしろ、総合的な学力は
各大学の2次試験などでも審査できるわけで、民間業者の活用にこだわる理由を
政府は誰もが納得できるように説明する責任があります。
Q 一般の人たちは仕事や勉強に追われて国会審議をじっくり追うのは
難しいとは思いますが、私たちの生活に直接関係する大事な議論をしているのですね。
A 英語民間試験のように政府がいったん決めたことを変えるのは珍しいでしょう。
ですが、国民の代表が集まる国会で重要な問題について首相がどう説明するか、
できるだけ新聞やラジオ・テレビ、ネットでニュースをチェックしてもらえたらと思います。
――安倍首相は辞任した閣僚の任命責任についても十分に説明していません。
今後の災害や地球温暖化への対策とか、自衛隊を中東に派遣する話とか、
首相から説明を聞きたいことはたくさんあります。
臨時国会は12月9日まで開かれているそうですから、
さらに活発な国会論戦をお願いしたいと思います。
毎日新聞・平田さん、ありがとうございました。