毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION
ON AIR BLOG / 2019.09.04 update
毎日新聞 PRESENTS NEWS CONNECTION。
今日は、毎日新聞・編集編成局次長、塚田健太さんが
「 日本のキャッシュレス社会への道のり 」をテーマにお話します。
Q 最近、電子マネーやスマホで支払えるお店が本当に増えていますよね。
A はい。去年の暮れ以降、スマホ決済会社が相次いで「100億円還元」といった
大型キャンペーンを打って、会員数を大きく増やしています。
去年の10月にサービスを始めたペイペイは、大型キャンペーンの効果もあって、
今年8月までに1000万人以上が登録しました。
私も20%還元につられて三つも、スマホ決済のアプリを入れてしまいました。
Q このタイミングで増えているのはなぜですか。
A スマホの普及とともに、10月の消費税率引き上げに合わせて、
ポイント還元制度が導入されることが背景にあります。
Q ポイント還元が始まるというのはよく聞きますが、どのような制度ですか。
A 消費の落ち込みを防ぐため、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済など、
キャッシュレスで支払うと中小の小売業者なら5%、
コンビニや外食などの大手フランチャイズチェーンは2%分をポイントで還元します。
Q なぜ、キャッシュレス限定なのでしょう。
A ほとんどのキャッシュレス決済は、会員を優遇するため
ポイント制度を持っているので、そのまま活用できるからです。
もう一つ、海外より導入が遅れているキャッシュレス決済を
普及させたいという政府の思惑があります。
Q 日本は遅れているのですか。
A 総合研究開発機構の去年9月時点のアンケートを見ると、
消費に占めるキャッシュレス決済はクレジットカードが約3割、
交通系などの電子マネーが5%程度、スマホ決済サービスは1%未満となっています。
9割以上の韓国、イギリスや中国の7割などよりも低くなっています。
このアンケートによると、現金で支払いたい理由のトップは
「現金以外だと使いすぎてしまう」でした。
Q 使いすぎを防ぐのはいいことですよね。
なぜ政府はキャッシュレス決済を増やしたいのですか。
A クレジット利用の多い「訪日外国人」にもっと買い物をしてもらいたいからです。
深刻な人手不足を踏まえ、レジの処理や釣り銭の準備の負担を軽くすることで
中小小売店の生産性を上げるという狙いもあります。
Q これからどんどん普及しますね。
A 課題もあります。一つは安全性です。
今年7月にサービスを始めたセブンペイは不正利用が相次ぎ、
9月いっぱいでの廃止に追い込まれました。
激しい競争の中、あわてて参入した結果、安全面での対応が不十分でした。
もう一つは中小業者が導入をためらっていることです。
消費税のポイント還元制度の登録申請は8月29日時点で約51万件と、
全国で約200万件とされる対象の約4分の1にとどまっています。
キャッシュレス決済の手数料の高さも一因です。
政府は、消費税のポイント還元制度に参加する場合の中小店の手数料を最大約2.2%と
通常の半分以下に抑えましたが、制度終了後は再び高くなるかもしれません。
Q どうすればいいのでしょう。
A 消費者は、利用明細を定期的にチェックする必要があります。
身に覚えのない利用があれば、すぐ決済業者に連絡してください。
決済手数料を抑えて中小業者が導入しやすくすることも大事です。
決済業者は会員が増えれば、手数料率を下げられるはずです。
会員の買い物情報をビッグデータとして活用するメリットも還元すべきでしょう。
ライブ会場の出店や観光地の屋台でキャッシュレス決済できれば
本当に便利だと思います。
――――3000億円も投じるポイント還元制度を一時的なお祭りに終わらせず、
消費者にも中小業者にもメリットのある仕組み作りのきっかけにしていきたいものです。
毎日新聞 塚田さんありがとうございました。
今日は、毎日新聞・編集編成局次長、塚田健太さんが
「 日本のキャッシュレス社会への道のり 」をテーマにお話します。
Q 最近、電子マネーやスマホで支払えるお店が本当に増えていますよね。
A はい。去年の暮れ以降、スマホ決済会社が相次いで「100億円還元」といった
大型キャンペーンを打って、会員数を大きく増やしています。
去年の10月にサービスを始めたペイペイは、大型キャンペーンの効果もあって、
今年8月までに1000万人以上が登録しました。
私も20%還元につられて三つも、スマホ決済のアプリを入れてしまいました。
Q このタイミングで増えているのはなぜですか。
A スマホの普及とともに、10月の消費税率引き上げに合わせて、
ポイント還元制度が導入されることが背景にあります。
Q ポイント還元が始まるというのはよく聞きますが、どのような制度ですか。
A 消費の落ち込みを防ぐため、クレジットカードや電子マネー、スマホ決済など、
キャッシュレスで支払うと中小の小売業者なら5%、
コンビニや外食などの大手フランチャイズチェーンは2%分をポイントで還元します。
Q なぜ、キャッシュレス限定なのでしょう。
A ほとんどのキャッシュレス決済は、会員を優遇するため
ポイント制度を持っているので、そのまま活用できるからです。
もう一つ、海外より導入が遅れているキャッシュレス決済を
普及させたいという政府の思惑があります。
Q 日本は遅れているのですか。
A 総合研究開発機構の去年9月時点のアンケートを見ると、
消費に占めるキャッシュレス決済はクレジットカードが約3割、
交通系などの電子マネーが5%程度、スマホ決済サービスは1%未満となっています。
9割以上の韓国、イギリスや中国の7割などよりも低くなっています。
このアンケートによると、現金で支払いたい理由のトップは
「現金以外だと使いすぎてしまう」でした。
Q 使いすぎを防ぐのはいいことですよね。
なぜ政府はキャッシュレス決済を増やしたいのですか。
A クレジット利用の多い「訪日外国人」にもっと買い物をしてもらいたいからです。
深刻な人手不足を踏まえ、レジの処理や釣り銭の準備の負担を軽くすることで
中小小売店の生産性を上げるという狙いもあります。
Q これからどんどん普及しますね。
A 課題もあります。一つは安全性です。
今年7月にサービスを始めたセブンペイは不正利用が相次ぎ、
9月いっぱいでの廃止に追い込まれました。
激しい競争の中、あわてて参入した結果、安全面での対応が不十分でした。
もう一つは中小業者が導入をためらっていることです。
消費税のポイント還元制度の登録申請は8月29日時点で約51万件と、
全国で約200万件とされる対象の約4分の1にとどまっています。
キャッシュレス決済の手数料の高さも一因です。
政府は、消費税のポイント還元制度に参加する場合の中小店の手数料を最大約2.2%と
通常の半分以下に抑えましたが、制度終了後は再び高くなるかもしれません。
Q どうすればいいのでしょう。
A 消費者は、利用明細を定期的にチェックする必要があります。
身に覚えのない利用があれば、すぐ決済業者に連絡してください。
決済手数料を抑えて中小業者が導入しやすくすることも大事です。
決済業者は会員が増えれば、手数料率を下げられるはずです。
会員の買い物情報をビッグデータとして活用するメリットも還元すべきでしょう。
ライブ会場の出店や観光地の屋台でキャッシュレス決済できれば
本当に便利だと思います。
――――3000億円も投じるポイント還元制度を一時的なお祭りに終わらせず、
消費者にも中小業者にもメリットのある仕組み作りのきっかけにしていきたいものです。
毎日新聞 塚田さんありがとうございました。