SWITCH MOVIE

こころ
著者 : 夏目漱石

selected by 大人の物理担当 やんも先生

好きな作家を聞かれたら、僕はいつも夏目漱石と答えることにしてるんだけど、そこまでのめり込んだのかとさらに聞かれたら、別にそんなでもないのかもしれない。
ある種の人たちからは「ベタなの選ぶねー」と言われるであろう、『こころ』。
教科書にも載ってるし、読んだことがある人も、たくさんいるだろう。
ベタと言われても仕方ない。でも僕が初めてちゃんと読んだ漱石はコレだったし、僕のスイッチを、確かに押したから。

ちゃんと読んだのは中2か中3。よく覚えていない。
でもその時のキモチは文庫本のページの紙の色と一緒に、良く覚えてる。”先生”の周りに感じていたモヤモヤは、思春期を迎えた中学生の僕の頭のモヤモヤと、すごく似ていた。

理想と現実。美しさと醜さ。善と悪。愛と憎悪。生と死。
僕はそれらの対になる言葉が両極にあるもので、
まったく別のモノだと思ってた。
ヒーローは何やったってヒーロー。悪役は何やったって悪役。
生きてることは素晴らしくて、死ぬことはダメなこと。
愛することは称えられ、嫉妬は冷たい視線を送られる。
オンとオフのスイッチみたいで分かりやすい。
これが正しいんだと言われたら、それ以上何にも考えなくてすむから楽。だけど、何か引っかかる。

『こころ』に登場する“先生”は、幼いころから慕っていた叔父に裏切られ、親の遺産を奪われた。人間を信じない、自分以外は信じられないと心に決めて上京し、下宿の娘に恋をする。恋の熱にうかされて策略を巡らせた結果、同じ相手に想いを寄せる親友を死に追いやってしまう。“先生”は、自分すら信じられなくなる。

理想は現実の一部で、現実は理想の一部。
完璧な美しさなんてなくて、時として醜く変化したり、醜さの中に美しさを見つけたりする。
誰から見ても善人が、突然ものすごい悪事を働く。
いつか必ず死ぬからこそ、毎日を輝かすために生きられる。
誰だって何だってそう。いろんな色の顔を持ちながら、激しくクルクルと回転してて、その時々で違う表情を見せる。

誰にだって、弱い部分、汚い部分、卑怯な部分、悪い部分があって当たり前で、逆に言うと、そんな部分だけで作られている人間なんか、どこにもいない。自分だって他人だって、型にはめてキャラ付けしてしまえば楽だけど、その型は、いつ誰が作った? 型からはみ出してしまった”残りの自分”、”残りの他人”は、どうすればいい?

考え始めたら、中学生の僕は止まらなくなった(笑)
答えなんてモチロン出なかったし、自分や相手を完全に理解することなんて出来ないのかもしれない。
でも、だからこそ色んな表情をできるだけ見逃さないようにしようと思ったし、今でも思ってる。僕らが持ってるスイッチは、オン・オフ、OK・NGじゃない、ってことに気づくきっかけとしての『スイッチ』。 分かりづらいな(笑)
でも、この作品が、僕にとってのそれだったんじゃないかな。


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