こんばんは。 茂木淳一です。
私は今、She、つまり、ペンション「シェ・プール」に泊まっている彼女に、恋をしています。
「明日の朝10時、この部屋から誰かがいなくなる」というメモ書きがあった彼女の部屋に、今日の朝9時半頃、行ってみたんです。
(ここから先は、誰が元彼なのか? 推理しながらお聞きください。)
茂木:大丈夫かい!? あれ、なんで身支度してるの?
彼女:あ、私、泊まるの今日までで、実家に帰るの忘れてた!おっとっと!!チェックアウトまであと30分!
茂木:あのメモ書き!チェックアウトのご案内だったんじゃないの!?
彼女:茂木くん、いの一番に来てくれるなんて、元カレみたいだニャー!
茂木:また、だニャンか…!? 今後はどんな元カレ思い出したの?
彼女:元カレ、三重県出身の江戸時代の国学者で…。
茂木:江戸時代の国学者!?
彼女:『古事記』を研究してたの!
茂木:『古事記』を研究!? 分かったぞ!その元カレ、『古事記』を研究して、『古事記伝』を書いた人だ?
彼女:そう!茂木くんスゴい!
茂木:来た!茂木君は、スゴいのさ!じゃあ、その元カレ、随筆、『玉勝間(たまかつま)』を書いた人だね!
彼女:そう!茂木くん、パナイっ!
茂木:パ…んーー!!! パナイのさ……!! 江戸時代の国学者!『玉勝間』、そして『古事記伝』を書いた!もしかしてキミの元カレって…
本居宣長――――!!!???
彼女:元カレ、元々は医学を学んでて、途中から国学に目覚めたの。医学の方がいいって
私は言ったのにね。無視よ。無視。でも、ま、いっかって許したわ。
茂木:ふ…振らなかったのーーーーー!!!!????
彼女:あ、もう10時だ!チェックアウトして、地元に返らなきゃ。
茂木:あの……俺も、君についてってもいいかな?
彼女:別にいいけど…。どうせ私が住んでるのシェアハウスだし。
茂木:マジで!? じゃあ俺、今すぐ身支度するね!!ちなみに地元ってどこなんだい?
彼女:佐渡島。