title
2022
放送後記

父子家庭や児童養護施設の子が、自分のことを普通に話せるようになってほしい。

こもり校長

毎週月曜日のこの時間は、『SOCIAL LOCKS!』。生まれた環境のこと、性のこと、障がいのこと、さまざまな生徒の声を届けていきます。

今夜、声を届けてくれるのは…!

あいか

岐阜県 16歳 高校2年生 RN あいかです。

自分は6歳の頃に、親が離婚してから父子家庭となり、中学3年生までの9年間を、児童養護施設で過ごしました。
高校1年生の頃に実家に戻って、今はお父さんと2人で暮らし始めて2年目になります。

中学生までは、児童養護施設で過ごしている子が、同じ中学校にたくさん通っていたので、比較的理解のある環境の中で、過ごすことができていました。
だけど、高校生になってからは、自分が父子家庭であること、児童養護施設育ちであることを誰も知らない環境での生活が始まりました。

みんな悪気はないと思うのですが、学校で友達と親の話になったとき、「あいかのお母さんは仕事何してるの?」と聞かれて「実は父子家庭でお母さんはいないんだ」というと微妙な空気になります。それがとても嫌です。
三者懇談や授業参観の話題になったときも、みんなが私に気を使って親の話をしないようにしているのも感じて、もやもやします。

父子家庭は「可哀想」、「普通の家庭じゃない」などとよく言われますが、実際自分は辛いと思ったことはないし、お父さんと仲が良いので、逆に幸せだなって思うことの方が多いです。
そのことをみんなに伝えてしまえばいいと思うのですが、実際、友達に話そうと思うと、もしかしたら距離を置かれてしまうんじゃないかと思って、怖くて仕方がありません。

いまの世の中は母子家庭についての理解はだいぶ進んでいますが父子家庭についてはあんまり進んでないと思っています。
父子家庭、児童養護施設の子だと聞くと、可哀想や手が付けられない子、大変だろうと思われるかもしれません。

でも実際は違って、たしかに問題もあるかもしれないけど、 それ以上にそこにいる子は頑張っています。
いつか、父子家庭や児童養護施設の子が、普通に自分の事を周りに話せるようになったらいいなと思います。

こもり校長
こもり校長

でも、気持ちはわかる。俺も母子家庭だから、中学生の時とかはすごく悩んだ。「お父さん何してるの?」って聞かれた時に「お父さんいないんだよね」って言うことがちょっと怖かったし、あいかが言っていたみたいに“それを言ったら友達が距離を置くんじゃないか”とか考えるんだけど、俺も母親と仲が良かったし、“お父さんがいない”ということを自分自身がマイナスだとは思っていなかったから、高校生ぐらいの頃から急に「俺は母子家庭でお母さんしかいないんだよね」って普通に言えるようになった。

こもり校長
こもり校長

でもそれを友達に話した時に、やっぱり友達も(校長の家庭環境について)考えてくれていて、その話を聞いても「えっ!?」とはならなかったし、「やっぱりそうなんだね」って自分を受け止めてくれる友達が周りに多かったから、俺は正々堂々と言えた。
「父子家庭」とか「児童養護施設」という言葉に馴染みがない生徒からすれば、そのことについて考えるきっかけにもなると思うから、今こうやって声を届けてくれたことはすごくありがたいことだし、どんどん考えるきっかけが増えてくんじゃないかなと思います。

『SOCIAL LOCKS!』では、引き続き色々な生徒の声を届けていきます。

みんなにわかってほしいのにわかってもらえないこと、毎日の中で“もっとこうなればいいのに”と思っていること、ぜひ直接届けてください。特設サイトで待ってます!

2022.7.11父子家庭や児童養護施設の子が、自分のことを普通に話せるようになってほしい。
TwitterでシェアLINEでシェア
TOP