「いま何かと戦っている君へ」

サカナクション 2023.1.13 金曜日

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2023年1月20日(金)PM 10:00まで




明日から大学入学共通テストが始まります。
今回は、山口一郎先生から受験生の君へ、そして、いま何かと戦っているそんな生徒に向けて授業していきます。




山口「明日から、大学入学共通テストが始まります。皆さん、いろんな緊張感を持っている方もいらっしゃると思いますし、受験生を抱えた親御さんとかもちょっとピリピリしているんじゃないかなと思いますけども。私1月7日に太宰府天満宮に行きまして、絵馬を受験生のために書いてきました。」

「受験生を応援すると言う概念が生まれたのも、僕、サカナLOCKS!を始めてからかな……僕、実は大学受験を経験していないんですよ。高校卒業してすぐビクターの育成バンドみたいな形で契約したので、受験っていうものを外からしか見ていなかったんですけど。このサカナLOCKS!を始めて、10代の皆さんと深くコミュニケーションを取れるようになってから本格的に受験というものを考えたり、受験生のことを考えたりし始めてですね、人生における受験とはいったい何なのかみたいなことも自分なりに考察したりとかしていました。」

「今回は受験生をはじめ、いま何かと戦っている生徒に向けて曲をかけて、その背中を押していこうと思うんですけど……ちなみに僕は応援ソングというものに励まされたことがないんです。なんというか……ミュージシャンだからっていうのもあるのかな。いろんな人がいると思うし、いろんな形で音楽に励まされる人がいると思うんですけど、僕個人としては、あからさまに音楽というものの中で、頑張れとか応援しているぞとか言われて、そのまま素直によし頑張ろうって思ったことって本当にないんですよ。作為性みたいなものに対して、ミュージシャンとしてというか音楽を作ってきた人間として……どこかそういういった部分に対してあざとさを感じたり、たとえ本気で歌っていたとしても、その作為性みたいなものに対して敏感になってしまっていたので。私が皆さんにおすすめできる応援ソングというものを考えたんですけど、特にないんですよね、分かりやすいものが。」

「でも、何かを頑張る時って、他の誰かのためであったり、自分のためであったり……いろんな場合があると思いますが、僕は、頑張るということの集中力みたいなものっていうのは、受験の時に初めて経験するんじゃないかなと思うんですよ、人生で。僕らはいま大人になって、仕事の中でたくさんの責任があって、いろいろな人のために……つまり自分のためにも、1日中集中したり、下手したら1ヶ月、半年をかけるプロジェクトがあったり……そういう中で日々集中して、習慣化して自分の人生を構築していっていますけど、これって多分、受験勉強しているときと同じ感覚というか、集中力なんじゃないかと思うんですね。」

「僕は受験を経験していないから、その集中力っていうものがいったいどういうものなのかっていうのは分からないですけど……例えば、僕は音楽を作る時にインターネットの回線を切って、ほぼ断食状態になって(笑)、集中して制作しますが。多分これって、いま受験を頑張っているみんなが、ゲームをしたいなとか友達と遊びに行きたいなとか、そういった当たり前の楽しさだったり遊びみたいなものを我慢して、自分の未来のために、なりたい自分になるために、なりたい自分を探すために、頑張っているんだと思います。それと同じことを大人になってからも仕事という形だったり、クリエイティブな仕事をする人はクリエイティブなことだったりで、必ず向かい合うことになるんですね。」

「だから今、受験勉強であったり何かと戦っている人、なりたい自分のために頑張っている人、何かに対して諦め切れない人、病気だったりそういったものと戦っている人……いろんな人がいると思いますけど、それは必ず自分の未来の糧になりますので。そこで手を抜いても、手を抜かず本気でやっても、成功しても、失敗しても。それが自分の人生ですから。だから、頑張るということに対して負けないでほしいなと思います。僕は自分に負けない、敵は自分って思っていつもやっているんですけど。誰かに勝つのではなくて、自分に負けない……その感覚は大人になってからも必ず出てくるので。身につけてほしいなと思います。」

「その中で僕が励まされたというか……クリエイティブの部分ですごく愛している曲。辛い時とか、負けそうな時に、ふと聴く曲があるので……これはあからさまな応援ソングにはならないかもしれないですけど、皆さんに今日は聴いてもらいたいなと思っています。クラムボンの「コントラスト」という曲なんですけど……ちょっとかける?すんごい良いのよ。歌詞が良いの。ちょっとみんなに聴いてほしい、詞を。」



「これね、僕にとってこの曲の"君"っていうのは、音楽になるんです。好きなあの子とか、そういうことじゃなくて。音楽っていうものになるんですけど。世の中に出るために皆さん受験生の方は頑張っていると思いますが、実は、受験はまだスタートの位置にも立っていないんですね。これから社会に出て、いろんな嫌なことや、いろんなむかつくことや、すごい素敵なことや本当にハッピーなことをいっぱい経験します。でも、自分というものを押し付けて生きていこうとするとすごい苦労するから、柳のようにかわせとか、いろんなことを言われるけど、でも僕は、なにかこう……ひとつ自分の好きなものを持っていれば、そういった状況の中でも乗り越えていけるんじゃないかなって思うから。それが、僕にとっては音楽でした。だから皆さんにとっても、なにかひとつ。柳のようにかわす柔らかさを手に入れるために、何か好きなものをひとつ見つけて平気だと言ってほしいなと思います。」


そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。

「本当に苦しいと思う。苦しいと思うけど……大人になったらもっと苦しいことがいっぱいあるぞー(笑)、ははは(笑)。ただ受験勉強だけしていれば良かった時代が懐かしくなるぞ。そういう未来もありますんでね。皆さん、今は自分に負けず、好きなものを手に入れるために、好きな時間を手に入れるために……自分なりに乗り越えていってもらえたらと思います。乗り越えるというか乗りこなしていってもらいたいなと思います。受験勉強だけでなくね。いま人生で何かと戦っている皆さん、常に平気だと言えるように。何かに頼ってもいいんですよ。」

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2023年1月20日(金)PM 10:00 まで


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