8/6 「 楽曲提供 」
山口「そうなんです!8月29日に発売されるニューシングル「夜の踊り子」の初回限定版には、DVDが付きます。前回のツアー"ZEPP ALIVE"のライブ映像が付くんですけど、実は、本物のライブ映像ではないんですね。本番前のライブハウスで、お客さんが入っていない状態で撮影した物を、そのまま収録したんです。空っぽのライブハウスの中で、僕たちを独占しているように見てもらいたいと思って、今回はこういう試みをやってみました。音も、"バイノーラルレコーディング"いう、360度、人が聞こえているような音で録れるマイクを使いました。映像も1台のカメラを固定したものなんです(=ひとりの視点)。ほんとにライブを独占しているように感じられるものになっています。ぜひ皆さんに見て欲しいと思います。」 今夜は楽曲提供の授業をお届けしたいと思います。8月1日にリリースになりました、SMAPのニューシングル「Moment」。この曲は、山口一郎先生が楽曲提供しました。SMAPがキャスターを務めるロンドン・オリンピック番組のテーマソングになっているので、テレビでロンドン・オリンピックを見ていて、聞いた事がある生徒の皆さんもいると思います。 「あのね、オリンピックの曲を作るのって本当に大変でしたよ!でも、人生でオリンピックの曲を作れるなんて、生きてきてよかったな、って思ったりしました。」 ということで今回は『楽曲提供』の授業をお届けしようと思います。山口先生は普段、サカナクションのために曲を作っているわけですが、そうではなく、他のアーティストの方に自分の作った楽曲を提供することについて、山口先生が考えていることを聞いていきます。 山口先生が今までに楽曲提供した曲
「サカナクションっていうバンドは、自分の中に、自分が作ってきたストーリーがあるわけですよ。アルバムを何枚も作っていきましたし、シングルも出していって、その中で、サカナクションを好きな人たちがいて自分たちが作りたいものがあって。その関係性の中で作るのが自分の曲を作る事です。楽曲提供をするために作る曲って言うのは、自分が歌うわけではなく、その人が今まで活動してきたストーリーの中、その人を好きだと行っているリスナーの人たちの中に投げ込む曲です。そして、依頼されている立場だから、求められていることを把握しつつ、それをしっかり出すっていう部分も意識しているという点が違いますね。」 そんな山口先生、楽曲を提供するときに気をつけているのは、"サカナクションらしくしすぎない"という部分だそうです。 「もちろん、サカナクションの楽曲を求められているわけですが、作詞作曲をしているのは僕であって、アレンジをしているのはサカナクションではないんです。だから、今回の「Moment」は編曲で、違う方が入っているんです。南波志保さんの曲も、僕らがアレンジした訳ではないですし、「Magic Time」も別のアレンジャーさんがアレンジしています。だから、別の人が編曲しても山口一郎の匂いが楽曲に含まれる事が必要ですし、サカナクションのファンも、そのミュージシャンのファンも納得して、面白がるものを作っていくというのが、すごく気をつけているところだったりします。」 南波志保さんに楽曲提供した「こどなの階段」は、作曲が山口一郎先生で、作詞がBase Ball Bearの小出祐介先生。そんな共作も話題になりましたが、この曲の制作エピソードも紹介してくれました。 「南波志保さんのこの曲は、先方のプロデューサーが僕に楽曲の依頼をしてきたわけですが、歌詞を小出君に頼んだらどうかっていうのは、僕の方からお願いしたんです。小出先生も南波志保さんを応援していたし、二人で共作したい!っていう話もしていたので、ちょうどいいなと思って。デモの段階で、僕はアレンジまでしたんですよ。それを小出君に投げて一発目に返ってきた歌詞が、「スクールバイバイ」っていうタイトルで歌詞を書いてきたんですよ。それは、僕がアレンジしたものがものすごいテクノポップで、1980年代にバラエティ番組から生まれた、"イモ欽トリオ" というグループの「ハイスクールララバイ」を思わせるものだったからなんですね。ですがそれは、プロデュース的な部分にまで踏み込んだ楽曲提供の形になってしまったので、向こうサイドから「もうちょっと今の南波志保に合う形に戻してくれないか」と指示があって、アレンジを別の方にお願いして、歌詞も「こどなの階段」って変わったんです。南波志保さんがこれから大人になっていく様を描いた物に変わっていったんですね。」 "楽曲提供" と "プロデュース" は、別のお仕事です(この辺も今後の授業で、取り上げられるかもしれません)。今回、山口先生は、SMAPのレコーディングに立ち会っていないし、実際にお会いもしていないそう。そして、提供した楽曲を聞いたSMAPのスタッフ側が、どこかの部分を改善したり、変更したりすることも、あるかもしれない、と考えていたそう。しかし今回は、歌詞の訂正依頼は、全くなかったのだとか! 「過去に「僕と花」っていう曲を出したときに、それが主題歌になったドラマに草_さんが出てたりとか、何かと縁があったりして、信頼してもらってるのかもしれませんが(笑) これを生業としている職業作家さんっていうのは、いくつも楽曲提供していくなかで信頼を得て、結果を出して、認めらるという厳しい世界なんじゃないかなって思ったりしています。」 それでは、楽曲提供をすることのメリットって何なのでしょうか。 「SMAPさんに楽曲提供したときに得られるメリットと言えば、国民的スターアイドルに、僕らみたいなちんちくりんが楽曲提供したときに、返ってくる反響としての、「サカナクションって誰!?」っていう、"プロモーション効果" です。SMAPさんが僕らに楽曲提供してきた理由は、SMAPさんのファン層とは違うところのファンを獲得したいのかな、と僕は思ったので、時間がなくてスケジュールも詰まっていたのですが、一生懸命やらせていただきました。」 楽曲提供の授業。それでは最後に、山口先生が、個人的に楽曲提供したいと思っている人、BEST3を発表して終わりたいと思います!!(笑) 山口一郎が個人的に楽曲提供したいと思っている人BEST3 1位:長澤まさみ 「国民的女優さんとかに歌を作ってみたいなって思います。それができたらミュージシャン人生に悔いなし!しかも歌を出した事がない人が良いんですよ!その方がその女優さんの、最初のイメージを作れるっていうことで、その人のストーリーにうまく加担できるんじゃないかと思うし。良い物作れる自信がありますね。」 2位:原田知世 「過去にアイドルを経験して、現在はミュージシャンとして地位を確立している方に楽曲提供したいですね。ずっとやってきた分イメージがあって、そこに自分の曲を当てはめたらどうなるのか?って言うのを実験したい気持ちがあります。小泉今日子さんもいいですね。」 3位:ジェロ 「デビュー当初からものすごくチェックしてたんですよ!外国人の方がHIP HOPをしながら演歌を歌うという "どうなってんだ感"!楽曲提供していく立場からするとものすごく面白いです。僕がもしジェロさんに楽曲提供するとしたら、DUBだね!DUB演歌!こぶしをディレイにするっていうね!そういう風にやってみたいね。」 「個人的に言っているだけなので、そんな依頼が来ているわけではないのですが、そんな仕事ができたら良いなと思ってます。音楽が好きな皆さんが "○○が××の楽曲を作った!" っていう面白いトピックを作って、"楽曲提供"っていうカテゴリの中で、皆さんをワクワクさせることができるんじゃないかと思っています。そういう音楽の、いいニュースをいろいろ提供できるように頑張っていきたいな。」 ということで、今回の授業はここまでですが、新しい宿題が出ましたよ! 「みんな夏休みだからって油断してたんじゃないだろうな?宿題、夏休み中も出しますよ!」 「カップリングの役割・重要性について、あなたなりの考えを140字以内で答えなさい」 [ 応募はコチラから ] 「はい、みんなの苦手な小論文きましたね!(笑)シングルの代表曲ではなく、2曲目、3曲目に入っている曲に関する皆さんの考えを教えてください。」 皆さん、夏休みの宿題と一緒に、早めにやって提出してくださいね。 M Moment / SMAP |