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4組目…透湖



やっと帰ってこれた。

もう、一生帰ってこれないかと思った。


無事に帰ってこれた。いや、無事ではない。
何かが開いた。何かが見えた。



透湖が見せてくれた。


スカーフを頭にかぶり、いすに座る。
表情が見えない。
笑っているのか。悲しんでいるのか。無表情なのか。



口元がわずかに見える。

分からない。


『A lost』


そして、透湖の表情を探っている隙に、
連れていかれた。

ここはどこですか?

透湖がいる。
歌っている。
ああ、現実か…!


小さく鳴り響く、ギターの音色。
呟くように、話すように、歌を心から直接外に出しているように、物語を語るように、歌っていないかのように、そこにいるのにいないかのように、透湖は歌う。



透湖がいる。

抱きしめたくなるのに、どう頑張っても、透湖との距離は縮まらない。

15才。


ある意味で、25才。
ある意味で、5才。
いい意味で、年齢不詳。
でも、15才。

徐々にギターの音が大きくなる。
どんどん透湖と自分が、一体化していく。
そして、会場全体が1つのかたまりになった。



すると、透湖がスカーフを外す。


顔が見えた。

笑った。


幸せだ。


透湖が笑っただけで幸せな気分になれる。
何だろう、この気持ち。



『どろぬまのダイヤ』


心がダイヤに変わり、麻痺している。

透湖は歌うために生まれてきたんじゃないと思う。
歌と同時に生まれてきたんだ。


透湖は最後にこう言った。




「みんなをハッピーにしたいです。ハッピーになってください。みんな」



ここはどこだっけ?
何だかハッピーだぞ。
あ、現実だ!

帰ってきたんだ。


夢の世界に!!



タキンチャイ

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