閃光ライオット

2009年08月06日

(1) 閃光2009が、刻んだ“傷と誇り”―東京の日 from 海賊

まず東京会場の1発目、つまり閃光3次ライヴの1発目!
65組の先頭で、見事にテープカットしてくれた「GHOST」。
演奏が始まって、ほんの一瞬で切り裂いたのは、
もちろんハサミなんかじゃなく、鋭く尖ったロックの刀。
あの熱量が先陣じゃなかったら、今年の“閃光ライオット”は間違いなく
始まらなかった。/そして、ロックやパンクやその類(たぐい)が、
スタイルや方法論じゃない事を、見事に、叩きつけてくれた
「センチメンタル岡田バンド」。爆発。爆裂。爆笑。いろんな「爆」を一握りにし、
それをセンチメンタルと言ってのけるキミ達は、本気で規則化された
音楽シーンを変えるチカラを持ってるかもしれない。/そしてチカラといえば、
3人全員が“個性”というチカラを手に入れたバンド。「Youth of Ameoba」。
3人3様で、とにかくオモシロイ。ドラムセットが壊れる事を心配してならない(笑)、
超絶パワフルドラマー、ヨーコピアン!彼女のドラミングは、
リズム、センス、パワーどれをとっても、本当に素晴らしい!
もうプロ級と言っていい。それに負けず劣らずのフロントの2人の
キャラクターといい意味で歪んだ(笑)センス。新潟が生んだ奇跡と言いたい!
/奇跡と言えば、妖精が人間界に降臨したのだろうか?と
目を疑う程、白く、透き通った、天使のシンガーソングライター「mico」。
かつて彼女と同じ種族を見たのは、「ロード・オブ・ザ・リング」の中に
出てきた“エルフ”という賢者の種族だけだ。それでいて、目の奥に宿るのは、
鋭く尖ったロック精神。あの歌唱スタイルも相まって、さしずめ、
“天使の国の女ボブ・ディラン”と呼ばせて頂きたい!/
そして、“カッコイイバンド名”大賞が開催されたとしたら、間違いなく
インディーズ部門優勝!の座を勝ち取るであろう
「the magic machine virgin queen」。
ファースト・インパクトはボーカルの濱田君の、生まれながらの
ナチュラル・ボーン・ロック・フェイス!歌う時のあの“ロック顔”は、
荒削りでヒリヒリとしたtmmvqのバンド・サウンドを象徴している。/
そして、今年の“閃光ライオット2009”には、幾多の苦難を乗り越え、
挑んでくれた勇気ある挑戦者達が数組いた。「ポニーテール・スクライム」。
彼等もそのうちの1つだ。否応なく強いられたメンバーとの遠距離。
その逆境を押し除けて、参戦した2次審査。
そして、本気で勝つために、共に交わしたであろう握手をふりほどき、
友に手を振った苦渋の選択。しかし、その“別れ”と引き替えに、
まるで代償のように、経験の浅い彼等が、3次ライヴまで登り詰めた。
思い返せば、悔しさは心を締め付けたろうと想像する。だが、立派だった。
キミ達が、あの東京会場の大人数の前で、ロックした事実。
それは、胸を張っていい。キミ達のロックは、始まったばかりなのだから。/
「CRAZY WEST MOUNTAIN」。“ロックした事実”を、“LOCKした事実”と
描くならば、彼等も今大会で、確実にオーディエンスの耳を
LOCK!したバンドだ。彼等のサウンドは、今大会、最も世代と国境を
越えた音楽と断言できる。/「Wish granters」。彼等は、今大会、
最も“優しい光”を放ったバンドと言えるだろう。心根の優しさは「音」になり、
傷付いた部分へと触れてくれる。音楽は時として弱者を救う。
彼等に会って改めて、そう認識した。/そして、弱者・・・と言えば、心ではなく、
カラダの意味でこのバンド名「虚弱」(笑)。メンバー全員が持病持ち、という
キャッチを疑いたくなるような、健全で強靱なインスト精神!「センスいい!」
この一言に尽きる!何より、昨年のリベンジ組の中に、彼女達の姿が
あったのが本当に嬉しい。インスト・ロックという、その扱いは、
非常に難儀な武器であるにも関わらず、再び、同じ武器で挑んでくれた。
しかも、そのレベルアップは、昨年2次。今年は3次。と
着々に上昇してることが裏付ける。また会いたいと素直に思う。/
そして、また会えるなら…と、彼女達も素直にそう思えるバンド
「A(エース)」。彼女達はなぜロックを手にしたのだろうか?
彼女達からロックに言い寄ったのか、ロックの方から彼女達を口説いたのか、
その相関関係に首を突っ込みたくなるほど、気持ちがソワソワする
魅力を秘めてる4人組。もしもロックと彼女達が本気で付き合ったあげく、
結婚でもしたとしたら、その時、彼女達が奏でる音楽を想像すると、
ゾッとする程ワクワクする!/「SA-D」。彼等へのワクワクは、
正直、臨戦態勢だ!仙台発東京経由デカイステージへ直行する、
そんな可能性に満ちたバンドだ。久しぶりだった。あんな真っ直ぐな
ロックの直球を投げるヤツらは。カーブやシュートは使わない。
ストレート一本のロック。討ち取られたリスナーは何人もいただろう。
/前にも言ったが、今回は、諦めなかった
リベンジ組が、多数再挑戦してくれた事が本当に嬉しい。
東京会場では、一気に4組続く。まずは「スピーカー」。もともとはラジカセの
スピーカーから流れてくるラジオ(SCHOOL OF LOCK!)に
耳を傾けてくれていた少年。その少年から番組宛に届いたのは、
耳を疑うかのようなハイクオリティーな「ヒューマン・ビート・ボックス」。
そのレベルは、RIP SLYMEに、「アフラを越えてんじゃん!」と
言わしめた程!あれから2年余り、遂に“閃光ライオット”の3次ライヴの
ステージにスピーカーは立った!しかも、そのスキルは人知を越えた合わせ技!
持ち前のヒューマンビート&ヒューマンスクラッチに加え、
トラックメイク&DJ&MPC、さらには、リリック&ラップまで全て1人でこなす、
まさに“ヒップホップ百貨店!”
しかも、歌詞とフローと韻の踏み方もいいと来た!革命が起きるのは、
ヤツが本気でプロを目指す覚悟が出来た時だろう。/「Flight egg」。
閃光史上、最高音楽偏差値と言える技巧派バンド!
リベンジの今年も、より一層、複雑な公式のような楽曲創りに
磨きがかかっていた。それでいいと思う。4分の3拍子、8小節、16ビートetc・・・
音楽は数学的な芸術と言っていい。だからキミ達の方法論は間違ってない。
しかし、注意しなければならないのは、
聴き手=回答者が“問題の意味すら解らない”現象に陥らない事だろう。
/「松井文」。去年のファイナリストの中で、唯一2年目も参戦してくれた
“元Piggy”のボーカルギター、ご存知マツイアヤちゃん。“閃光ライオット”を、
一瞬で“フェス”から、“カフェ”に変えてしまう能力の持ち主。
1日も早く、FUJI ROCKの“フィールド・オブ・ヘブン”で、ハナレグミと共演してる
姿を見たい。いや、近いと思う。ミス・存在感&オリジナリティー!
また会いましょう!/東京リベンジ組、最後は、澄み渡る歌声の持ち主
「Smoolull」。今年は、バンドメンバーもガッチリ固め、オリジナル楽曲も
キチンと携えて大成長し、再登場してくれた。優しきたたずまいの奥に
見え隠れする、“挑戦心と闘志”が、本当に嬉しかった。
続いて、名古屋会場へと続きます。

投稿者 toukousya:21:58