一人。
ギターを持って一人。
3次LIVE審査で、
「もしファイナルに行けたら新メンバーをつれていきます」
そう言ってたけど、金木くんは、一人で演奏を始めた。
優しい声。
涼しげな風を連れてきてくれる声。
そう思えるほど、歌う表情が涼しげで、優しかった。
この後は、新メンバーが出てくるだろう。
みんなもそう思っていたと思う。
しかし、結論から言うと、新メンバーは出てこなかった。
「3次LIVE審査のあと考えて、新メンバーで出るってどうなのかな? って。2年間も一緒にやってきたわけだから。それで元のメンバーに閃光ライオットのことを話したら、『是非やろう!』って言ってくれて……秋で解散するけど、今日は4人でやります!!」
そういって、両手を挙げて残りの3人、元メンバーが登場する!!!
3人の登場に会場からは拍手と歓声が沸きあがる!!!!
演奏の前に、4人が集まる。2曲目は……
「マジックミラーボール」!!!
ボーカルの金木くんの表情が、笑顔だ。
メンバーも、笑顔。
そんなメンバーの心の中をそのまま写しているような、「マジックミラーボール」は、
笑顔になれるような軽快なPOPナンバー。
この時間から、もう完全にLIVEに引き込まれてしまった。
バンドでの演奏。
これが最後の演奏。
それが、この野音。
「閃光ライオット」のファイナル。
目の前のオーディエンスは、約3000人。
ALOE#squash! の2年間。
この歌が出来た時。
初めてLIVEをした時。
バンドを組む前の話。
どうしても、ベース&ギターのコーラスに、耳を傾けてしまう。
ドラムに目が行ってしまう。
そして、金木くんの表情に目がいってしまう。
2曲目を終え、3曲目に移る。
その曲に入る前に、金木くんが曲紹介をした。
「4人で、初めてつくった曲を歌いたいと思います」
まさか。あの曲が、そうだったのか。
そう…「サヨナラパレット」。
もう、哀愁とかじゃなくて、もっと輝ける今の話。
この瞬間は、誰が作ろうとも、作れない舞台。
その舞台に立った4人。
この4人だから、きっとこの場所に立てたんだ。
歌詞を自然と追ってしまう。
最初から4人の別れを暗示していたかのような、「サヨナラパレット」。
この曲で始まり、この曲でALOE#squash! は一度、幕を閉じる。
時間は止まることがない。
演奏のラストがどんどん近づいてくる。
「サヨナラパレット」は、最後、それぞれが演奏を奏でて終わる。
もう、ここから先、歌の歌詞はない。
この時間の野音は、
メンバーも、そして会場も、
それぞれが時間を慈しんでいるような、そんな時間だった。
ダンガリー