2011年08月03日
4組目…透湖
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やっと帰ってこれた。
もう、一生帰ってこれないかと思った。
無事に帰ってこれた。いや、無事ではない。
何かが開いた。何かが見えた。
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透湖が見せてくれた。
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スカーフを頭にかぶり、いすに座る。
表情が見えない。
笑っているのか。悲しんでいるのか。無表情なのか。
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口元がわずかに見える。
分からない。
『A lost』
そして、透湖の表情を探っている隙に、
連れていかれた。
ここはどこですか?
透湖がいる。
歌っている。
ああ、現実か…!
小さく鳴り響く、ギターの音色。
呟くように、話すように、歌を心から直接外に出しているように、物語を語るように、歌っていないかのように、そこにいるのにいないかのように、透湖は歌う。
透湖がいる。
抱きしめたくなるのに、どう頑張っても、透湖との距離は縮まらない。
15才。
ある意味で、25才。
ある意味で、5才。
いい意味で、年齢不詳。
でも、15才。
徐々にギターの音が大きくなる。
どんどん透湖と自分が、一体化していく。
そして、会場全体が1つのかたまりになった。
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すると、透湖がスカーフを外す。
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顔が見えた。
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笑った。
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幸せだ。
透湖が笑っただけで幸せな気分になれる。
何だろう、この気持ち。
『どろぬまのダイヤ』
心がダイヤに変わり、麻痺している。
透湖は歌うために生まれてきたんじゃないと思う。
歌と同時に生まれてきたんだ。
透湖は最後にこう言った。
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「みんなをハッピーにしたいです。ハッピーになってください。みんな」
ここはどこだっけ?
何だかハッピーだぞ。
あ、現実だ!
帰ってきたんだ。
夢の世界に!!
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タキンチャイ
投稿者 toukousya:16:01