ミュージックの「解体」- 前編

サカナクション 2015.5.7 木曜日

20150507_s01.jpg




■ ひげまんぼーー笑
ひげまんぼー当たってました!!生徒の気を引き締めるためにもこの授業もっっっとやってほしいです!! 一郎先生楽しい時間をありがとうございました♪♪♪
をさをさ
女/18/愛知県




山口「先週、生放送教室で抜き打ち中間テストを行ないまして、先生、感じたことがある。生徒諸君、しっかりサカナLOCKS!を聴いてくれていますね。もちろん、答えられなかった生徒もいたけど、ちゃんと聴いていたと。それを聞いて先生は安心した。先生はいつもラジオで一人しゃべりだから、生徒諸君が本当に授業を真剣に聴いてくれているかどうか、不安になってたぞ。だけど、こういうテストをやることで、生徒諸君のやる気を感じることが出来るという。……これは、毎月生放送教室で、中間テストじゃないなこりゃ、“月間テスト” だな(笑)。行なっていこうかと思います。」

先週の抜き打ち中間テストの様子はコチラ[⇒2015年4月30日の授業]

山口「そして、本日の授業ですが、副担任のこの人と一緒にお届けします。」

江島「サカナクションの江島啓一です。」

20150507_s02.jpg


山口「ヒゲマンボウ先生。」

江島「はい、ヒゲマンボウです。」

山口「はは(笑)。先週、急に電話しましたけど、抜き打ち中間テストの最後に。あの時、何してたの?」

江島「あれね、ご飯を外に食べに行っていて、帰ってきたばっかりだった。」

山口「あ、そうなんだ。あれ、予想してたの?(サカナLOCKS!から)かかってくるって。事前にさ、『ちょっと大事な話があるから、お前絶対電話に出ろよ!』みたいな感じで言ってたじゃん。」

江島「言ってたねー。だから最初、何だ大事な話ってって思うじゃん。でも……あれ?今日ラジオじゃない!?って(笑)。」

山口「あはははは!(笑) ……まあ、でも、あれだから。今月はもう電話しないから、中間テストの時。だけどお前、ちゃんと聴いておけよ!(笑)」

江島「わかった、わかった。」

山口「なんか、万が一のことがあるかもしれないから。」

江島「うん。……え?万が一?(笑)」

山口「有り得るから。気を付けてくださいね(笑)。……そんなくだらない話をしている場合じゃないんですよ。」

江島「くだらなくないですよ!(笑)」

山口「じゃ、黒板書きますよ。」

20150507_s03.jpg


20150507_s04.jpg


今回はサカナクションのドラム、江島啓一副担任といっしょに、“音楽を解体” する授業を行ないます。教室に、サカナクションの楽曲「ミュージック」のレコーディング音源が全て入っているパソコンが準備されています。この音源データを使って、音楽をばらばらにしていきます。

山口「皆さんが普段聴いている音楽……塊で聴いている音楽は、気づくようなものから気づかないようなものまで、いろいろと混ざって一つの音楽になっています。ミュージシャン側から見ると、その一つ一つの音を重ねていって、完成形の音楽を作っていくということですね。バンドをやっている人は、パートっていう部分で分かるじゃん。例えば、ギターとか、これがベースの音、これがドラムで、これがボーカル、コーラスはこんな感じとか。それが合わさって一つの音楽になっているんだけど、なかなか難しいじゃん……実際に塊になっている音を分解してどうなっているかなんて、口で言っても分からないでしょ?」

20150507_s05.jpg


江島「難しいねー。」

山口「だから、今日は実際にばらばらにして、みんなに聴いてもらって、勉強してもらおうと思う。」

江島「はい。」

山口「例えるなら、カレーね。カレーってさ、じゃがいも、人参、玉ねぎなど、目に見える部分とか食べても食感がある部分……そういったものはもちろん、カレーのルーの中にも、見た目では気づかないくらいたくさんの香辛料が含まれているわけじゃん。」

江島「入ってるね。」

山口「何十種類とか入っているわけでしょ?他にも、隠し味でチョコレートが入っていたり、レーズンが入っていたり……それが実は効いていたりするんですよ。」

江島「はい。」

山口「……お前みたいな単細胞には、じゃがいもとか、人参とかに気がとられちゃって、そういう隠し味には気づかないで、カレーのマジックにかかっちゃって。それに気づかないで食べてるじゃん。」

江島「あー(笑)。いきなりディスられたけど(笑)。」

20150507_s06.jpg


山口「あはは(笑)。そういうのを、今日は分解することで、調理方法を見せることでみんなに気づいてもらえたらなって思っております。」

江島「なるほどね。はいはい。」

山口「今日は、サカナクションの『ミュージック』という曲を実際に解体してやっていこうと思っているんですけど、どの部分を聴きましょうか?」

江島「一番最後の、大サビと言われる部分。コーラスがドーンと入る部分。」

山口「じゃあ、そこを一回聴いてみましょうか。」


サカナクション「ミュージック」(※4'02"〜の大サビ部分)


山口「この曲、うち(山口先生の自宅)でレコーディングしたんだよね。」

江島「したした。映像残ってるもんね。」

山口「残ってる。懐かしいなーあのうち。……じゃあ今この(今回、教室に持ち込んだ)パソコン上には、どういう風にデータが振り分けられているんですか?」

江島「『ミュージック』のね、ボーカル、コーラス、シンセサイザー、ギター、ベース、ドラム……っていうのが全部ばらばらで……ばらばらって言って分かるかな?」

20150507_s07.jpg


山口「それぞれのパートが分解して配置されているんだよね。」

江島「配置されています。」

山口「ひとつずつ、聴いてみる?……ドラムからいってみようか。」

江島「ドラム、いきます。」

20150507_s08.jpg


(♪「ミュージック」のドラム部分のみを聴いて……)

山口「これが四つ打ちッて言われる原点になっている音ね。」

江島「ドン、ドン、ドン、ドン……って、一小節に4発打つのが四つ打ちです。」

山口「でも、結構キックがっつりきてるね。」

江島「これね、生のドラムのキックじゃないんですよ。」

山口「生で江島が踏んでいるキックの音と、そうじゃない音を混ぜているってこと?」

江島「実際のキックは、ドラムセットだけの音にすると……」

(♪「ミュージック」の生ドラムのみを聴いて……)

山口「スカスカじゃん!」

江島「なんか、あまりパンチがないぞ……みたいな。」

山口「パンチがないどころか、お前の気合のなさを感じるぞ。」

20150507_s09.jpg


江島「いやいや、気合は入ってるよ!(笑) 結構。」

山口「ははは(笑)。」

江島「で、足で踏んでいる楽器、バスドラムのパンチを出すために、機械の音を重ねているの。」

山口「打ち込みのキックを混ぜているのね。」

江島「うん。そうすると……」

(♪「ミュージック」ドラム部分のみ再生)

江島「あ、パンチが出てきた。って。」

山口「だし、キックがすごい前にきたね。」

江島「うん。」

山口「じゃあ、次。ベースいってみましょうか。同じ部分のベース……草刈のパートね。」

江島「いきます。」

(♪「ミュージック」ベース部分のみ再生)

山口「これって、ベースはアンプとライン、混ぜてるんだっけ?」

江島「混ぜてる。」

20150507_s10.jpg


山口「ベースアンプで実際に鳴っている音をマイクで拾っているのと、ラインって言って、ベースから直接パソコンに音がいくものを混ぜているのね。」

江島「うん。」

山口「けど、プレイは一回だよね。」

江島「うん。一緒。」

山口「これがベースと。じゃあ次いきましょう。次は、ギターの岩寺いってみますか。」

江島「岩寺さん。」

(♪「ミュージック」ギター部分のみ再生)

山口「ギターさ、何本録ってるの?この時。」

江島「二本かな?」

山口「じゃあ、二本をばらばらに聴いてみよっか。まず一本。」

(♪「ミュージック」ギター部分1本目のみ再生)

山口「はいはい。」

江島「で、もう一個が……」

(♪「ミュージック」ギター部分2本目のみ再生)

山口「結構、歪(ひず)ませているんだよね。これ、ギターで結構空間を埋めようとして、ギターの音を膨らませたんだよね、確か。」

20150507_s11.jpg


江島「うん。もっといっぱい入れてたの、最初は。バッキングとか。ガジャジャジャジャ……みたいなやつとか。」

山口「入れてた、入れてた。俺のパートね(笑)。」

江島「そうそう。ジャジャジャジャ……ってやつ(笑)。でも、コーラス入れた時に『音が多いな。』ってなって、やめたんだよね。」

山口「結構、間引いたもんね。一番間引いた中でも、ギターが間引かれたかもね。シンセもあったけど。」

江島「そうだねー。」

山口「じゃあ次。シンセを聴いてみましょう。岡崎のパート。」

(♪「ミュージック」シンセサイザー部分のみ再生)

山口「はいはい。これ、冒頭から入っているダン、ダ、ダン、ダン、ダン……の音色をちょっと変えたんだよね。同じ種類のものだけど、サビ用に広げたんだよね。」

江島「うん。元々はね、“フィルター”っていう、ちょっと明るい音になったり暗い音になったりするもので、それを、どんどんサビに向かって明るくしていったの。」

山口「開いていったんだよね。じゃあ、シンセも2つ入っているから、ばらばらに聴いてみようか。」

江島「一本目がこれです。」

(♪「ミュージック」シンセサイザーのみ再生)

山口「これは、ずっといるやつね。」

江島「頭からずっと流れてるやつ。……もう一つが、マリンバ。」

(♪「ミュージック」マリンバ部分のみ再生)

山口「はいはい。でもさ、この音って実はサビで出てくるんじゃなくて、もっと前から出てくるんだよね。」

江島「出てる。」

20150507_s12.jpg


山口「2A(2番のAメロ)だっけ?」

江島「いや、A(1番のAメロ)だね。」

山口「1Aか。」

江島「……ごめんなさい。2Aです!フフフ(笑)。」

山口「……なめてんのか、お前。」

江島「忘れてた(笑)。……すげー今日怒られるなー(笑)。」

山口「(笑) これが同時に鳴ると?」

(♪「ミュージック」再生)

山口「シンセが一番広いんだよね。今まで聴こえてきた音の中で。」

江島「うん。右と左にね。」

山口「みんなが今聴いているラジオは、iPhoneで聴いているのか、ヘッドフォンやイヤフォンで聴いているのか分からないけど、“L”と“R”があるじゃん。その、LとRを目一杯鳴らしているのがこの音。……そして、これ以外に入っている音は一体何がありますか?」

江島「コーラスです。」

(♪「ミュージック」コーラスのみ再生)

江島「これね、一郎先生以外の4人。……これに、一郎先生が入ると……」

(♪「ミュージック」コーラスのみ再生)

山口「はいはい。一郎先生をミュートして(消して)。」

(♪「ミュージック」コーラスのみ再生)

江島「一郎先生、今いなくなりました。」

山口「やっぱり、女子の声がすごく強調して聞こえるよね。」

江島「高いからよく聞こえるんだね。」

山口「じゃあ、一郎先生のソロを聴いてみましょうか。」

20150507_s13.jpg


(♪「ミュージック」メインボーカルのみ再生)

山口「これは、一郎先生の歌なんだけど、単体で聴くとこれだけ声が広いっていうかね……飛んでいるんだよね。だけど、全体で聴くと、声がまとまって抜けて聞こえてくる。」

江島「すごい、体育館みたいな所で歌ってるみたいじゃないですか。」

山口「これってさ、ドライとウェットっていう言い方を僕たちはしているけど、カラッとした音と、ウェットだけの音が、二種類あるんだよね。」

江島「はい。あります。」

山口「じゃあ、まずドライだけを聴いてみましょう。」

(♪「ミュージック」メインボーカル ‐ エフェクトなし ‐ 再生)

山口「はい、ドライ。しかもこれ、全く同じパートを2回歌うんだよね。」

江島「全く同じものを2回歌って重ねる。」

山口「そうすると、“ダブリング” って言って、今聴いたら分かると思うけど……ちょっと、揺れて聞こえるっていうかさ。こうすると、歌の印象が一本で歌うよりも強く聞こえるんだよね。」

江島「うん。」

山口「これ、ジョン・レノンとかがやってるんだよね。でも、ジョン・レノンは、ダブリングをするのが面倒くさいから、エンジニアに、ダブリング用のエフェクトを開発させてるんだよね。」

江島「一回しか歌わなくても効果が得られるような機械を作ってもらったんだよね。」

山口「……ずるいよね。」

江島「ずるいねー。」

山口「一生懸命俺は歌ってるのに(笑)。」

江島「ははは(笑)。開発させたってのがすごいよ。」

山口「すごい。それが、『Imagine』とかのあの感じなんだよね。……じゃあ、ウェットで聴いてみましょう。」

(♪「ミュージック」メインボーカル ‐ エフェクト部分のみ ‐ 再生)

山口「うわっ、遠。」

江島「遠いなー、一郎先生。」

山口「なんかもう、すんごい広い野外で歌ってるみたいだね。」

江島「遠くから聞こえるね。」

山口「なんか、離れた食事スペースで食べてたら、『あ、サカナクション歌ってるじゃん。』みたいな。」

江島「フェス?それ、フェス?(笑)」

山口「フェス(笑)。フェスの食事スペースで食べてたら、『サカナクション始まったんじゃね?』みたいな。」

江島「『何か歌ってる!行こうぜ!』って。……行ってみようぜってなったらこうなってくるよね。」

山口「基本的にコーラスは全員で歌うっていうことになってきているね。じゃあ、メンバーの一人一人聴いていこうか。」

江島「あぁ、はい(笑)。」

山口「じゃあ、ヒゲマンボウさん。」

(♪「ミュージック」コーラス ‐ 江島先生パートのみ ‐ 再生)

江島「……これ、事故ですね。」

20150507_s14.jpg


山口「あははは!(笑) これ、ヒゲマンボウさんですか?」

江島「これ、ヒゲマンボウ先生です(笑)。頑張って歌ってるんですよ。」

山口「じゃあ……どうぞ!」

江島「う……。ラララー……あははは!(笑)」

山口「はははは(笑)。」

♪パッポー、パッポー、パッポー、パッポー (授業終了の合図)

20131010_s001.jpg



山口「お、チャイムが鳴りましたね。まだここからも授業は続くんですけど、今回はここまでとしまして、来週また続きをやっていきたいと思います。まだまだ『ミュージック』を構成する音がありますので、来週も更に、“ミュージック解体ショー”を行なっていきたいと思います。」

江島「はい!」

山口「来週もちゃんと気合入れて来てくださいね。」

江島「はい(笑)。いや、気合入ってますよ、いつも!(笑)。」

ということで、次回もお楽しみに!
ヘッドフォンやイヤフォンを準備しておくと、より解りやすいかもしれません。授業で感じたことや発見したことがあれば、[ サカナLOCKS! 掲示板 ] に書き込んでください!

20150507_s15.jpg
- Prev                 Next -
<   2015年5月   >
MonTueWedThuFriSatSun
    123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

RSS

QRコード 画像
MOBILE SITE