宿題『ロックバンドの基準』

サカナクション 2015.3.5 木曜日

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山口「(かなりテンション高めで)はーい!授業を始めますから席に着いて下さーい!(笑) マンガを読んでいる生徒はしまいなさい。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。授業を始めますよ。……先生、もう、歌詞ができなすぎて鬱屈したから、ヘアメイクさんにわがまま言って、深夜にパーマあててもらっちゃった(笑) わははは!(笑) ……では、黒板書きまーす。」

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今回は、生徒の皆さんに出していた、宿題『ロックバンドの基準とは?あなたの考えを述べよ』に提出された意見を紹介していきます。

「きたー。このテーマ、きた! この宿題、本当にたくさん届いていますので紹介していきましょう。……先生、パーマ当てちゃったりしたけど、これはロックバンドに反するのかな?(笑) 歌詞を書けずに毎日仙人のように籠っていますけど、これ、ロックバンドなのかな? ……先生もね、自分にとってのロックバンドって何なんだろうって。特にサカナクションが、“ダンスミュージックとロックの融合”とか言われてきたときに、いろんな批判も浴びたわけですよ。PCと同期しているなんてロックじゃない、なんてよく言われました。……では、生徒から届いたロックバンドの基準とは何か、生徒がロックバンドだと感じるバンドにはどんな基準があるのか、紹介していきます。」

「もちろん、大前提として、基準は人それぞれです。だから、みんなも楽しみながら聞こう。そんなの違う!とか言って言い争いになったら駄目。ロックを演奏するバンドであれば、それはすなわちロックバンドです。すると……ロックという概念とは何かという話になってくるんですが。例えば、“私生活が荒れていないとロックじゃない”とか、“ボタンダウンのシャツをキッチリ着ていたらロックじゃない”とか(笑) 音楽以外の要素も含めてしまいそうな話ではあります。“タートルネックはロックなのか?”とかね(笑) 言われるわけですよ。先生、タートルネックを着てるから。まずは、純粋に生徒たちが思う基準を聞いていきたいと思います。いきますよ。」

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ロックバンドの基準は、単純に考えて、“楽器演奏をしている”・“社会批判”・“反体制”・“反権力”が感じられるかどうか。
銀の匙
女/16/大阪府




「わはは!(笑) パンクやなー。なるほどね。これ、“楽器演奏をしている”っていうのがロックバンドのひとつの基準っていうのはよく分かる。実際にそうだと思う。バンドだしね。だから、これはひとつの基準としては分かりやすいね。ありがとう。」



CDの初回版を、AとかBとかいっぱい出さない。
ぱるふぁむ
女/18/茨城県




「ははは(笑) AKB48とか、そういうのはAとかBとかCとかDとか、いっぱい出しても全然良い。それがカラーだから。だけど、『ロックバンドは、初回版と通常版でしょ!』みたいな(笑) 『俺らは、出して初回版。』みたいなのがロックバンドのイメージってことなんだね(笑)」

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ライブで曲の終りにドラムでドンドンして、最後メンバー全員がジャーン!って終わるバンドはロックバンドです。あと、演奏している時に、お客さんと「ハイ!ハイ!」って拳を上げるバンドもです。
ねがとら
男/14/香川県




「ふふふ(笑) ♪ジャーン!ジャジャジャ……(ってドラムとかが鳴らして、)ジャカジャン!『ありがとう!』みたいなのがロックバンドね(笑) あと、『ハイ!ハイ!』って拳を上げるバンドも、ねがとらからしたらロックバンドの基準だと。なるほどね。分かる。J-ROCKだね。」



私のロックバンドの基準は、MUSICA等の音楽雑誌のインタビューで自分たちで曲を解説したり、作曲時の苦労を語ったりしているのがロックバンドだと考えています。つまり、自分たちで曲を作り、自分たちの曲のストーリーを語れるのがロックバンドだと思います。
ハナナクション
女/12/徳島県




「なるほどね。楽曲提供してもらってるなんてロックバンドじゃねぇ!ってことですね。自分たちの曲を、自分たちの物語の中でちゃんと紡いでいくのがロックバンドだと。つまり、ロックバンドの楽しみ方をハナナクションは分かっているということですね。どこで結成して、どういう理由があって結成して、それが段々世の中に知られていく時に、どんな苦労があって、で今に至る。そのストーリーを楽しむ、そのストーリーがあるのがロックバンドだと。……でもさ、アイドルにも多分あるよね。デビューしてさ、最初は苦労して、全然受け入れられなくて、だけど昇っていく……っていう。そういうストーリーもあるなと。だから、ざっくり言うと、“自分たちで曲を作っていないとロックバンドじゃねえよ” ってことかな。ハナナクション、ありがとう。」

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ベース、ギター、ドラムは絶対に必要!この3つがないとバンドの音って感じがしません。たまにベースレスバンドとか聞くけど、僕はなんだかしっくりきません。あと、作詞、作曲はバンド内で10曲中9曲。
しろいろえんぴつ
男/18/広島県




「ふふふ(笑) 10曲中1曲は別に他人でもいいよー!って。どういうことだろう(笑) 面白いですね。1曲、誰だ?(笑) そして、ベース、ギター、ドラムが絶対にいないとダメだと。でも、ベースの基準って何だろう?サカナクションはベースいるけど、ベースを生で弾かない曲もありますけどね。鍵盤で弾いちゃう曲もあるけど。それはロックじゃないのかな?」



リスナーに80%の理解を求めるバンド。
きゃない
男/14/愛知県




「え、じゃあ20%は伝わらなくても良いってこと?別に、俺たちは媚びてねーし!みたいな。そういうのがロックバンドってことね。先生みたいに、こんな風に『生徒諸君!宿題を提出してねー!』みたいに媚びている人はロックじゃないと(笑) つまり、己の道を行く、と。売れなくても良いし、テレビとか出ねーし、ラジオとかしゃべんねー……みたいなのがロックバンドだと。分かる、それも。一時期、ロックバンドはテレビに出ないって風潮ありましたもんね。ひとつのアイデンティティみたいなものが。うん、分かる。」

「この宿題、面白いねー。どんどんいきますよ。」

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顔を出さないで音楽をやっているバンドはロックバンド。
単三
女/16/沖縄県




「MAN WITH A MISSION……、FACT……。あ、FACTは顔出してるか。あれ?MAN WITH A MISSIONしかいなくね?(笑) あれ?顔を出していないで音楽をやっているバンドって……。顔を出さない基準ってどこ?ライブ中はOKなのかな?ミュージックビデオとか、雑誌とかテレビに出ない。メディアに出ないってことかな?この基準、結構難しいね。メディアに出ないってことでいいのかな?でも、その基準はあると思う。」



時代の流れや流行を考慮しつつ、独自性を持ち、新しい事に挑戦し続けて音楽を作り続けるバンド。反体制の曲を作り続けるのがロックバンドではないし、売れないのがロックバンドというわけではないと思う。
飲む鯖の味噌煮
女/17/新潟県




「ほー、すごく現代的な意見。先生もこれ、すごく良く分かる。一時期、ボブ・ディラン(Bob Dylan)とかもそうだけど、反体制的なことを歌うのは世の中に対するカウンターだとされていて。それをテレビとかラジオとかのメディアが一気に蔓延していって広まるっていうことがありつつ、その中でロックというものを拡大解釈しようということで、バンドみたいな形式も踏まえてのロックが生まれていったわけですね。プログレッシブ・ロックとか、パンクとかハードコアとか、そういうのはバンド形態から生まれてきて、それは反体制じゃない。形式だけはロックと言われる時代がきたんですけど。そうじゃなくて、もっと男らしくロックしようって、過去のオールドスタイルに戻った時期もあったんですよ。つまり、流行っていうのは繰り返していく中で、また今、新しく反体制っていうものもロックであるし、世の中に受け入れられるものを作られる技術も、ロックとして解釈する、と。全てに対してロックっていう解釈を持っていこうっていうのが現代の動きにあるんじゃないかなと思いますね。むしろ、ミュージックビデオとか、そういったもので自分たちの音楽を発信する時代になって、音楽だけではなく、音楽に関わる音楽以外のものもちゃんと利用できるバンドが成功していくんじゃないかなって感覚がすごくありますもんね。……確かに、反体制だ、反社会的だ、って、『オラー!』とか言ってても、じゃあそれをどうしたらいいの?ってところがありますもんね。現実的な意見を聞きたいんですけど?って、Yahoo!コメントで返されそうですもんね(笑) そうじゃなくて、もっと新しい中和的な意見がロックバンドに求められているんじゃないかって気もしますね。」

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という感じでかなりの宿題を紹介しましたが、今回の授業も終了の時間になりました。

「本当に難しい宿題だったんですけど、まだまだいっぱい届いてているので、もっといっぱい紹介したいんですけどね。……先生、これ帰って読むわ(笑) またいずれ、この授業やりたいなと思いますね。ロックバンドの基準、先生が思うロックバンドの基準を言うとすると……

そんなの無い!

……ははは(笑) 無いと思う。だから、生徒諸君が決める事なんだよ。生徒諸君がロックだなと思えばそれでいいし、こんなのロックじゃないって思えばロックじゃないんだよ。その過半数がロックだと言うならロックだし、過半数がロックじゃないって言うならロックじゃないんだと思うしね。リスナーが音楽を先導して決めていく時代なのでね。」

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「先生は、諸君のロックバンドの基準を読んですごく勉強になりました。生徒諸君もきっと、それはロックじゃないとか、なるほどって思う意見もたくさんあったと思うけど、そういう風にいろんな意見を持ってロックについて考えてくれるのは、ロックバンドをやっている先生としては嬉しい事かなと思います。」
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