「2020年『上半期・音楽トピックス』 (Instagram Live生配信授業)」
サカナクション 2020.7.3 金曜日
聴取期限 2020年7月10日(金)PM 11:27 まで
山口「はい、授業を始めますから席に着いてください。Twitterを開いている生徒はTwitterを閉じなさい。Instagramを開いている生徒はInstagramをそのままにして、 サカナLOCKS!のインスタアカウントをフォローしなさい。授業が始まりますよ。本日が7月3日ということで……あっという間だね。2020年も半分が終わったということです。みなさんにとって2020年の上半期はいかがだったでしょうか。世界中どこにいても新型コロナウイルスの影響を受けたのが2020年の上半期だったと思います。卒業式とか始業式が思い通りにいかなかった人もたくさんいるでしょうし、いい思い出がたくさんだっていう人はそんなに多くないのかもしれません。
そんな中で埋もれてしまっているかもしれませんが、何か生徒の心に響いた音楽的なトピックスがあったはずです。実は先日Instagram Liveで、皆さんにお聞きしました。これからその模様をお送りしたいと思います。」
ということで今回は、サカナLOCKS!のInstagramアカウントを使って行った公開授業の様子をお送りします。インスタライブに参加してくださった皆さんのコメントを紹介しながら、2020年『上半期音楽トピックス』を振り返っていきます。
<2020年7月1日・配信ライブ>
山口「お、早速コメントきてます。」
(コメント)『やっぱり配信ライブ!』
「"無観客ライブ"。あー…•無観客ライブは確かに上半期のトピックスですね。いろんな問題点も出てきましたよね。配信トラブルだったり、権利の問題だったりとか。でも、これからしばらく配信ライブは続いていくんじゃないかと思いますね。」
(コメント)『SixTONESとSnowManデビュー!ジャニーズの新人です。』
「ははは(笑) 僕、知らないな。へー。」
(コメント)『サザンの無観客ライブ!推定50万人が視聴』
「これはトピックスですなー。」
(コメント)『ライブハウスアンチが現れてしまったこと』
「確かにな……ライブハウスがクラスターになって感染者が増えたということで、"ライブハウスなんか行ってんじゃねーよ"みたいな人たちが現れたってことですよね。ただ、そういう人たちに限ってライブハウスに行ったことがない人たちですもんね……。」
(コメント)『嵐がアルバム売り上げ世界No.1になった!(『5×20 All the BEST!! 1999―2019』)』
「おー、そうなんですね。B'zを超えたんだ……すごいね。」
(コメント)『嵐のサブスク&YouTube解禁!』
「これは大きいトピックスですねー。やはり、時代の潮流みたいなものに大手もしっかりと乗ってきたという。今までオンラインを避けてきたジャニーズが時代に合わせてアプローチしてきたというのは非常に大きかったと思います。」
(コメント)『藤井風の一大旋風!』
「藤井風ね!出てきましたねー、ビッグアーティストがね。彼は面白いね。久々にすごい人が出てきたなって感じがしますよね。」
(コメント)『NEWS 手越卒業』
「なんかジャニーズ系のニュースが多いな(笑)。やっぱり、固まっていたところが壊れてきたというか、崩れてきたのはすごく大きなニュースになっていますよね。」
(コメント)『フジテレビのゴールデンタイムにNUMBER GIRLが出演!』
「へー……ビッグニュースですね、それ!いいねー、みんなトピックス持ってるねー。」
(コメント)『「うちでおどろう」コラボ動画』
「あー、みんなやりましたね。安倍首相もね……安倍首相の周りで指摘するコンサルがいないんですよね。文化のコンサルタントがいないっていうことに驚きましたけどね。」
(コメント)『アーティストのうたつなぎ』
「これは僕にも回ってきましたね。」
(コメント)『ライブの延期・中止が相次ぐ』
「本当にそうですよね。いつ再開するのかも全然目処が立っていないっていうところですけど。プロ野球は7月10日くらいから観客をちょっと入れた試合が始まるのかな、確か。ライブも始まっていって、1回でもクラスターが発生したらまた元に戻ってしまいます。感染者が増えてしまったりすると怖いですよね。」
(コメント)『ライブグッズが大量に余る』
「あー……これはどのミュージシャンもグッズが余って、一気にオンラインで販売を始めたっていうのがありましたよね。サカナクションのグッズは皆様の応援で比較的売り上げましたが、ライブを行って販売するよりは圧倒的に少ないですね。」
(コメント)『ゆらゆら帝国が解散10年後にしてMV動画配信開始』
「ははは(笑) これは良いニュースですねー。」
(コメント)『Zepp Haneda、Zepp Yokohamaがオープン』
「おー。」
(コメント)『コンサート会場やドームが空っぽ』
「確かにねー。あんなにとるのが難しかった会場が全部ガラ空きですもんね。オリンピックの関係でとれなかった会場が空いたけど、予約が取れないというね。」
「……やっぱり、明るいニュースが少ないですよね。まあ、しょうがないんですけどね……」
「今、配信ライブが本当に毎週末時間の取り合いになっています。僕らもオンライン配信ライブをやろうと思っていろいろ画策しているんですけど、他の人たちと時間がかぶるんですよね。もう、朝5時とかからやろうかな(笑)。朝5時とか深夜0時とかね。あと、"Instagram Liveでミュージシャンが身近に"っていうのは、みんなInstagram Live始めましたもんね。芸能人やタレントの方もYouTubeを始めたりね。オンラインやSNSというのが近くなったのはありますね。コロナが収まっても、それがライフワークになっている人は続けていくんじゃないかと思いますね。僕はずっと続けていこうと思っていますけどね。」
(コメント)『Lady Gagaの医療従事者支援コンサート (One World: Together at Home)』
「あ!あれは非常にインパクトが大きかったですね。ですけども、あれは日本国内でやろうとすると、権利の問題が非常に大きいですね。日本ではできないことがいろいろあるんじゃないかと思いますよ。」
(コメント)『在宅時間が多いので、自宅の音響設備を充実させた』
「おー。スピーカーとか、Bluetoothスピーカーの売り上げは結構増えたんじゃないかと思いますね。その辺調べてみたいですね。」
「一郎先生的な上半期のトピックスは……フライデーされたことですかね(笑)。『FRIDAY』に、チームNFの4人で小さい車にごり乗りしているのを写真に撮られたのが上がっていたのが一郎先生のトピックスかなと思います(笑)。ふざけたのだとそれですけど、真面目に話をすると……やはりコロナの影響でツアーがなくなった代わりに新しく活動をし始めて、自分が音楽業界の中でどういう立ち位置にいるのか、何をすべきかっていうのを考えるきっかけになったのは自分の中で大きいですね。
あと、ライブが出来ない日常っていうのも自分の中では大きい変化ですね。僕らがライブを出来ないっていうことを他の何かで例えるとすると、"お母さんが毎日家にいるのに、お母さんが作ったご飯が食べられない"って感じ(笑)。"お母さんいるのに毎日Uber Eatsだ……お母さんのご飯食べたいな……"って感じ(笑)……違うかな?まあ、例えようがないですね。」
「CDの価値観みたいなものは、このコロナの影響で変わるんじゃないかなって思っていますね。やはり配信、サブスクっていうところがメインに移行していく中でサブスクリプションの問題点っていうのもあるんですよ。あと、これからライブが解禁になった際に、チケットの争奪戦みたいなものがある可能性がありますよね。そういった部分でまた転売とかそういう問題が出てくるっていうのは気になっていますね。
チケットの価格が上がる可能性ももちろんありますが、多分そこは業界的に一律にすると思うのでそんなに変動はないのかなって思うんですけど。ただ、会場が今現在まったく取れない状態なので……特に8月とか。ライブができる状態になるか分からない状態でもそういう状態なので、ライブが解禁になった瞬間にとんでもないことになるんじゃないかと思います。すでにもういろいろと押さえられていますから。キャンセル待ちみたいな状態になっていますからね。これは、今年も来年もですよ。来年オリンピックが延期になって行われるとなると、さらに会場事情が圧迫されるので……これは本当になかなかどうなるか僕たちも読めない状況ではありますね。
あと、ワクチンができるまでは、コンサートで地方に行くっていうことに対して心配事が増えるじゃないですか。例えば、東京に住んでいるけど、チケットがあるから福岡のライブに行こうっていう気持ちには、今まで通りにはならなくなると思うので。ローカルでのチケットが当たりやすくなる可能性はありますけど、都市型のミュージシャンは辛い状況になってくるかな……
東京にいっぱいファンがいる人たちで、地方にあんまり知られていないミュージシャンは厳しくなるんじゃないかと思います。そういういろんな問題点がこれから出てくるんじゃないかと思いますね。」
「僕は、夏フェスに関しては実は3年くらい前から懸念していたことがあって。メディアがずっとフェスに依存していたじゃないですか。イベンターだけでなく、音楽メディアがフェスをやり始めたりして、フェスに人が集まってきて、フェスで音楽を体験するっていうことが続いていて、若者たちが初めていくライブがフェスになっていると。ワンマンに対してお客さんの動員がフェスに比べていまいち伸びていないんですが、動員全体は伸びていて。
もし、このフェスに事故があったり、何か問題が起きた時に、フェス自体ができなくなったら音楽事業全体的に停滞するし止まってしまうんじゃないかと。CDが売れない上に。そうしたらどうするのっていうことを3年前くらいから言っている中でこのコロナの状況になったので、ライブが出来なくなってしまって……だから、音楽業界としていい状況の時にこそ、それが出来なくなった時のコンテンツをちゃんと用意して、法整備もして動いておくべきだったのに……
全国でフェスだらけになって、それが止まった瞬間にそれに関わっていた事業の人たちが全員困ると。だから、そういう問題意識みたいなことを、いい時だからこそ持っておかなきゃいけない。これは、ある種音楽業界としての怠慢だったんじゃないかと思っていますけどね。
オンラインライブっていうものも、無観客だったりお客さんが少ない状態でやっていますけど、Blu-rayやDVDなどの過去の映像と生の配信の違いみたいなものをミュージシャンとしてクリエイティブしていかないと、ここも飽きられてしまうと思うし、そこにアイディアがないっていうのはミュージシャン側の問題でもあるし、それを発信する側のスタッフの問題だったり、クリエイティブができてないっていうことだったりするので。
これだけ毎週末配信ライブがあると、同じ時間を共有するっていう楽しみ方はありますが、オンラインならではのコンテンツを開発していかないと、これが実際のライブが戻ってきた時に、オンラインライブをやめて普通のライブに転換するってやっても、それってすごく後ろ向きだと思うんですね。
普通のライブがちゃんと進んでいく中で、さらに今まで積み重ねてきたオンラインでの何か新しいコンテンツが付加されるっていう状況にしないと、なかなか厳しくなっていくんじゃないかなと。だから、配信ライブをすることに対しても、ちゃんとクリエイティブしていかないとだめだなと僕は思っていますね。その時だけじゃなく、今後も続けていけるコンテンツとして準備したり考えたりしておくっていうのは、上半期に良い意味で勉強になったところかなと思います。」
「ただ、僕はオンライン配信を始めてから、いろんな方の話をDMで見ているんですけど、ずっとライブに行っていたけど、子供ができて何年もライブに行かなくなった主婦が、オンラインライブを観ることでライブの面白さを思い出したとか。『またいつかライブに行きたいと思う』とか、『ライブにはなかなか行けないけど、ライブの追体験ができた』っていう声もたくさんあったんですね。だから、家にいながら音楽を体験できるっていうことの良さもちゃんと僕たちは理解しなきゃいけないんです。
ライブが出来ないから仕方なくオンラインでやっているんじゃなくて、オンラインにはオンラインの面白さがあるよっていうところを体現していかなきゃいけないし、開発していかなきゃいけないっていうのは当たり前のことだと思いますね。縮小してやるんじゃなくて、そこでのクオリティを高めるっていうことにチャレンジしていかなきゃいけないんじゃないかと思っています。これが上半期の総括ですね。」
「僕がフェスに出始めた頃っていうのは、これから盛り上がっていくぞという状況だったので、どのステージに出るか、自分のやる前は誰か、自分のライブの後は誰かっていうのをすごく考えながらやっていたんですよ。だから1曲目はこれにしようとか、このステージでは一番評価を高くしようとか、動員を増やそうとか……フェスで勝つっていうことを考えてやっていましたけど、オンラインライブでどうやったら評価が高くなるのか……オンラインライブでの勝ち方みたいなものをみんなそれぞれ考えると。
大手の、規模が大きいミュージシャンほどそういうチャレンジってしにくくなると思うんですよ。母体が多いんでね。あと、ネガティブリサーチが多くなるので。だからこそ、僕らみたいな規模のミュージシャンがチャレンジするっていうのが大事なことだなと思う。
僕らは8月や9月にオンラインライブをやりたいと思っているんですけど、他にはないことをやろうかなと思っているのでね。これまた赤字になるんじゃないかって……本末転倒だっていう。ただ、"赤字"っていう言い方がもう嫌だなと思って。"投資"って言い方にしようかと思っているんです。なので、期待していただけたらと思っています。」
<以上で、配信授業は終了です!>
Instagram Liveでの参加してくださった皆さん、ありがとうございました!そろそろ今回の授業も終了です。
「今回は、急遽行われたInstagram LiveのサカナLOCKS!公開授業の様子をお送りしましたが、やはりみなさんライブに関してのコメントがたくさんあったんじゃないかと思います。あと、オンラインライブに関しての考え方とかね。あと、フェスに行けなくて寂しいっていう気持ちが大きいのかなと思いました。
先ほど話しましたけど、僕は2020年の下半期は上半期で感じたことや積み重ねてきたことをどう消化するかっていうことかなと。オンラインライブをいろんな人がやり始めていく中で、どういった反応があるのか、チケットの売れ行きはどうなのか……問題点を解決していきながら、オンラインライブが進化していくのか、それとも、ライブが復活したら落ち着いてしまうのか……その辺が下半期の見どころじゃないかと思います。
あと、このコロナの情勢を凝視して音楽を作った人がいるのか、それとも、関係なく今まで通りに音楽を作っていくのかっていうのも、ミュージシャンのスタイルを見定めるいい機会になるんじゃないかと思います。」
聴取期限 2020年7月10日(金)PM 11:27 まで