自分を肯定する
長渕LOCKS! 2014.11.22 土曜日
今夜も元気に生徒指導室を訪れたとーやま校長!
本当に毎週土曜日が楽しそう!
校長「失礼します!!校長のとーやまです!」
長渕「お!相変わらず元気だねぇ校長!!」
校長「もちろんですよ!」
長渕「あ、そういえばさ。最近ちゃんとリンスしてる?」
校長「実は先日剛先生に言われてから、リンスを………使ってます!」
長渕「そうか!!」
校長「やっぱりあの時剛先生がおっしゃっていた『はげ落ちる』って言葉が怖くて…しっかりリンス使ってます!」
長渕「そうかそうか!どうなの?リンス使ってみた感想は」
校長「やっぱり『髪の質感が今までと違うな』っていうのを実感してます」
長渕「そうでしょ!ちなみに今日の校長の髪、なんだかツヤっぽいよ」
校長「本当ですか!?ありがとうございます!剛先生もなんだかツヤっぽいですよ!」
長渕「僕はシャンプーとリンスをする時に頭皮を指の腹でしっかりマッサージしてるからね。やっぱり『はげ落ちる』って言葉はドキリとするし…」
校長「男なら誰しもがドキリとしますよね笑」
長渕「実は、僕は昔ロングヘアーでさ、きれいな髪だったんだよ。それである時『もう一度伸ばそう!』と思って髪を伸ばし始めたのよ」
校長「え!それっていつ頃の話ですか!?」
長渕「表に出ない期間にね。それでいざ伸ばし始めると昔に比べて髪の密集度が全然違ったんだよ。そのときにやっぱりショックでさ…。だから髪の手入れはちゃんとしようって思ったんだよ」
長渕「あとお肌の手入れをする時は…」
校長と剛先生のガールズトークがかなり盛り上がっていますが…そろそろ授業を始めてください!
校長「剛先生。今日も気になる書き込みを持ってきているので、読んでもいいですか?」
長渕「もちろん。どんな書き込み?」
校長「実はこんな書き込みなんですけど…」
僕は高校一年生です。親と上手く行きません。
僕の家は妹、僕、母、祖母、叔母で暮らしています。父母は離婚しました。
僕の母は、僕を叱るとき「お前ばかり金かかる。お前のせいで家が破綻しそう。
部活なんかしてないでバイトしろ。タダ飯食って甘えるな」というようなこと
を言います。叱られるのは僕が悪いのですが、いつもお前は父と同じで邪魔だ、出ていけと言われてる気がしてなりません。
俺は邪魔なんでしょうか? 俺は生きてちゃいけないんでしょうか?
もうどうしたらいいかわかりません。
ゆっけ
男/15/千葉県
男/15/千葉県
長渕「うん。確かにこれは辛いね…。実はさ、こういう悩みを持った生徒にぜひ読んでほしい本があるんだよ」
おもむろに1冊の本を取り出す剛先生。
果たしてその本とは…?
校長「その本は一体なんですか?」
長渕「これは、[冨永愛]さんの自叙伝である『Ai 愛なんて大っ嫌い』という本です」
校長「冨永さんといえば、世界トップモデルの方ですよね?」
長渕「そうです。実は今回冨永さんが自叙伝を書くにあたって、僕がプロデュースをしたんですが、ゆっけくんにはぜひこの本を読んでもらいたいですね」
校長「自叙伝のプロデュースって一体何をされるんですか?」
長渕「まずは本人の過去を知るために“心の旅"をともにしなければなりません。とにかく取材を重ねて、その人の過去と向き合っていくんです。それから本人の心の奥底にある感情をすくいあげていきましたね」
長渕「もちろんこの本に出てくる登場人物の方々は今でも生きていらっしゃる方々ばかりですから、その人たちに失礼のないように真実を描き出すことが難しかったですね」
校長「なるほど。この冨永さんの自叙伝をゆっけに薦めるのはなんでですか?」
長渕「冨永さんも両親が離婚していて、お父さんと会ったのは30年ぶりぐらいでした。彼女も幼少期に寂しい思いをしていて、経済的にもかなり厳しい中で生活をしていました」
校長「なんだか冨永さんとゆっけの境遇が似てますね」
長渕「そうなんです。彼女はその悔しい思いをバネにして、17歳で単身ニューヨークに渡りました。僕がこの本を通してゆっけくんに伝えたいのは、『悔しさや憎しみや悲しさを自分の力に変えて欲しい』ということなんです。冨永という人間はまさにそれをやってのけた人物ですから、きっとこの本はゆっけくんの力になってくれると思ったんです」
長渕「彼女がこの本を半年かけて書き上げた時に、僕の元に電話をくれました。その時彼女は泣きながら「剛さん、私今幸せです」って言ったんですよ。彼女は自分の不遇な状況をマイナスに捉えるのでなく、『不遇な状況のおかげで今の私があるんだ』と自分を肯定してあげることができたんですね」
校長「僕も少し読ませて頂きましたが、最初はとにかく“復讐"って言葉が何度もでてきたり、憎悪みたいなものが渦巻いているんですけど、最後には全て肯定して『愛に包まれているな』って感じました。冨永さんのご両親も人間味があって、いろんな思いが交錯してますよね」
長渕「そうだよね」
校長「きっとゆっけは今辛い状況にあると思うんですけど、ゆっけのお母さん自身も焦ってたりしてて、ゆっけには少しキツい言い方をしてしまっているかもしれないんですけど、『どこかゆっけに頼りたい部分があるんじゃないかな』とも思ってしまいましたね。ゆっけも自分の状況を肯定して、『お母さんを助けてあげられるような気持ちを持ってほしいな』って思います」
長渕「僕もそう思います。これは先週話した“二面性"の話にも繋がっていて、『ゆっけの気持ち』と『ゆっけのお母さんの気持ち』の両方を考えたときに初めて“母への思いやり"が生まれると思うんですよ」
長渕「ゆっけのお母さんはいま“父親"と“母親"の役割を果たさなければならないと思います。もっと言えば“女"と“母"と“父"の役割がある訳です。僕の母もそうでしたけど、女や母の強さってあるんですよね。僕も15,6歳の時は母にキツくあたることもありましたけど、それでも母はグッとこらえる強さを持ってました。でも15、6歳ではそれがまだまだ分からないですよ。僕自身もそうでしたからね。これを聞いてゆっけのプラスにしてもらいたいなと思います」
ゆっけ!剛先生の言葉は届いているか!?
ぜひ剛先生のプロデュースした冨永愛さんの自叙伝『Ai 愛なんて 大っ嫌い』を読んでみてくれ!
そしていまゆっけと同じような境遇にある生徒諸君。この本を読んでキミたちが感じたことをぜひ教えて欲しい!【長渕掲示板】と【メール】で待ってるぞ!
それでは今夜の長渕LOCKS!も点呼から授業を始めていくぞ!
長渕「それでは今夜も点呼から始めていきます!
【栃木県 14歳 男の子 ラジオネーム 時代遅れのロックンローラー】!
【静岡県 19歳 男の子 ラジオネーム あっちだんちょー!】!
【長野県 16歳 男の子 ラジオネーム 空手の貴公子】!
【岐阜県 19歳 男の子 ラジオネーム 一平!!!】!
【大阪府 19歳 女の子 ラジオネーム えもっち】!」
長渕「以上!全員出席!それでは授業をはじめます!」
校長「はい!…と言いたいんですけど…実は今日はもうあまり時間がないんですよ…」
長渕「え!?どうして!」
校長「最初のリンスの話で盛り上がりすぎてしまって…」
注)本当に話が長くなっていたのでこの後記に詳しくは記さなかったが、リンスの話以降、紆余曲折あって、今後とーやま校長はリンスの代わりに卵の白身を使い、残った黄身と小麦粉を合わせた物で顔パックをすることが決定!
では、引き続き授業をしていくぞ!
長渕「そうか…とりあえず時間いっぱいまで授業しよう!」
校長「そうですね!先ほどは冨永愛さんの本をもとに話をしていただきましたけど、実はこんな本もあるんですよね」
そう言ってとーやま校長が取り出した本とは…?
長渕「あ!それは!」
校長「これは剛先生が出している本ですよね?タイトルは『長渕語・録』!これも読まさせて頂いたんですけど、すごくいいですね!」
長渕「お!そう?」
校長「剛先生の若い頃から最近までの『愛』や『怒り』や『叫び』などがあって、本当に面白いです。ちょっと一つ紹介してもいいですか?」
長渕「どうぞ笑」
校長「じゃあ紹介しますね。第3章『怒り』の言葉なんですが…」
【今、緊張してるやつがいねぇ】
校長「僕も仕事だったり、好きな人の前だったり、いろんな“緊張"はするんですけど、具体的には一体どういうことなんですか?」
長渕「“ゆるい"ってことだろうな」
校長「“ゆるい"ですか?」
長渕「自分に与えられた使命や他人に与える言葉に対して“ゆるい"と思う。初志貫徹ができてないやつが多すぎる。『絶対にやらなければいけない』っていう貫き通す意地とか覚悟とかが“ゆるい"感じがするんだよね」
校長「自分もそうなんですけど、『なんとかなる』みたいな曖昧な感じで、とりあえずやってしまったり、やってる風にみせてしまったり…。多分緊張感があればもっと自分から行動して、発言をしていくはずですもんね」
長渕「例えば今の時代の流れとして、『先生は生徒に暴力を振るってはいけない』っていうのがありますよね?もちろんそれはやっちゃいけないことなんだけど…全てを暴力で一括りにしてしまうのはどうなんだろう?例えばさ、3回口で注意しても言うことを聞かない生徒はどうすればいいんだろう。そこでゲンコツで痛みを覚えさせれば、普通は4回目はやらないもんですよ」
校長「確かにそうですね」
長渕「それを全部体罰だっていって禁止していくから緊張がなくなっていってるんですよ。本来は心を燃やしている人が教師になっているはずなんです。でも今はその心を燃やすことを禁じられているわけですよ。僕が学生だった時には、『あの先生の前ではちゃんとしてないと!』っていう感情があったんです。それは友人関係でも同じで、“なあなあ"の友人関係ではないですよ。だから心と心の繋がりを含めて緊張感や危機感が必要だと思うんです」
校長「確かにそんな“ゆるい"風潮はありますよね」
長渕「今じゃ徒競走で順位をつけない学校もあるみたいだけど、それはどうかと思うよ。一番になりたいから頑張るんでしょ?ビリのやつは1番のやつを見て『どう走れば早くなるのか』を学ぶんでしょ?競争がなければ向上心もないよ。それじゃ日本は発展していかないと思うんだよ」
校長「冨永愛さんも悔しさをバネにして、世界のトップまで上がっていったんですもんね」
長渕「その通りだね」
校長「僕も小学校の時、授業中にふざけてて、担任の先生に張り手くらったんですよ。でも今思えば『あそこで殴られて良かったな』って思います。あの時『これは悪いことなんだ』って気づけたし、あれがなかったら今頃人生も変わってたかもしれませんし」
長渕「そうだよね。僕も東京に出てきて、『ほんとは勝ち上がりたいのに仲良しごっこをしてる』大人が大嫌いで、それを歌にしたりもしたんだけど、僕自身も『叱って欲しい』とか、自分のやってることに『NO!』と言ってくれる人を探し求めていましたよ。相手のことを本気で考えるってことは、その人と本気で向き合うってこと。そのためには『とにかく口に出して、言い合おうよ』ってことだよね」
長渕「だから僕は今、叱ってくれる人が1人ずつ減っていくことの方が寂しくて不安になるんですよ。叱るってことは愛の裏側にあるもので、愛してるからこそ『ダメだ』ってことを言うし、愛してるからこそ3回注意して分からなければひっぱたくんですよ。“愛してるから無関心"って構造は成り立ちません」
校長「とてもよく分かります。僕は昔少年野球チームに入ってたんですけど、そこの監督が本当に怖くて、素振りをサボってたら手のマメ見られて真剣にやってないことがバレて殴られたり、サインミスしたら殴られたり…でもその緊張感があったおかげで札幌一のチームに登りつめることができたんです」
校長「でも、ある時それが“体罰"みたいな問題になっちゃって、監督が辞めちゃったんですけど、結局その後は1回戦も勝ち上がれないようなチームになってしまったんです」
長渕「そうか…その監督は本当にチームへの愛が深い方だったんだろうね。その愛の深さゆえに、選手には厳しく指導してくれた。そういった意味でもやっぱり緊張感っていうのは大事なんだよね」
校長「本当にそう思います。結局途中で監督が辞めてしまったので、『ありがとうございました。』が言えてないままなのが心残りです」
長渕「じゃあさ、今言おうよ!」
校長「…はい!平岸ベアーズの松本監督!監督のおかげで僕たち強いチームになれました。僕はもう35歳になりましたが、あの時の経験がいまだに活きてます。ご指導ありがとうございました!!」
長渕「ありがとうございました!!」
届け!校長の想い!!
まだまだ剛先生の語・録を紹介したいところだが、本日の授業はここまで!!
生徒諸君は『Ai 愛なんて大っ嫌い』と『長渕語・録』を読んで予習をしておくように!
感想とメッセージは【長渕掲示板】と【メール】から!
それではまた来週!!
長渕語・録「叱るってことは愛することの裏返し。愛しているから無関心なんて構造は成り立たねぇんだ」
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