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ついに全国で初雪が降った、11月の中旬。
SCHOOL OF LOCK!職員室の電話が鳴った。

その相手は、またしても……!

「いつもお世話になっております! 私、日本音楽著作権協会、JASRACの者ですが...」



一瞬にして、電話をとった職員の顔が青ざめる。

JASRACと言えば、近年、この学校の大切なパートナーとして、数々の授業を共に届けてくれている仲間。

...ではあるのだけれど。

以前にも、同じような電話がかかってきたことが......

"ひょっとして、とーやまの権さんの動画の件!?
やっぱ、勝手にすっちゃんとか出したの、マズかったかな..."

"未だに、とーやま校長、「日本音楽著作権協会」ってところを読む時、
滑舌ビミョーなの、今になってバレたかな..."

"あとは..."

わずか1秒の間に、職員の脳裏に、"怒られるかもしれない理由" が、100個以上巡る。

と、次の瞬間。

「あ、もしかして、掲示板にまた......?」

「ええ、ハイ、あれを拝見してお電話をさせていただきまして...」

予感は的中。
スマホから学校掲示板に目をやる… と。

こんな書き込みが。

■生徒のみんな〜!
生徒のみんな! 久しぶり! 2代目カリスマセールスマンの五明くんです! ヤッターーーーー!
先週のハルカトミユキ先生のLIVE、サイコーだったね! もうすぐ、今年の閃光コンピも発売するし… 音楽の秋は深まるばかりだね!
さて、突然ですが、また、新たなプロジェクトをスタートしたいと思います! SCHOOL OF LOCK! のオリジナル・プレイリストをつくろうと思うんだ!毎回、「恋愛」とか「卒業」とか、テーマを決めて、みんなから曲とオススメコメントを募集! 歌詞の話とかもしながら… どうかな? 賛成の生徒はレスを下さい! ヤッターーーーーーーーー!


五明くん
男/32/東京都
2013/11/18 xx:xx

一度あることは二度ある 歴史は繰り返す

偉人たちの格言が脳内を巡る。駆ける。
"また、新たなプロジェクトをスタートしたいと思います!"ってなんだ。
全く聞いてないぞ。

ついでに、"音楽の秋は深まるばかり"ってなんだ。
意味が全く分からん。

頭を抱え込む職員。

「あのー、以前にも何度かお伝えさせていただいた通り、歌詞には著作権というものが… 」

「えっ、ええもちろんです! これは大至急ご対応を…! ハイッ!」

「あっ! あのっ…!」

気が動転して、電話を切ってしまった職員。
だが、ひとまず五明くんに連絡をせねば… と!

「オラオラオラアアアアアアアア!」

職員の背後から、突然の怒号。

「なんだなんだ! また五明がやらかしたのかァ!」

振り向くと、そこに立っていたのは…

「なってねえなってねえ! なってねえんだよアイツは!」

よく通る甲高い声。

「ああ!もう黙っちゃあいられねえ!
ハチミツのように甘い教育をしてきたのが、
そもそもの間違いだったんだ!」



彼は、五明くんの上司にして、この学校のカリスマ営業部隊を率いる松田部長だ!


「よし、オレが直接詫びを入れてくるわ!」

「ちょちょ、いきなり部長が行かなくても...」

慌てる職員を置き去りに、さっそうとコートを羽織り、部長は出て行った...

と、ドアが閉まる直前。

「でもまあ、五明のアイデア、なかなかイイからヨォ。
何らか、形にしてくるぜ」


謎のガッツポーズ、そして、ドヤ顔を残し、彼は去って行った―

職員室には、再び、頭を抱え込んだ職員の姿。

「ああああ…! 心配だ…!」

そう。カリスマセールスマン、松田部長。
彼は、校内ではこう呼ばれている。

爆発的な営業能力、そして、爆発的なトラブルの種を抱えた男―“ダイナマイト営業部長”と。


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