遂にリリース!『懐かしい月は新しい月 〜Coupling & Remix works〜』
サカナクション 2015.8.6 木曜日
山口「はい、授業を始めますから、席に着いて下さい。マンガを読んでいる生徒はマンガをしまいなさい。Twitterを開いている生徒、Instagramを開いている生徒は、一度すべて閉じなさい。授業が始まりますよ。……今日は、169回目のオンエアですね。つまり…… 1(いち)、6(ろっ)、9(く)です。「一郎、苦しい」の9(く)じゃないんだぞー(笑)。イチロックだからな。その辺はちょっと、把握していただけたらと思います。……よし、じゃあ始めますか。」
最近、一郎先生のTwitterを見ていると、プロモーションで地方を回っているみたいですね。一郎先生がこうやって地方を回っているの、なんだか久しぶりな気がします。おいしいもの、食べられましたか?
もん
女/17/愛知県
女/17/愛知県
「そうなんです。地方キャンペーンっていうんですけどね、久々にプロモーションでラジオに出たり、向こうのフリーペーパーとか新聞とか、そういった取材を受けてる。あとテレビ番組ね、ローカル放送の番組とか。そういうのに出て、いろいろ宣伝して回っています。「グッドバイ/ユリイカ」のシングルのときと「さよならはエモーション」のシングルのときは、先生、プロモーションやキャンペーン行けなかったんですよ。なぜかっていうと、発売日ギリギリに完成して、そのままツアー……とかね。キャンペーンを入れる隙がなかったんですね。だから今回は久々に、札幌、名古屋、大阪、福岡に行ってきました。地方のみんなに会えるのもすごい楽しいし、そこでしかしゃべれないこととかもあるわけじゃないですか。だから、そういうのも面白いですね。あと、食べ物ね。北海道といえばジンギスカン、名古屋といえば手羽先、大阪といえばたこ焼き、そして、福岡といえば鯛茶漬けね!ふふふ(笑)。これはもう先生、外せないんですよ。お店がいろいろあってね、プロモーターみたいな人がいるんですよ、地方に。「一郎さん、今日はお疲れでしょうから、晩ごはんだけでも、美味しいもの行きませんか?」ってなるんですけど、たいてい次の日はめっちゃ早いんですよ(笑)。で、そういうお店は閉まるの早いじゃないですか。だから、(プロモーション活動が)終わってから行くと閉まっていたりとか……。今までで一番酷いのはコンビニ弁当とかありましたからね。酷いですよね。まあ、そういうひどいブラック企業の中で先生は頑張っているんですが(笑)。」
「昨日、サカナクションのカップリング&リミックス集アルバム『懐かしい月は新しい月 〜Coupling & Remix works〜』がリリースになりまして、そのプロモーションで全国を回っているのですが、本当はもっと細かく、いろんなところに行きたいんですけど、なかなかそうすると時間もないので、主要都市しか行けないんですけど。でも今は、全国のFMだったらアプリなどで聞けちゃいますからね。ラジオは生放送で僕らが出ているのとかもあるので、チェックしてもらえると面白いんじゃないかなと思います。先生かっこつけて、「(低めの声で)どうも、サカナクションの山口です。」って喋っているところも、地方によってはあるのでね(笑)。そういうギャップも楽しんでいただけたらなーみたいな(笑)。」
さてサカナクション先生は今週、8月5日に『懐かしい月は新しい月 〜Coupling & Remix works〜』をリリースしました。このアルバムの発売に向けて、「years」「スローモーション」「ホーリーダンス」この3曲のミュージックビデオが新たに制作されました。今回は、そのミュージックビデオを見た生徒の感想書き込みを紹介しながら、山口一郎先生が、改めてこのアルバムについての話していきます。
■サカナクション「years」MUSIC VIDEO
■ MV
既に世に出て曲のイメージが個々に定着してしまっているものに映像をつけるという作業は容易なことではないと思いますが、どのMVも本当に素晴らしかったです。あまりにも素晴らしくて感想がうまく言葉に出来ない自分の語彙力の少なさが嫌になります。
muni
女/16/青森県
女/16/青森県
「はー、なるほどね。ミュージックビデオって、やっぱり新曲のものを撮るっていうのが普通じゃないですか。既に発売されている曲には、muniがおっしゃっている通り、聴いた時点でイメージが出来上がってしまっているんですね。だからそれに映像をつけるっていうのは、監督からすると結構ドキドキもので、そのイメージから大きく裏切るのか、それともそれに寄せるのか、それによって全然作業内容が違ってくるんですけど。今回は「years」というミュージックビデオには山田智和監督、「スローモーション」は、先日サカナLOCKS!に出てくれた奥山由之監督。そして「ホーリーダンス」は僕が監督を務めました。どんな作品になったかっていうのは、お互い全然把握できていなくて、ぶつかったりしたら嫌だな、かぶったりしたら嫌だなって思ったりしたんですけど、綺麗に3人とも分かれて。山田監督は、音に対してすごく雰囲気のある、言葉っていうものも意識しつつ……美しいものになったけど、奥山君はどちらかというと良い裏切りを狙ったミュージックビデオになっていましたね。僕が作ったのは、本当に、趣味丸出しの(笑)、釣り全開のミュージックビデオになったわけですけど。そういった、後からつける面白さみたいなものが定着してくると、どの曲でもミュージックビデオが作れるんじゃないかな。あと、先生やってみて分かったけど、ミュージックビデオは予算をかけなかったら簡単に撮れるんだなってことです。例えばiPhoneで撮って、それを編集して繋げたりとかすればできるから。サカナLOCKS!とかで、自分の好きな曲にミュージックビデオをつけてみよう、みたいなことをやってみたいなって思いましたね。みんなのイメージも見てみたいなと思いました。」
■サカナクション「スローモーション」MUSIC VIDEO
■ 音楽とは?
MV三作品見ました。どれも素晴らしかったです。 「新しい月は懐かしい月」が待ちきれません! 最近は食べ物だけでなく音楽も含め、ただ消費していくだけの「ファスト」化が進んでいるような気がします。 しかし、そんな中でもこうして数年前に発表した楽曲のMVをあえて製作するサカナクションは自身の作品に対しとても誠実だと思います。 消費ではなく、いまだ進化し続けている!尊敬!!!
発電所
女/30/茨城県
女/30/茨城県
「確かに、音楽もいろんな聴かれ方があって、大事に聴いて欲しいってミュージシャンからは思うけど、でも先生の時代もテープがあって、CDがあって、MDも出て来てね。今じゃ配信やストリーミングなど、いろんな音楽の聴き方へと進化していく中で、やっぱりどんどん簡単に聴けるようになっていくのはしょうがないんですよ。テクノロジーの進化で。それをファスト化と呼ぶのかは分からないけど、こういう風に、1人のミュージシャンがどういう音楽を作って、それが世の中にどういう気持ちで届いているのかとか。あと、作ったものに対して、それを変化していく作業をミュージシャンが自らやっていくとか、なんかそういうことをやっていくと、聴いている側もただ単に1曲を聴くだけじゃなくて、この曲にいろんな形があるんだって思ってもらえると思って、僕らは敢えてやっていますけど。僕らは、消費するだけじゃなく、消費と貢献がイコールであればいいなと思っているんですけど、なかなかそうなっていくと……マネタイズってやつですか?ははは(笑)。これはね、やっぱりお金に変えていくっていうのは本当に難しい。理想を実現していくと、それをどうビジネスにしていくのかっていう問題が出てくるっていう。どの業界もそうなんでしょうけど。そこを考えるのも面白い所ですが、大変ですね。だけど、チャレンジすることはすごく重要なことだし、戦っていきたいと思っています。発電所、ありがとう。」
■サカナクション「ホーリーダンス」MUSIC VIDEO
「改めて、サカナクションにとってのカップリング曲っていうのはどういうものなのかとお話しさせていただきますと、僕らは、今までシングルを10枚出してきたんです。最初の頃はタイアップとかはないタイミングもありましたけど、シングルの度に向けていく先は、ステージに立って、それを聴いているお客さんなんですね。だからそのお客さんが喜ぶものだったり、タイアップだったらクライアントが喜ぶもの。そしてそれが流れた時に、サカナクションっていう存在が気になってもらえるようなフックがあるようなものとか、そういったものをシングルを作る時に意識していくので、好きなものを作るって感覚と、求められているものっていうのを掛け合わせていくのはすごくあるんですよ。それは大変なことなんですけど、そこで溜まったフラストレーションだったり、もっと自分の好きなことをやりたいっていう感覚を、実はカップリングにまるまる詰め込んでいるんですね。アルバムの中の1曲だと、12曲や13曲の中のストーリーとして作ったりするけど、カップリングは、シングルに対する裏みたいな、すごくピンポイントなので、それをたくさんの人に聴いてもらえるんだと思うとすごく嬉しい。」
「あとリミックスも。シングルの中にリミックスを入れているのは、サカナクションを好きだってシングルを買ってくれた人たちに、僕らがどんなミュージシャンが好きなんだって示せる場所なんですね。なので、自分がリスペクトしているミュージシャンに自分の曲をリミックスしてもらって、それをそのミュージシャンを知らなかった僕らのファンが知るっていう、その構図っていうのはすごく綺麗だなって思うし。あとね……リミックス音源を依頼するのに、僕らは何も細かい指示は出していないんですよ。こういう風にやって欲しいって指示は出していなくて、任せっぱなしなんですね。その感じって、なんか自分がサカナクションのファンなんだなっていうのを再確認できる場所なんですよ。なので、これはもうやめられないんですね。ただシングルを出すだけじゃなく、こうやって自分たちのことを知ってもらったり、表と裏っていう存在を知ってもらったりするっていう、そういうツールであることがシングルの意味合いだったりすると良いなって、僕らはカップリングやリミックスをこういう意味で作ったりしています。」
「それを今回、カップリング集とリミックス集って分かれていますけど、ひとつにまとめて発売するというのをチャレンジしてみて、実際に聴いてみたわけですが……特にカップリング集の方は “自分って暗いんだな” って思う(笑)。暗い人たちの集まりがサカナクションなんだなっていうのが、はっきり分かりましたね。特に「スプーンと汗」っていう曲とか…… “煙とともに吐き出してやった” ですからね。何をだ、みたいな(笑)。相当暗いですよ。もう、なんか、すべてにおいて、僕らの心の内がB面(カップリング)に吐き出されているなって思ったし。あと遊びの部分も、サカナクションにとっての……緩さというか。そういったものもカップリングには詰め込まれているし。「スローモーション」の途中で合唱になるのとか、普通のシングルだとそういう発想に至らないし。でもまとめて聴いてみると、こういうことはありなんだなとか。自分たちは凝り固まっていたんだなとか、昔のアルバムを聴くのとはまた違う、新しい発見がメンバー的にもあったので、次の新作にも反映されてくるんじゃないかと思っています。」
「そして今回のリミックス集の方には、1月3日に放送されたNHKスペシャル『NEXT WORLD』という番組で僕たちがリミックスした、「グッドバイ (NEXT WORLD REMIX)」も収録されています。これも今回のアルバムに収録されているのですが、この曲を作るのにあたっても結構大変で。2045年の日本をイメージして音楽にしてください、みたいな。それ、どうしようかな……って考えたり。あと、リミックスするにあたって、そういう指定があるってなかなかなかったから。タイアップを作るとかではなく「変化させてください」って。それをメンバーで考えながら作るのってなかなか面白かったし。こういう仕事、いっぱい欲しいですね(笑)。自分の曲を変貌させるのに、こういう風に変貌させてくださいとか。例えば「江戸時代風にしてください」とか(笑)。これもね、素晴らしい曲になったと思います。原曲と聴き比べてくれたりすると更に楽しめると思うので、この曲も聴いてください。」
「そして、9月30日、映画『バクマン。』の主題歌になっている、サカナクションのニューシングル「新宝島」、発売決定しました!これね、全体像を聴くと、また全然違うんですよ。内容も充実したものになっています。『バクマン。』スペシャルパッケージみたいなものも、実はビクターの姑息な手段によって作成され、大根(仁)監督といろいろ映像でも面白いことをやったりしようって話で、細かいことはこれから発表になると思うんですけど。是非みなさん「新宝島」の方もよろしくお願いします。サカナクション……ここまでおっぴろげか!みたいな(笑)。……先生、なんか、疲れてテンションがおかしいなー(笑)。って、何回もサカナLOCKS!で言っている気がするが。生徒諸君、暑さに負けず、楽しい音楽ライフを過ごしましょう!」
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