ホークスタウンに、母を伴って現れた女の子が1人。 福岡県 しおり 17歳。 今年の夏、彼女の写メがアミューズ30周年全国オーディションのSOL特別枠に送られてきた。 『昔から芸能界に興味があって、最近ではYUIさんが凄い好きで憧れてます。最近はギターをやってたりします。』 応募のきっかけには、そう書かれていた。 どこにでもある、どちらかというと、ありふれた応募動機。 特別枠に選ばれ、福岡の2次審査会場に現れたしおり。彼女は、ほとんど声を発することができなかった。 家庭、友人、引越し…さまざまな出来事が彼女の上にのしかかって、しおりは誰とも口をきくことができなくなり、高校を辞め、家に引きこもってしまっていた。 1人きりの部屋で流れていたのは、YUI先生の音楽。しおりは歌詞に救われ、音楽に勇気をもらい、すがるようにギターを手にした。声はまだほとんど出ない。部屋で小さくかき鳴らし、ささやくように歌い始めた、Good-bye days。 そして彼女は電波の向こう側から校長の声を聞いた。 |