〜名古屋レインボーホール ('06/2/15)〜
update : 2/28

2006年が明けてすぐの、1/13、14のZEPP SAPPOROを皮切りに全国をまわってきたツアー『RUN RABBIT RUN』。去る、2/15の名古屋レインボーホールでのライブ以て、地方でのライブを全て終了したBUMP OF CHICKEN。このライブも、これまでの「E.L.L」や「ダイヤモンドホール」と変わらない、約1万通りのお客さんとの1対1のコミュニケーションを築き上げる BUMP OF CHICKENならではのライブを見せてくれました。

前日の14日から名古屋入りしたメンバー。その日は、プロモーション・キャンペーンなどの時にもよく行く、某洋食屋さんにて夕食を楽しんだメンバー。そこの洋食が美味しいのなんの!これは僕個人的な好みも多いに含んではいるものの、メンバーもとっても気に入ってるハズのこの洋食屋。その日は、"チャマ""増川""升"の3人はステーキを、そして"藤原"はハンバーグステーキを注文したのでした。ファミレス好きのメンバーには、この洋食屋のメニューのラインナップはきっと好みに違いないのです (僕個人的な観測によると)。

名古屋レインボーホールでのライブ当日。この日も開場前からホントにたくさんのファンの方々が詰めかけていました。物販のタオルやTシャツを身にまとって開場を待つお客さんのその熱気とパワーは、これから始まるライブの熱さを早くも感じさせるようでした。
午後6:30過ぎ、いつも通りTHE WHOの「ザ・クイックワン」のSEが鳴り、メンバーがステージに登場します。場内からは怒濤の歓声が!今回のツアー全ての会場で思った事はこの瞬間の熱気と歓声の凄まじさでした。"藤原"のギターが高々と掲げられた瞬間の場内の雄叫び。それは、「さぁ、これから "バンプ" とともに、楽曲とともに最高のライブを創りあげる!」という、お客さんからのメンバーへの、始まりの "鬨の声" だったように思うのです。

そして、白熱のライブがスタート!! お客さんとメンバー (楽曲) との1対1の対話が始まります。会場全体が一つになるライブ、会場全体が一つの意思に向かって進んでいくライブ、そんな一体感のあるライブはホントに素晴らしいライブなんだと思います。でも、一見それと同じ様に見えるBUMP OF CHICKENのライブは、内実、似て非なるライブなんだということを改めて感じさせられたライブ。演奏される1曲1曲を、お客さんが自分のものとして、心臓の鼓動、細胞の分裂、そんな自分自身の生命の営みと同化させるかのように楽曲に呼応していく姿は、まさにBUMP OF CHICKEN対一個人である "自分" の関係性の集大成がこのライブにもあったように思います。

このツアーでも何度か演奏された初期の名曲『K』。この日のライブで奏でられた『K』も、ライブならではの"藤原"のより鬼気迫るボーカルが、聴く人の心臓を鷲掴みにする迫真の演奏を聴くことができました。嫌われ者の "黒猫" と、その黒猫を描き続けたしがない "絵描き" との物語り。この日演奏された『K』で、会場中の誰もが、その物語りに、黒猫に、絵描きに、その一挙一動に想いを馳せ、物語りの顛末を自分なりに見届けたのではないかと思うのです。お客さん一人一人が、満身創痍の“黒猫”と同化して、物語りの主人公として『K』という舞台で自分なりのストーリーを育んでだのではなかったか、と思える瞬間がいくつも存在した『K』の演奏だったのです。そして、そんな曲とお客さんとの個人的で有意義なコミュニケーションがこの日のライブでも終始展開されいたのです。

本編終了後、暗転した会場には、お客さんからの永遠に鳴り止む事が無いのでは!?と思わせるような怒濤の「アンコール」の大合唱が沸き起こります。間もなくしてステージが明転、再びメンバーが現れます。会場からは更なる大歓声が!ツアーキャップをかぶり、タオルを肩に掛けて再登場した"チャマ"。普段の自分の立ち位置とは逆サイド ("増川"の立ち位置側ですね) に行き、そちらサイドのお客さんに向かって、耳に手を当て歓声を求めるジェスチャーをします。するとお客さんからは「チャマ〜!!」の声援が。そんな動作を、中央、後方、そして自分の立ち位置側のお客さんにも投げ掛ける"チャマ"。その度に、会場からは「チャマ〜!!」という声援が沸き上がっていました。ライブという約2時間の物語りの中で、こんな風に時にPOPに、時に激しく、時に優しく・・・、喜怒哀楽の全てをなんのてらいも無く表現しきることができる"チャマ"。その存在の尊さを改めて感じさせる一幕だった様に思います。
そして、おもむろにアコースティックギターを持った"藤原"にピンスポットがあたり、暗転して静まり返った会場にあまりにも美しくあまりにも切ない、でも会場全体を暖かく包み込むかようなギターアルペジオが奏でられます。すると会場からは驚きと喜びの歓声が!そう、このツアーでも何度が演奏され、その度にこのギターアルペジオのイントロで、お客さんを包み込み物語りにいざなった名曲『スノースマイル』の演奏です。そして、この日演奏された『スノースマイル』でも、この曲のイントロの強さ、たった1本のアコースティックギターが奏でるアルペジオの素晴らしさを痛感することができたのです。どんなに壮大にアレンジされたイントロよりも、どんなにきらびやかに装飾されたイントロよりも、聴く人の心に染み渡り、その後に展開される物語りを予感させ引き込むことができる珠玉のイントロを聴かせる『スノースマイル』。この日、レインボーホールに集った全てのお客さんの心に、このイントロが鳴り響き、そして、切なく美しい冬物語りが刻み込まれたのでした。

この名古屋レインボーホールでのライブを以て、全国ツアー『RUN RABBIT RUN』の地方公演はひと段落!残すは、3/4、5に代々木競技場第一体育館でおこなわれる東京公演のみです。この日のチケットももちろん即完のSOLD OUT! 初の代々木第一体育館でのライブではありますが、きっと、これまでと変わらない「曲とお客さんが1対1の対話をし関係を築いていく」、BUMP OF CHICKENならではのライブを見せてくれることでしょう!!

Report: 吹野史斉 (TOY'S FACTORY)
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