〜大阪城ホール (06.2.7)〜
update : 2/15

写真去る2/7に、全国ツアー『RUN RABBIT RUN』のちょうど10本目となるライブを大阪城ホールでおこなったBUMP OF CHICKEN。
大阪と言えば、古くはバナナホール、クラブクアトロ、BIG CAT、IMPホール、そしてZEPP OOSAKA・・・。気がつけば、ほとんどのめぼしいライブハウスではライブをおこなってきたメンバー。
そして、このツアー『RUN RABBIT RUN』にて、他のアーティストによるライブの歴史なんかを考えると、とても重みと意味のある場所、大阪城ホールでの2daysライブを行ったのです。と言っても、メンバーにとっては、やはり他の地域のライブと全く変わらない、会場が大きくなっても小さくなっても・・・変わらないライブへの想いと姿勢を貫くだけの大阪城ホールだったようです。

ライブでもMCにて会場の大爆笑を誘っていましたが、初日のライブ前に、今までの大阪での行動と何ら変わらず、フラリと大好物のコーヒーを飲みにカフェに立ち寄った"チャマ"。そこで偶然会ったファンに声を掛けられサインなんぞをねだられたのです。当然、快くそれに応じる"チャマ"。すると、そこに居合わせたるは、東京ではなかなか遭遇できない大阪おばちゃん。もうホントに筋書き通りのおばちゃんトーク炸裂で、「何!? おたくは有名人なん?なんて人やの?」と、その場限り、生産性の無い興味を示し始め、挙げ句の果ては「誰だかよう知らんけど、おばちゃんとも写真撮ってや!!」と言い出す始末。こんなエピソードひとつとっても、デビューした当時とほとんど変わらない生活と時間の流れが "バンプ" のそばにはあって、そして、より一層強くなる音楽への愛情があって。そう考えると、今回の大阪城ホールでのライブも、今までも、これからもBUMP OF CHICKENが続く限り流れていくそんなバンドにとっての日常の一コマとして、バンドの歴史に大切に焼き付けられたライブだったように思います。

写真大阪城ホール。初のステージとなるこのホール。特筆すべきは楽屋の広さでした。200平米はあろうかという広いスペースがパテーションで区切られていて、いつもは別部屋でこじんまりとおこなうマッサージも、広々としたスペースに横になって満喫できて。とにかく広々と無駄なスペースを持て余す楽屋で、でも、メンバーはいつも通りのゆっくりとした時間を過ごしていました。
"藤原"は、幕張以降の会場に持ち運び、楽屋での恒例作業となった、喉を潤すための吸入器での吸入を入念におこなっていました。ツアーも折り返しともなると、ホントに喉との闘いなのでしょう。前回の長いツアーの時もやってましたが、ライブが2日間連続の時は、一日目のライブ終了後は一切しゃべらずに喉を温存したり、特製ハチミツドリンク&梅干しお湯をマメに飲んだり、ホテルでの半身浴で体調を整えたり・・・。喉という楽器、ひいては身体っていう相棒と、いかにうまく対話し付き合っていけるかっていうのが、長丁場のツアーではホントに大切になってくるようなのです。
ツアーでの自分を「自分の身体を、自分のモノじゃなくて、一つの独立した生き物みたいに感じるようになる。だから、身体と、喉と、じっくり対話しながらよりよい状況をつくってやる。お前、頑張ってくれてるよ・・・。もうちょっと頑張ってな・・・って」。よく、「あの細い身体のどこからあんなすごい声がでるんだ!?」って驚きのライブ評を読んだりしますが、その細い身体とガチンコの対話をしながら奏でられているのが、あのホントに魅力的な"藤原"の声だと思うのです。

写真この日のライブでも"藤原"は、そんな孤独な対話の末に発せられた孤高の声で、美しい言葉とメロディーを奏でました。そして途中、感極まったようにMCします。「ホントに有難う!気持ち良く歌わせてもらってるよ!後ろの方まで届いてるかい!? 会場全体がしっかり全部見えてるよ。有り難う!会場の全部の人に届くように歌うから。宜しくな!」。ホントに目が悪くて、近くにいても誰だか分からないくらいの視力の"藤原"が、1万人を収容する大会場に詰めかけた人々の最後列の人達まで見えてるって・・・。多分"藤原"は、まさに「体中の細胞フル動員で」会場中一人一人のお客さんを感じ、見て対話しているんだと思うのです。だから、どんなに多くの人が詰めかけても、その一人一人を見付け、感じ、対話できるんだと思うのです。そういう意味で、この日のライブも全てのお客さんと見つめ合い対話したライブだったように思います。

全てのセットリストを演奏し終わり、楽器を置いて、まさに精魂尽き果てたって感じの"藤原"が、最後の力を振り絞るように、この日のライブの感動を噛みしめるように、マイクスタンドに寄りかかりながら叫びました。「有り難う!また来るよ・・・!」。会場から沸き起こる惜しみない拍手と大歓声に包まれながら、ヨロヨロと名残惜しそうに手を振りながらステージ袖に戻っていく"藤原"。そしてまた、次のライブに向けての身体とのガチンコの対話を繰り返すのです。

Report: 吹野史斉 (TOY'S FACTORY)
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