「音楽にまつわる職業『プロモーター』(第6回) - リモートプロモーション」

サカナクション 2020.5.15 金曜日

SCHOOL OF LOCK!


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聴取期限 2020年5月22日(金)PM 11:27 まで



今回は、音楽にまつわる職業シリーズ『プロモーター』についての授業をお届けします。最新リリースの楽曲を、各レコード会社の現役プロモーターさんが<リモート>で紹介!山口一郎ディレクターが興味を持ったらそのままラジオ上でオンエアしていきます!レコード会社の皆さんも絶賛リモートワーク中、一体どんなプロモーションが飛び出すでしょうか?

山口「レコード会社のプロモーターの職業のことを生徒に知ってもらうために、僕がラジオのディレクターになりまして、レコード会社のプロモーターから楽曲のプロモーションを受けるという授業です。過去に何度かお届けしてきたのですが、僕もミュージシャンとしていろんなラジオ局でいろんなディレクターさんに会ってきているわけですよ。デビュー当初とかは、全くの無名ですから……CDをディレクターに届けに行ったりしたんですよ。プロモーターの方に連れて行かれて、「サカナクションといいます!是非ラジオでかけてください!」って。

そうすると、本当に冷たい態度を何度もとられてきたわけです、過去に。そんな僕が、プロモーターっていう仕事の人は本当に大変なんだなっていうのがどのミュージシャンより分かってると思うんです。だから、プロモーターの仕事っていうのはこんなことだよっていうのを知ってもらうためにも、僕が嫌な思いをしたディレクターの人に乗り替わって、嫌なディレクター風なんだけど、こんな感じのディレクターをプロモーターの人が相手しているんだよっていうのをこの授業でやってみようと思う。僕がプロモーションを受けて、気に入ったら曲をかけるという。何度もやってきたので、この授業には手応えを感じています(笑)。初めて聞く人も楽しんでいただけたらと思います。」

「実は今、各レコード会社のプロモーターは在宅勤務になっているんですよ。ラジオ局に出入りしないようにしているため、今までみたいに直接CDや資料を持って行って「これ良いんですよ、聞いてくださいよ!」っていうプロモーションが一切出来ていないらしい。そんな中で、プロモーターたちがどんなプロモーションをするかっていうのも生徒の皆さんに聞いてもらいたいと思います。先生もこういう状況は初体験だから、楽しみだなと思います。」

「例のごとく、今回もエフエム小樽のラジオディレクターがこのコロナの状況でどんな風に仕事をしているのかっていうところから始まっていきますので、皆さんスイッチを切り替えて聞いていただけたらと思います。」

改めて、山口一郎ディレクターの設定をおさらいしますと……
*北海道小樽市出身。
*エフエム小樽というローカル局に勤務。
*元ミュージシャンの曲者ラジオディレクター。

ここからは、山口ディレクターが仕事をしているところに、リモートでプロモーションをしてもらいます。

山口「いやー……ラジオ局も出入り禁止で、エフエム小樽もSTAY HOMEで誰もプロモーターが来なくなっちゃったなー。今の時期は仕方ないんだけど、この海が綺麗な小樽という街……あー、新しい音楽に出会いたいなー……そう思って、僕のオンライン会議のアドレスを全国各地の優秀なプロモーターたちにオープンにしたのに誰もこないな……寂しいな。早く生徒たちに新しいミュージシャンを紹介したいなー。でも、オンラインミーティングって楽しいなー。」

??「おつかれさまです。」

山口「あ!!あれ……!」

山根「お久しぶりです。ユニバーサルミュージックのVirgin Musicから来ました、山根です。

山口「山根さん!フィギュアスケート(シンクロナイズドスケーティング)日本代表のプロモーター!」

山根「そうです、そうです(笑)。もう3回目ですよ!ほぼレギュラー並みに出させていただいて、ありがとうございます。」

山口「3回目でほぼレギュラーとは言わないからね(笑)。」

山根「ちょっと大げさすぎました?ごめんなさい(笑)。」

山口「今リモートで仕事は行けてないわけ?」

山根「そうですね。会社自体も外に出ないでくださいって感じですし……テレビ局を含めて結構出たじゃないですか、コロナ(発症者)。だから、あんまり行かないでくださいっていう感じで。基本電話ですね。うちの会社は(リモート体制をとるのが)結構早めだったのかな、ちょっと。」

山口「発売延期とかもある?」

山根「あります。ほぼほぼ発売延期ですね。」

山口「ちなみに、こういう状況でどうやってプロモーションしているの?」

山根「それこそ電話で、「すみません、今大丈夫ですか?コロナどうですか?体調大丈夫ですか?」みたいな世間的な会話をしながら。」

山口「(笑)」

山根「あ!そう!世間的な会話で言ったら、私山口さんにお伝えしなきゃいけないことがあって。」

山口「なんですか?」

山根「あの……こんなにお会いしていて……3回も。」

山口「3回しか、ね。3回しか会ってないけどね。」

山根「3回も、お会いしていて、悪い意味はなく……本当に失礼な話かもしれないんですけど、あまり音楽を知らないままこの世界に入っちゃいまして、サカナクションというものをあまり知らないまま、山口さんに会っていたんですよ。」

山口「ちょっと待て、お前……」

山根「聞いてください!一旦聞いて!」

山口「ふふふ(笑)。まあ、聞く聞く。」

山根「で、さすがにこれは失礼だと思って、私ライブに行ったんですよ、サカナクションの!幕張メッセの360度の……」

山口「はいはい、サラウンド(6.1ch サラウンドLIVE)ね。」

山根「そうそう!それ!!行ったんですよ。もうね……感動!めっちゃ輝いてましたよ!本当に!」

山口「ははは!(笑) じゃあ、番組で出会って、ライブを観て、それを経てここに来ているわけだ。山根さんの中で僕への見方が変わったわけ?」

山根「そうです。変わりました!北海道よく生んだな、この人を……って思いました。」

山口「ははは!(笑)……ちょっと率直な感想を言っていいかな?今日3回目だけど、未だかつてなく生意気に感じるぞ(笑)。」

山根「いやいやいや、ちょっと……(笑)」

山口「分かった。そういうことをサカナクションに感じてもらえたのは嬉しいよ。」

山口「ところで!!今日は何?」

山根「あ、いいですか?」

山口「僕は今ね、エフエム小樽のディレクターで、プロモーションに来てくれたわけでしょ?」

山根「そうです、そうです!」

山口「厳しくいくよ!どんなミュージシャンなわけ?」

山根「大阪出身のピアノロックバンド SHE'S っていう4人組なんですけど。『どうぶつの森』とかやられてます?」

山口「やってない。」

山根「今めちゃめちゃ流行ってる、Nintendo Switchの『あつまれ どうぶつの森』のCMソングになっていて。」

山口「ほー!ゲームのCMソングになってるんだ。」

山根「はい。ボーカルの男の子が語るように歌っていくっていう感じなんですけど、アーティスト自身も、歌詞を自分に語りかけながら歌っているっていうのもあるので、手紙を読んでいるように歌う曲っていうところもあって、「
Letter」っていう題名にしているんですけど。この時期なのでね、山口さんもいろいろ自分に問いかけながら、癒しとして聴いてもらえないかなー……なんて思って。」

山口「語るようにってどういうこと?ラップってこと?」

山根「違います。あの……ピアノロックバンドなので、ピアノで、優しいメロディーで、声に重きを置いた感じの曲ですね。」

山口「おー。」

山根「まあ、1回聴いてみてください。本当に良い曲なので。」

山口「ふふふ(笑)。そのSHE'Sっていうのは、山根さんはライブに行ったことはあるわけ?」

山根「あります、あります!それこそ、SHE'Sもめちゃめちゃよかったんですよ。」

山口「ほー。じゃあ山根さんは、この「Letter」っていう曲もそうだけど、ライブもいいなと思ってるんだ。」

山根「そう。声が良い!私やっぱり声フェチなのかな……山口さんも声良いじゃないですか。」

山口「あ、そう?」

山根「なんか、女の子受けする声ですよね。夜に囁かれたい声って感じです。」

山口「ははは!(笑) はー、なるほど……そういう技術もあるんだ、プロモーターには。相手の声を褒めるっていう。」

山根「いやいやいや!率直に思ってます。私、本当に、今日の回に関しては山口さんをリスペクトしてるんで。」

山口「今日の回に関しては……(笑)。今まではそうじゃなかったってことか、OK、OK(笑)。」

山根「いやいや!今までもリスペクトしてますけど、一番輝いているところを見ての、今なので。」

山口「なるほどね。ちなみにさ、今どうぶつの森ってすごい人気なんだよね?」

山根「めちゃめちゃ人気ありますよ。」

山口「じゃあ、みんな知ってるから、かけなくても……」

山根「いや、山口さん知らないんで、1回聴いてみてもらって。」

山口「でも、人気あるんでしょ?今。」

山根「人気ありますね。」

山口「ちなみにね、今のこのコロナの状況で来てもらえたりするとすごいありがたいし、山根さんが話してくれてプロモーションしていただけるのは嬉しいんだけどね、うちの番組としては、有名だったらあんまりここでかける必要はないのよ。」

山根「いや、ここでかけて有名にしたいなっていう……こう……」

山口「うーん……じゃあ、ちらっと聴いてみる。曲は?」

山口「送ってくれてる?僕に。」

山根「送ってます。SHE'Sの「Letter」です。7月1日発売の『Tragicomedy』っていうアルバムに入っている1曲なので是非お聴きください。

山口「うん。もうかけてもらえないだろうと思って、アルバムと曲名を言っただろ?(笑)」

山根「はい。ちゃんと仕事しておこうかなと思って。」

山口「ははは(笑)。ちょっと待て、聞くぞ。ちょっと待っといてよ。」

山根「はーい。」

SHE'S - Letter【MV】


山口「……うん、良さそう!ピアノを3秒〜5秒くらい聴いたけど。」

山根「え?もっと……サビまでいかなきゃ分かんなくないですか?」

山口「いやいや、あのー……迫力があったよ、ピアノの音に。」

山根「ふふふ(笑)。それは多分ね、山口さんのイヤホンが良いんですよ。」

山口「あ、そう?まあ……良いと思うから、もう大丈夫だよ!」

山根「いやいやいや!だから……山口さんが良いと思ったものを世間のサカナクションファンは聴きたいと思うので。山口さんは影響力があるから、山口さんが良いって思ったものを広めてあげないと!」

山口「うーん……いやー、ありがとうございました!」

山根「ふふふ(笑)。ありがとうございました、こちらこそ!」

山口「ははは!(笑) でもね、SHE'Sは良いと思う。みんなも、もう知ってるよ。」

山根「本当ですか?まあ、知ってたらいいんですけどね。」

山口「山根さん、君は立派なプロモーターだよ。」

山根「ありがとうございます。山口さんも素敵なスターだと思います、本当に。」

山口「ふふふ(笑) あの……プロモーターの仕事を山根さんがなぜ選んだのかとか、そういった取材がしたくなるわ。」

山根「本当ですか?ありがとうございます。お身体気をつけてくださいね。」

山口「うん、山根さんもわざわざありがとうございます。」

山根「ありがとうございます。」

山口「さよならー。」

山根「はーい!おつかれさまですー。」

■リリース情報■
SHE'S
4th Album『Tragicomedy』2020.7.1 ON SALE

山口「まあね、こういう時期だからこういう風にプロモーションしに来てくれたりするのはありがたいんだけどね。やっぱり番組のコンセプトっていうものがあるからね……。SHE'Sの「Letter」、聴いてみたけど良さそうだったよ。コードに対してメロディーがまっすぐだね。だけど、歌のリズムがちょっとずれていて、洋楽っぽさが出ているね。ずるいところがあるよね。サビへの展開の仕方とか……はいはい、って。悪い意味ではなくてだよ。分かってるねーっていうところがあるね。これを戦略的にやっているかどうかっていうのは他の曲も聴いてみないことには分からないなと思いましたけど。山根さんは度胸があるね。」

山口「じゃあ次……このSTAY HOMEの中で誰かプロモーションに来てくれないかなー……」

??「すみません、今お時間よろしいですか?」

山口「あ、こんにちは!」

後藤「こんにちは!avexの後藤と申します。

山口「avex!ありがとうございます。後藤さんは今STAY HOME中ですか?」

後藤「絶賛STAY HOME中です。」

山口「会社としても出勤だめよってなっているってことですか?」

後藤「そうですね。今はちゃんと許可を取らないといけないくらい厳重に注意されています。」

山口「ちなみに、(オンライン会議上の画面の)後ろに楽器が見えるんですけど……」

後藤「あ、ピアノ1台と、ギターとか……置いてます。」

山口「おー。じゃあ、音楽大好きでプロモーターの仕事を選んだっていうことですか?」

後藤「そうですね。普段はA&Rをしていて、今日はその担当アーティストを是非山口さんに聴いていただけたらなと思って来ました。」

山口「自分がディレクションもしてプロモーションもやって……自分の愛すべきミュージシャンを提げて来てくれたわけですね。」

後藤「そうです。大好きなアーティストを是非ご紹介させていただきたいです。」

山口「じゃあ、是非プロモーションをしていただけたらと思います。」

後藤「いいですか?じゃあ、早速なんですけど……画面共有いたしまして……」

山口「お!画面共有使うタイプきた!!」

後藤「あ!大丈夫ですか?」

山口「もちろんです。そういうの、バッチリです。」

後藤「じゃあ……早速なんですけど、betcover!!っていうアーティストをご紹介させていただきます。10代の子も、山口さんも絶対刺さると思いますので、聴いていただけたらなと思います。」

山口「はい!」

後藤「betcover!!は、若干二十歳の奇才、ヤナセジロウのソロプロジェクトです。彼はEarth, Wind & FireなどのSOULミュージックを聴いて過ごしまして、中学に上がる頃には音楽制作を始めました。そして、昨年2019年に10代の揺れ動く心を描いた1stアルバム『中学生』を発売しまして、町田康さんを始め、クリエイターさんから熱い支持を集めています。そんな彼が今年の7月に2ndアルバム『告白』をリリースします。

山口「おー。」

後藤「本日は、その中から「NOBORU」という楽曲をご紹介したいと思います。「NOBORU」っていう楽曲がどういうものかと言いますと、"いかれた世界をいきたいと歌う、愛と希望の聖歌"です。この曲は、無責任な第三者が事実をあらぬ方向に誘導して弱い人たちを傷つけたという、とある事件からインスピレーションを得て作られた曲です。不確かな事実もあたかも現実かのように飲み込んでいってしまうSNS時代の実態を、"いかれた世界"と捉えて、その世界に怒りや悲しみを覚えながらも、ただ、"いきたい"と……全部自分に立ち返らせた楽曲だと思います。

「NOBORU」は、リスナーの皆さんに「生きろ!」とか「頑張れ!」とか……そういったメッセージソングではなくて、(資料の)歌詞の赤丸の部分にもあるんですけど、"いきたい"はひらがなになっています。ただ自分が自分らしくいきていくだけっていう意味を込めて、ひらがなにしたんじゃないかなと思っています。……とりあえず、楽曲の説明は以上になります。いかがですか?」

山口「あの……テレワークでのプロモーションに慣れてるね!」

後藤「え!そんな……初めてです。」

山口「この画面共有を使ってプロモーションをするっていうのは、ある種企業のプレゼンテーションをひとつ受けたみたいな……こうなると、betcover!!というミュージシャンを知りたくなるよね。」

後藤「ありがとうございます。嬉しい。」

山口「でも、オンエアするかどうかは置いておいて、ちょっと聴いてみていいですか?」

後藤「どうぞ!是非!」

山口「曲のデータは送ってもらっていますよね?」

後藤「はい!」

山口「じゃあ、一瞬ちらっと聴いてみますね。」

山口「(楽曲を聴いて……)あー、非常に良いじゃない!非常に良いです!」

後藤「本当ですか!嬉しい!!」

山口「ちゃんとセンチメンタルを消化しているなって思ったし、歌詞の世界観も良いなと思う。かけちゃおう!」

後藤「え、やった!!!」

山口「かけちゃう!これは、うちのリスナーに合ってるよ!」

後藤「わー、嬉しい!!」


betcover!! / NOBORU MUSIC VIDEO


山口「これはデビューアルバム?」

後藤「いや、2ndです。」

山口「2ndなんだ。このデビューアルバムの『中学生』だっけ?これも聴いてみたいと思ったね。」

後藤「ありがとうございます!えっとですね……ジロウくんからコメントも届いていますので、是非それも聴いていただたらなと思います。」

山口「お!それはラジオ的にも嬉しいね。」

betcover!!
SCHOOL OF LOCK!


ヤナセ「皆さま初めまして、betcover!!のヤナセジロウと申します。僕は、楽曲の解釈、歌詞の意味みたいなものを、リスナーの皆さまにお任せしたいなといつも思っていて、いろんな人の解釈で楽しんでもらえたらといいな思っています。この番組のリスナーの方々は、多分僕と同世代の若い人たちが多いと思うので、僕はそういう人に特に届いて欲しいなと思って書きました。今後ともよろしくお願いします。」

山口「ありがとうございます。コメントまで用意していただいて……盤石だね、後藤さん。」

後藤「ありがとうございます。」

山口「是非、ビクターに来たくなったらいつでも連絡いただければと思います(笑)。」

後藤「ふふふ(笑)。嬉しいお言葉……たくさんかけてください。ありがとうございます。」

■リリース情報■
betcover!!
2nd Album『告白』2020.7.1 ON SALE

そろそろ今回の授業も終了の時間になりました。

山口「在宅しながら皆さんああやってプロモーションしているんですね。山根ちゃんは、ああいうキャラクターがプロモーターとしての彼女の武器なのか、僕だからそうしているのかっていうのは彼女の中で戦略があったのかなって思うんだけど、今回はその戦略が読めちゃったからね……敢えてきつい態度を取ってしまったけども。後藤さんがテレワークでオンライン会議上の画面をフルで使って、画面共有でプレゼンテーションをするっていうプロモーションの方法をとったのは、会ってプロモーションを受けるよりもそのミュージシャンのことが分かったし、興味が湧いたよね。だから、ああいう風にやるっていうのがこれからの時代のプロモーションなのかなって気はしました。」

「さて、来週のサカナLOCKS!ですが、SCHOOL OF LOCK! FRIDAY自体が特番で休校になります。なので、次は再来週なんですが、再来週もこのプロモーターの授業をお送りします。楽しみにしていただけたらと思います。」

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