12月19日(水曜日)東京・日本武道館で行われた、The Birthday先生のツアーファイナルのレポート


「是非、くすぶっていたこの気持ちをライブでぶつけたいし、「はじめて」を綴りたいです。」

…そう最後に付け足して応募したこのライブ。まさか行けるなんて思っていなかった。
電話がかかってきたとき、夢ではないかと疑った。

The Birthday 12月19日、日本武道館。
しかも、数ヶ月に渡って行ってきたツアーのファイナル。

武道館に来るのは初めてではないが、Birthdayを観るのは初めてだった。

いつか行こうと思っていたが、幾度と機会を逃していたので歯がゆく思っていたし、何よりも生演奏をラジオで聞いてしまったのでどうしても行きたくなり、ダメもとで…という気持ちで応募したのだ。


九段下はとても寒く、凍てつくような風が吹いていた。
周辺を歩けば居酒屋などが立ち並び、「ザ☆バースデイファン歓迎」等もうなんでもアリな看板もあちこちで見られた。

15時近く。
物販の時間に合わせて来たが、ちょうどリハーサルの音漏れもしている。かなり大きな音だ。

客層は革ジャン黒パンにウォレットチェーンなBirthdayっぽいなーなんてファッションや、落ち着いた感じの格好良いお兄さんお姉さんが沢山いたが、子供を連れている人やカップル、白髪のまじったおじさん、おばさん、私のような高校生くらいの人や学校帰りなのか制服の人まで幅広くいた。

18時、開場。受付を済ませ、いよいよ武道館の中に入った。
席はアリーナ席だ。(本当にいいのだろうかSOLさん…!)
後方ではあるが、ちょうど後ろに録音や音響、カメラなどPAさんのいるエリアがあり、そういう裏方の部分も垣間見ることができた。

ステージにはすでに機材たちが並んでいた。
見たことあるベース、ギター、アンプ。今から本当にBirthdayに会えるのか、と実感が湧いてくる。

開演前のSEはおそらくメンバーが選んだのだろうか、レコードからかかってきそうなブルースやロックンロールが流れている。
中には知っている曲も流れていて、このようにSEを楽しむのもライブの醍醐味だなぁと、開演のその時までそわそわとしていた。


♪ Happy Birthday〜…


会場が暗転し、いつもどおりのシックスティーン・キャンドルズが流れ出した。
鼓動が、速くなる。

ステージ背後にはビジョンがあり、「THE BIRTHDAY」と最初に文字がスクロールした。
続いて、「VISION」「FINAL」「NIPPON BUDOKAN」とスクロールし、客席は歓声をあげた。

メンバーたちが続いて登場し、最後にタンバリンを持ちながら、チバユウスケが出てきた。
席の関係上遠くはあったが、位置はチバの一直線上だったためハッキリと見え、「本物だ…」と人ごとのように感心している自分がいた。


セットリストはアンコールを合わせて25曲もあるため、すべてを詳しく、というのは読む方も書く方も疲れると思うので、抜き出していこうと思う。

まずは一覧を。

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01.黒いレイディー / 02.ゲリラ / 03.Buddy / 04.ROKA / 05.Riot Night Serenade / 06.KICKING YOU / 07.ホロスコープ / 08.YUYAKE / 09.SHINE / 10.爪痕 / 11.Red Eye / 12.LOOSE MEN / 13.PINK PANTHER / 14.SPACIA / 15.LOVE SICK BABY LOVE SICK / 16.カレンダーガール / 17.OUTLAW II / 18.なぜか今日は / 19.さよなら最終兵器 / 20.BECAUSE

Enc1
21.STORM/22.涙がこぼれそう

Enc2
23.泥棒サンタ天国/24.ローリン

Enc3
25.READY STEADY GO

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以上である。主にアルバム「VISION」と「I'M JUST A DOG」からの選曲だ。
しかも、会場の熱狂に応えたトリプルアンコール。
これらの曲をストイックに演りきったのもさすがと言わざるを得ない。
全ての曲がパワフルで、ゴツゴツとしていた。疲れることもないし、あっという間だった。

武道館は席がぐるっとステージを囲んでいて、円形をしているので音もしっかり全方向へ回るのでは…と思ったが、演奏は脳を直に刺激してくる。カーブなんてすることなく、まっすぐ突き刺さるようだった。


実は生放送でやったライブのセットリストだが、今回のライブで、その曲たちはすべて演奏された。
1曲目の黒いレイディー、2曲目のゲリラ、8曲目のYUYAKE、11曲目のRed Eye、19曲目のさよなら最終兵器、そして25曲目のReady Steady Go。

ラジオでは味わうことのできない、ドカドカと心臓を揺らすキュウのキレの良いドラムが響く。
このキレの良さは、幾度か色んなバンドを見ている私でも初めて聴く。
しっかりとバンドの音を支えている、大きな大きな大黒柱のような存在感。

チバの歌声に負けない演奏ができる人は、ドラマーもギタリストもベーシストも中々いないだろう。
なので、彼が同じようにボーカルをつとめていたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTはすごすぎたと思う。
だがBirthdayも、誰もが存在を邪魔することなく、かつ個性的でしっかり主張もできる、そんなバランスのとれたバンドだといえる。


3曲目のBuddy。「パーティーがまた始まる!」と客席からも声が上がった。
すでにライブではお馴染みのような位置にある曲だが、会場の温度が一気に上がる、そんな大事な曲だと思う。
ミッシェルの暴かれた世界の歌詞を思わず思い出してしまう。
あの時は「パーティーは終わりにしたんだ」と歌っていた。だが、「また始まる」のだ。
ミッシェルとバースデイは当然、違うバンドだが、やはりまだ少し面影がちらついてしまう。
でも、それはネガティブな意味ではなく、ポジティブに捉えられたし、この時はただ、ひたすらその声と演奏に圧倒されていた。

4曲目のROKAで、すでに友人は手をあげていた。
チバの力強いボーカルに、フジケンの美しいギターが絡む。

7曲目のホロスコープは、ガツンとイントロのギターが鳴り響き、会場の温度を更に上げた。ひたすらに格好良い。

9曲目のSHINEでは静寂が訪れ、チバの優しい歌声が響く。
「全てが輝いてる こんな日には 争いも黙るだろう きっとそうさ」
言葉が、しっかりと自分の頭に残り、吸収されていくような感覚だった。

10曲目の爪痕。
私がBirthdayの中でも特に聴きたいと思っていた曲だ。
鳥肌がたつほどのその空気と世界観に、やはり夢でも見てるのだろうか、と思ってしまう。
キュウのコーラスがはっきりと聞こえ、ライブに来ているんだとようやく理解できる。

11曲目のRed Eyeは特に印象的だった。
ラジオでも、チバのブルースハープVSフジケンのギターのソロ合戦状態だったが、それが目の前で繰り広げられていると更に迫力を増し、途中にドスンとキュウのドラムソロが入り、バンドの音を最大に楽しめた。
ハルキのベースラインが何とも言えない良いグルーヴ感を産み、会場を包み込む。

14曲目のSPECIAはインストの曲だが、より演奏陣の力強いプレイを観た。
「VISION」に収録されている曲なので初めて聞いたが、痺れた。

18曲目のなぜか今日は。
ここでパーン!と金銀の紙吹雪が弾け飛んだ。とても感動的だ。
この曲は、私にとって大切で大好きな曲。
「なぜか今日は殺人なんて 起こらない気がする」
この歌詞を聞いた時の衝撃は忘れられない。
そして、そんな大切な曲を、目の前で、チバ本人が歌っている。
そういえば、この曲からフジケンがギターで参加したんだっけ、と思い出す。
BirthdayとBirthdayファンにとって、やはり特別な曲の一つなんだなと実感した。

19曲目のさよなら最終兵器へつながったときは爪痕を聞いた時よりも鳥肌がたってしまった。この流れは反則だ。
この時点で、19曲もやっている事を知らなかったし、まだまだライブは続くように思えた。

最後の20曲目は、「VISION」の最後に収録されているBECAUSEだ。
一言で言えば、ただただ感動した。
チバが、最後に「サンキュー、ありがとう」、「アイラヴユー」と言い、曲を締めたと思う。


もう終わりだった、と気づいた時には、すでにアンコールの手拍子に湧いていた客席。
しばらくして、それに応えて出てくるメンバーたち。

チバが「いいねぇ」と言い、21曲目、STORMを演奏。みんなが笑顔で、楽しい。
続いて、チバが客席へマイクを向ける。
そして、観客全員で冒頭の部分を合唱。私の頭は少し混乱していたが、すぐになんの曲か理解した。
22曲目は、涙がこぼれそう。
まずチバがこういう風に客にマイクを向けることがあるというのを初めて知った。
名曲中の名曲と言ってもいいだろう。何度も何度も音楽プレイヤーから流れていた曲がこうして演奏されていることに、本当に涙がこぼれそうだった。

そして去っていくメンバーたちだが、会場は暗いまま。
もしや、と思った頃には、やはりアンコールの手拍子が始まった。

さっきよりもすぐに、またステージに出てくるメンバーたち。
ドラムロールから始まったため、ローリンか...?と期待させられたのだが...
始まった曲は...23曲目、泥棒サンタ天国。照明もしっかりとクリスマスカラーだ。
思わず笑ってしまったのを覚えている。でも、同時に手を挙げ、踊っていたと思う。
続いて24曲目はチバの「武道館ボーイズ、カモン!」とシャウトし、2度目の正直でローリン。
「ROLLIN' BABY IT'S ALRIGHT!」とコール&レスポンスが始まり、私も思わず歌っていた。

再びメンバーが去った後もまだ会場は暗転している。客席からもまた拍手が起きた。
前の席の人は、もう終わりかなという感じでカバンを持って出ようとしていたし、私もそろそろ終わりだと思っていた。
また明るくなったステージに、まさかのトリプルアンコールに、驚いた。
思えば、ローリンが終わってから、ステージがまた明るくなるまで時間はかかってない。むしろアンコールするたび間隔が短くなってた。


最後の一曲は、READY STEADY GO。
実は少し予想できていた。だが、曲の持つ威力は半端ではなかった。
25曲も演奏しているのに、なおもパワフルなドラム、ベース、ギター、そしてチバの歌。
「GRACIAS!AMIGOS!THANK YOU RADIO!READY STERDY GO!READY STEADY GO!」
最後の最後で、なんてことをしてくれたんだ、チバ。
また何かが始まるような、そんな感じがした。


こうして、私の初めてのBirthdayのライブは最高な盛り上がりを見せ、終わった。
帰ってからもずーっと、耳鳴りが残ってしまうくらい、前や後ろやアリーナ席や一階席だとか、関係なくその音で突き刺してくれたのだ。


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全体的に観ても、映像の演出、ライトの演出、銀紙の演出などなど、演出の面でも凝っていて、いい世界観を作っていたと思う。

そして、MCが元々少ないことで有名(?)なBirthdayなのだが、今回もやはり言葉は少なかった。
まず最初にチバが「ハロー」と一言、続いて「5年近くぶりの武道館だそうです、ようこそ」とキュウ。
そして、チバの「日本武道館!」というシャウトに続いた「武道館好きー?嫌いー? ...俺は好き」というMC。
なんておちゃめなおじさんなのだろう。こういうギャップもとてつもなく格好良い。
キュウは「客席はお酒飲めないんですかー?」と客席側とのコミュニケーションを図っていた。

まともなMCは、上記のものくらいだ。ハルキ・フジケンに至っては喋っていなかった。
だが、フジケンなんかは特にギターでのコミュニケーションをしていたように思う。
ワウなどのエフェクターを駆使して、前に出てソロを弾く姿は本当に格好良かった。


いいライブの後というのは、全く感想が浮かんでこない。
その時に全部燃え尽きてしまうから、真っ白な部分も沢山あった。

拙いレポートだが、一生懸命思い出して、余韻に浸りながらようやく言葉にして書くことができた。
長ったらしくなってしまったが、少しでも会場の熱気が伝わればと思う。

そしてとても個人的なことだが、私は多分心のどこかで今までずっと、チバとキュウのいたTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTの影を追っていた。
だから、Birthdayの音楽に真剣に向き合っていなかったのかもしれない。それはきっと、今後もついて回ってしまうのだろうし、仕方のないことなのかもしれない。
だが、こうやって真正面から彼らの音楽を受けとめることができたことは、私にとってとても大きな出来事だし、大切な経験になった。

やはり私は、Birthdayが好きだし、これからもCDを聴くし、ライブを観に行こうと思った。

ロックの聖地で本当にいいライブをしてくれたThe Birthdayと、それを観る機会を与えてくれたSOLさん、急な話にかかわらず2つ返事で同行してくれた友人に改めて感謝!


miha 神奈川県 18歳