2020年1月31日

宮城県雄勝町の 「御留石」5

宮城県石巻市雄勝町からのレポートです。

いまから600年以上前、室町時代から、書道用具の硯の材料となる石が取れていたという雄勝町。
特に「御留山(おとめやま)」は、「御留石(おとめいし)」という最高品質の石が採れる山なのですが、復興事業で、道路を通す計画が進み、今後、石が採れなくなる可能性が高まっています。

その前に、少しでも石を採り、後世に残そうということで声がかかったのが、東京・浅草の硯職人・青柳貴史(あおやぎ・たかし)さん。この方は、歌舞伎俳優・市川猿之助さんや、細川護熙元総理の硯づくりも手掛けた、日本を代表する硯職人。日本はもとより中国まで渡り、研究者のように、
良質な硯石を探求している方です。そんな青柳さんに、御留山の価値を伺いました。

※地元の硯関係者と共に御留山で採石(写真左が青柳さん)

◆御留石の価値
大体今の地質学の話で言うと、日本の石は1億年、若いので8000万年から1億何千万年が宮城は多い中、ここの精密な分析もかけたいと思うんですが、何億年という単位で1センチ、2センチができあがっていく。そこを600年かけて、みたところ100メートルないですね、何十メートル(削り)進んできたというのは、それだけ大地がここの石を作るのに時間がかかった証拠じゃないですか。容易に取れない硬さあるという。そういったものに真摯に向き合う必要があります。どんどんダイナマイトで取るんじゃなくて静かに静かに、素材が割れないように大事にいただく。どんなに道具が発展してもこの気持ちは大事にしたいなというのはありますね。僕の場合ですけど、今回いただいた石をこの形にしようというイメージは今のところ漠然としたものしかないです。ただ出口としては日本の名材を、しかも御留石という良材を今回自分で見ることができて、取ると言う貴重な経験をさせていただいたので、今回のすべてを、自分の中で消化しながら形にアウトプットしていって。山は僕にとってインプットなので、上手にアウトプットすると言う形で、造形として優れたものを作ろうと言うのではなくて、材質を生かした形、硯芸術と「用の美」というものを両方兼ねたものを考えてみたいと。できればその伝統工芸館の新築があるので、それまでにお作りして組合のほうに展示していただければ。その時にこの鉱脈が残っていてくれるのを祈りたいですけどね。


津波被害を受けて、取り壊された「雄勝硯伝統産業会館」が、今年4月に開業する予定です。

今後、青柳さんは雄勝の若い硯職人とともに、硯づくりをすることになります。理想はその硯を、4月開業の伝統産業会館に展示できるようにすることです。一方、御留山では刻一刻と、道路計画が進んでいます。

パーソナリティ 鈴村健一

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