2019年7月5日

愛媛県大洲市三善地区の自主防災の取り組みについて?

今朝は引き続き、1年前の西日本豪雨で被災しながら、一人も人的被害を出さなかった町、愛媛県大洲市三善地区の“自主防災の取り組み”について、お伝えします。



かつて“暴れ川”と呼ばれた「肱川」が流れる町。西日本豪雨では肱川とその支流の水が氾濫を起こしましたが、地域に住む約60名の全住民が“自主防災”による避難行動で被害を回避しました。

名前や性別、生年月日、血液型、持病などを書いた「災害避難カード」を住民全員が持ち、災害が起きた時、いつどこに避難するか、誰が誰をケアするか?まで書いた、地域独自の「ハザードマップ」を全戸に配り、災害に備えていた三善地区。自主防災組織の本部長、祖母井玄さんは、この取り組みの大切さについてこういいます。


◆「言い続ける、伝え続けることが大切」

「この地区が17地区に分かれてます。で、ワークショップでこの『避難カード』を作るというのは、そこに長く住んでいる人ばっかしの集まりですから、どこが危険だとか、どこへ行かないといけないとか、どこそこのおばさん一人暮らしだから、あんた声かけなさいよとか、そういうのが出来上がってたんですね。それを『私の避難行動(ハザードマップ)』ということで、十何箇所がそれぞれで考えてですね、で、山だったら土砂災害からの避難なのか、それからどういう風な避難するかとかですね、で自分の持ち出すもの、いざという時に持ち出すもの何かというのがあって、糖尿とかいろんな薬を持ち出す場合にですね、それもちゃんと書いて作り上げたんですね。だからそれぞれの17箇所が、その地区地区によって、別々のハザードマップがあるわけです。それで作り上げていったと。とにかく災害がいつ起きるか分からないし、どんな災害があるかわからないし、常にそれを自分の意識として常に持っとくためにやっぱり地域でそういった防災の意識を高めるっていう事ですよね。命は自分で守るんだっていうのを、とにかく言い続けていかないと、こういう起きたところは特にそれを教訓といいますか、私が親の代から聞いた、あそこまで水じゃあとかいうのをやっぱり言い伝えていく必要があると思いますよね」





住民自らが、過去の教訓を踏まえて、避難行動が難しい近所の高齢者のケアまで考えて作る、地域独自の「ハザードマップ」。先日のお話しでは、これをもとに小学校などで子供たちに伝えていく学習も行なっているということでした。

先日も九州で記録的な大雨になりましたが、毎年のように起こるこうした豪雨災害のとき、実際に避難行動を取る人の数は、決して多くはありません。

“地域一丸で住民の命を守る”という三善地区の徹底した取り組み。参考になればと思います。

2019年7月4日

愛媛県大洲市三善地区の自主防災の取り組みについて?

今朝は昨日に引き続き、1年前の西日本豪雨で被災しながら、一人も人的被害を出さなかった町、愛媛県大洲市三善地区の“自主防災の取り組み”について、お伝えします。



三善地区は、肱川とその支流の氾濫で、広い範囲が浸水、避難場所に指定されていた「公民館」も浸水しましたが、地域の住民が自分たちで考えて決めたという“自主防災”による避難行動で、全住民がより高台にある四国電力の建物に避難して、被害を回避しました。

三善地区が災害・・・浸水被害に対してここまで高い意識を持っているのはどうしてなのか?三善地区自主防災組織・本部長、祖母井玄さんのお話です。


◆「伝承を絶やさず」

「そうですね、肱川の水ですよね。これが昭和18年の大水の時には、一本杉というのがあるんですけど、水がその下の枝まで来たよとか、そういうのを皆、ある程度親から聞いてましたですね。そこに来たらだいたいここの家も浸かるということで、そういう想定というか言い伝えで、私らの親ぐらいの世代にですね、よく聞いてましたですね。それが18年ですから75年ぶりぐらいじゃないですかということですよね。私らの世代ぐらいまではよく知っとると思うんですけど、ただ子供ぐらいになったら、そういうのあったんじゃ言うでもピンとこないっていうのが、まあその頃は肱川のダムもなければ堤防もなかった時代ですから、起きたんだわいというようなかたちでおりましたけど、まあ若い人に言うていくいうか、伝承していくいうのも私らの責任じゃないかなと思って。だから肱川があるというのは、水があるというのは、それは大きな資源ではあるんですけど、ただ子供たちには“大変なんじゃ”というのを知ってもらうということで、注意喚起を小学校でやりました」





70年以上も前の大水の伝承を絶やさなかった地区の先達たち。

去年の西日本豪雨で、河川が氾濫して被害が出た地域のいくつかは、過去に同様の、浸水被害や土砂災害の記録が残っていました。しかしダムや堤防が出来て治水が進んだこと、そして時間の経過によって伝承は風化し、避難行動の遅れにつながった部分もあったかもしれません。西日本豪雨では、数十年に1度の大雨が予想される「大雨特別警報」の発令後も、ただちに避難しなかった人が多くいました。

地域一丸で、災害の過去を伝承し、危険が迫れば積極的に行動する取り組み、それが人の命を守ることを、三善地区が証明しています。
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パーソナリティ 鈴村健一

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