2019年7月19日

水害で命を失うことはない「備えができる災害」 土屋信行さん(10)


二週にわたり「リバーフロント研究所」土屋信行さんに「水害への備えや避難」について伺ってきました。

水害は浸水や生活への影響だけでなく、命を奪うこともあります。昨年の西日本豪雨では、200人を超える犠牲者が出ました。水害で二度と命を失わないために、わたしたちにできることとは。

◆水害で命を失うことはない「備えができる災害だ」
実は水害に関しては、起こる場所が特定されています。地震のように日本中どこで起こるかわからない、起こっても受け止めなければならない、というものではないんですね。水害は起こる場所が特定されていて、そこに住んでいることを認識していれば、絶対に水害で命を失うことはない「備えができる災害だ」と僕は思っています。
住んでいる場所が海抜ゼロメートル地帯ならゼロメートル地帯で、早く逃げる。「ここにいてはダメです」という江戸川区の水害ハザードマップのようなシグナルをきちんと受けとめて、早めに逃げていただきたい。地震のときもしかして堤防が壊れたら洪水になってしまうというゼロメートル地帯、またゲリラ豪雨のときは昔の川筋にいてはダメだという場所も、あらかじめわかることです。
また、最近は人工衛星による気象の観測網が発達しています。いざという時にはスーパーコンピューターで進路予測から台風の大きさ、台風が成立する時間まで非常に高い精度で予測してくれます。だから、気象庁の事前の情報は必ず、自分たちの住んでいるところと照らし合わせて、危ない情報はきちんと「危ない」と受け止めることが大切。正常性バイアスに陥って「たぶん大丈夫」「たぶん自分にはたいしたことがないだろう」という「たぶん」は忘れて、気象庁から出る情報を的確に避難に結び付けてほしい。はっきり言えば、「自分の命は自分で守る」。そのための避難情報だし、避難の準備だと考えてほしい。もう二度と、日本で水害で命を失わない。そういう日本人になろうではありませんか。


「自分の住んでいる場所について知る」「早く逃げる」、水害対策をきちんととれば命を失うことはない、備えができる災害として、この2つを突き詰めるとが大切です。

土屋さんのお話は、著書の「首都水没」、そして今日発売される「水害列島」でも詳しく読むことができます。

2019年7月18日

東京の水害の盲点「地下空間」と「高層ビル」 土屋信行さん(9)

今週も「リバーフロント研究所」土屋信行さんのインタビューです。
河川や治水に詳しい土屋さんに「水害への備えや避難」について伺っています。


今日は「東京の水害」の盲点。「地下空間」と「高層ビル」のお話です。

◆「地下空間」と「高層ビル」の盲点
東京には網の目のように張り巡らされた地下鉄があります。大江戸線がすべての地下鉄をつないでいて、「地下の第二の山手線」を目指そうと作られました。だから、交差している地下鉄は全て繋がっているんです。なので大きな洪水で一か所でも浸水したら、まず一番深い大江戸線を満タンにして、それから上のほうの地下鉄を水浸しにしながら、全ての地下鉄が満タンになってしまいます。そこに繋がった大きな建物の地下階や大きな地下街。これも便利なようにとつなげてあるので、全ての地下空間が繋がっていると考えてもらって、大雨や台風で水害の危険が迫っているときには地下にはなるべくいないで、地上に逃げてほしい。
また渋谷みたいに谷になっているところは、大きな交差点のところなどは実は1メートルから1メートル20センチくらい水に浸かってしまいます。だから、地上に出ただけで安心せずに、速やかに近くの高い建物に逃げ込んでいただきたい。
一方、高いビルにも大きな問題があって、それは電気です。地震にとっては電信柱が危ないということで、都内全域で無電柱化(電柱の撤去)が進んでいますが、ところが電柱を地面の下におろしておくと、浸水したときには電気を止めざるを得ない。だから、水害があったら、大きなビルディングは電気がないまま孤立してしまうことになります。タワーマンションにいらっしゃる方は、いざというときにどういうふうに命をつなぐかもよく考えておいてほしいと思います。


水害の危険が迫っているときは、なるべく地下空間にはとどまらないように。一方「高層ビル」「高層マンション」は電源喪失の恐れがあります。当然エレベーターもストップ。電気がとまればオンオフ機能を失いガスもとまります。
東京の水害の盲点。言われてみれば確かにと納得。水害がおきたらどうなるのか。日ごろ使っている経路や暮らしを見直してみましょう。
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パーソナリティ 鈴村健一

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