2020年3月10日

東京2020オリンピック 聖火ランナー上野敬幸さん(2)

今週は、3月26日からスタートする東京2020オリンピック競技大会の「聖火リレー」を走る、ふたりの聖火ランナーに注目します。

聖火リレー初日の3月26日、福島県南相馬市を走るのは、東日本大震災の津波で二人のお子さんと両親を亡くした上野敬幸さんです。「自分と同じ思いは二度としてほしくない」と、避難の大切さを訴え続けています。しかし、去年は台風の被害が東北の広い範囲にも及びました。各地の惨状を目の当たりにして、上野さんの胸には「悔しい」という思いが浮かんだといいます。

◆全て救える命なので。悔しい。
台風19号では福島が一番犠牲者が多かった。犠牲者がゼロじゃなきゃいけないのに。福島全体が津波の教訓というのを何も活かしてなかった結果でしかないかなと思っていて。犠牲者が出てしまったのは、「福島の復興は原発の復興」と言ってしまっている県知事なので、やはり津波から命が奪われてしまったこと、もう二度と命が失われないようにと、もっと県民にその教訓を耳にする機会があればこのような結果にならなかった気がして。残念というか悔しい。全て救える命なので。避難すれば亡くならないのに毎年避難しないで亡くなっている。どうしてこんなに繰り返すのか。その時に「まさか」という言葉がまた聞かれるわけで、その「まさか」は本当に聞きたくないし、命は失われてしまったらもう戻ってこないので。自分だってわかっている。どうやったって永吏可、倖太郎が「パパ」って言ってくれることはもう二度とないので。そうみんながならない為にどう行動するべきか。大雨、水害、地震の時に自分がどう行動するのかっていうのをみんなが考えれば亡くなる人はでないはずじゃないですか。後悔するのはもう僕じゃないので。みんなが後悔する。もう僕は泣かない。今の家族は何が何でも守るので。どうやって守っていくのかというのを本当にみんなに考えてもらいたいと思っています。


長男、倖太郎くんは未だ行方不明で、上野さんのもとに帰ってきていません。「この悔しい想いは、自分だけでいいんだ。二度と繰り返してほしくない」と語る上野敬幸さん。3月26日、聖火リレースタートの日に、南相馬市を走ります。

2020年3月9日

東京2020オリンピック 聖火ランナー上野敬幸さん(1)

今週は、3月26日からスタートする東京2020オリンピック競技大会の「聖火リレー」を走る、ふたりの聖火ランナーに注目します。

聖火リレー初日の3月26日、福島県南相馬市を走るのは東日本大震災の津波で二人のお子さんと両親を亡くした上野敬幸さんです。大切な家族を失いながらも、震災の教訓を伝えようと懸命に力を注がれています。

先日、上野さんのお宅にお邪魔して聖火ランナーの「認定証」を見せて頂きました。

◆亡くなったみんなに届くよう「笑顔」で走りたい
(認定書を見ながら一読)
『上野敬幸様。その一歩を福島から。あなたは地元をよりよくするチャレンジャーとして東京2020オリンピック聖火ランナーに選ばれました。』
Jヴィレッジをスタートして最後が南相馬市なので、聖火ランナーがスタートした26日、南相馬の区間を走ることが決まっています。こういう機会は一生に一度なのでそういうチャンスに恵まれたというのは正直本当に嬉しいし、選手の人たちはこれを目指して血のにじむような想いをして頑張っているのでそういう人達を応援したいという気持ちもありますから、そういうことに携われるのはうれしいです。復興五輪というくくりでスタートしているわけですから、被災3県と言われる宮城・岩手・福島県ではいろんな環境におかれた人たちが多く走ると思う。その中で亡くなった人が上から見てくれていると思うので、やはり安心してほしい、という想いが亡くなった人には大きいので、みんなに届くように笑って「笑顔」で走りたいと思っています。
また世界の人が福島を目にする機会が多くなると思うので、教訓として伝えられることがもし聖火ランナーとして自分が走ることがあるのならば、命という教訓、原発の事故を含め発信していかなきゃいけないと思っています。


上野さんは「生きている僕らが悲しい顔をしていたら、上で心配するから」と「笑顔」にこだわり活動を続けています。代表をつとめるボランティア団体「福(ふっ)興(こう)浜団(はまだん)」では毎年「菜の花畑迷路」や「追悼福興花火大会」を開催。会場がたくさんの笑顔に包まれます。
聖火リレーの当日も、「笑顔で走りたい」と意気込みを語ってくれました。

また「自分と同じ思いは二度としてほしくない」と「避難の大切さ」を訴え続けています。
そんな上野さんの想い、明日もお伝えします。

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パーソナリティ 鈴村健一

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