2019年8月20日

藍は東北を救う? 南三陸町・でんでん虫カンパニー?

宮城県・南三陸町から、藍染めを活用した地域おこしの取り組み、お伝えしています。

南三陸の山間の小さな集落で天然の藍を育て、モノづくりや藍染め体験会を実施している「でんでん虫カンパニー」。この会社を立ち上げたのが、震災後に南三陸へ移住した中村未來さんです。もともと大阪で生活していた中村さんが南三陸への移住した理由を伺いました。

左:中村さん 右:高橋万里恵(いのちの森パーソナリティ)

◆「暮らし」を取り戻すチカラになりたい
きっかけのひとつは東日本大震災。当時は大阪で建築の仕事をしていたんですが2011年の夏にようやく休みをとって数日間ボランティア活動をしたんですね。そのときに、メディアを通してずっと見ていたものとは違う感覚を得て。特に、当たり前なんですけどそこに暮らしがあるし、暮らしを取り戻そうとしている人がいるということに、実際に現場に来て気づいたことが大きなきっかけになっています。私が活動をしたところが気仙沼市の小泉地区というところで、畑などに埋まってしまったガラス破片とか分別する作業だったんですけど、ちょうどその2日目に夏祭りをやるのでぜひボランティアの皆さんもどうぞと言っていただいて、住んでいた方とお話をすると、いまは違う場所に避難しちゃっているけどまた戻って海とともに暮らすんだ」というようなことを話されていて。目の前に広がっている光景はとても大変な状況だったんですけど、それでも諦めないで同じ場所で、故郷を取り戻すために前進されている。そこに私自身がすごくエネルギーを貰って、その方たちの暮らしを取り戻すお手伝いをしたいなと思ったのが始まりです。やはり暮らしを知るためには1日や2日ではわからないと思っていて、特に日本には四季があるので最低でも1年はいないと知ったということにならないんじゃないかというのが自分の中にあったので、1年間と決めて、その中で出会ったのが南三陸町だった・・・ということでいまに至ります。


ということで中村さんは、国や自治体が募集する「復興応援隊」に参加。その活動場所が南三陸だったというのが最初の縁だったといいます。

ただ、最初から移住は意識していたわけではなく、活動を続ける中、南三陸という町が「好きになっちゃった」のだそうです。そこで暮らす人々、豊かな自然、おいしい食べ物、すべてが魅力的で、とにかく「手放したくなかった」と中村さん。建築という「ハード作り」ではなく、ソフト面から南三陸の再生にチカラを使いたい、という気持ちもあったということです。

あしたもこの続きをお送りします。

2019年8月19日

藍は東北を救う? 南三陸町・でんでん虫カンパニー?

今週は、宮城県・南三陸町でまさに芽吹いたばかりの、「アイ」のレポートです。

アイといっても、L・O・V・Eの愛ではなく。藍染めの「藍(あい)」です。実はいま、南三陸の山間の小さな集落で、天然の藍染めによる
モノづくり、藍染め体験会などの地域おこしが始まっています。

これに取り組んでいるのは「でんでん虫カンパニー」。震災後に南三陸へ移住した若い女性が立ち上げた会社です。まずは、藍染体験のレポート。取材したのは、ラジオ番組「いのちの森」パーソナリティの高橋万里恵さん。でんでん虫カンパニー代表・中村未來さんの案内で取材チームはズンズン山の中へ進んでいきました・・・


◆南三陸の山あいに藍畑が
高橋:宮城県南三陸町にやってきました。こちらで「藍」の栽培から、藍を使った製品までを手掛けていらっしゃいます、でんでん虫カンパニーの中村未來さんにお話伺いたいと思います。さっそく連れてきていただいたのが畑なんですが、目の前にある30−40センチくらいの植物・・・これが藍ですか。

中村:そうです。タデアイという藍です。葉っぱに青く染める成分が多く含まれていて、この葉っぱを取って染めの液を作っていきます。まさにいま第1回目の刈りが8月ごろから始まったところです。




この藍畑は震災の影響で水が流れなくなった田んぼを畑に転用したもの。地元の方が快く貸してくれたのだそうです。中村さんがこの畑で育てているのは完全無農薬のタデアイ。害虫を取り除くのも牛乳を薄めたスプレーを使っています。全て手作業だというからスゴイ・・・。

藍畑を見学したあとは、いよいよ藍染体験!工房には、寸胴鍋に入った藍染めの液が用意されていました。


◆「青は藍より出でて藍より青し」
高橋:藍染めをするお鍋を開けていただきましたが、すごく濃い青です。鍋の底なんて全然見えない。高さ30センチくらいかな。

中村:液に5分間つけて、5分経過したら出して広げて空気にさらしてあげるというのを何度も繰り返して色をどんどん濃くしていきます。

(※ということで5分間経過!)

中村:では取り出していきます。そして急いで広げていきます。そうするとどんどん青くなっていっているのが分かりますか。緑が、青が混じっていって・・・

高橋:ウソみたい。空気に触れて青に、濃い青になってきました。どんどん色が変わっていきますね。濃くなっていく〜。


この作業を何度も繰り返したあとは、藍染め工房のすぐとなりを流れるキレイな川へ移動です。

<b>中村:ここに川がありますので、あとは表面についた余分な藍を落とすので、けっこうゴシゴシと川で洗います。ここでは芝刈りもあるので、私の家族は「おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に」みたいな生活をしています。

高橋:あとは桃太郎待ちじゃないですか(笑)




ということで、思った以上に素敵な藍染めに成功〜! 洗濯ばさみやビニールひもなどを使って染めたくない部分を縛ることで、こんな風に模様ができるんです。

でんでん虫カンパニーによる藍の栽培がはじまったのは5年前。震災ボランティアをきっかけに移住してきた中村さんは、藍を活用した様々なものづくり、プロジェクトを計画しています。この続きは明日。


なんでも食べてみる高橋万里恵。藍の葉っぱも食べてみました。

けっこう苦かったようです。とはいえ、藍は食用にもなるそうですよ
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パーソナリティ 鈴村健一

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