2019年9月3日

福島県大熊町・ネクサスファームおおくま2

引き続き、福島県 大熊町に開業した植物工場「ネクサスファームおおくま」からのレポートです。

すでに毎日100キロのイチゴを出荷。今後もどんどん生産を増やしていく予定のネクサスファームおおくま。現在、働いている人の数は、社員・パートあわせて十数人。その大半が、地元・大熊の町民の方々です。今後の雇用について、工場長の徳田辰吾さんに伺いました。

◆町の人たちとともに
私たちの考え方としては、農業をいかに楽に簡単にやっていけるか、誰にでも出来るようにしていけるかという考え方がございまして、機械でできることと人ができることを分業しています。機械ができることは機械に。人にしかできないことに人の手をかけてあげる。それによってこの規模のハウスですと最盛期には50〜60人の雇用が必要なんですけれども、やり方を工夫することによって30から40人ぐらいで管理できるようなメリットもございます。町に帰還してくださる町民の雇用もこの会社は持ち合わせておりまして、極力帰ってきていただいた人に働いていただきたいなと思いながらお声掛けはしていますけども、町の復興と合わせて少しずつ人が増えていくということもありますし、そういう形で採用活動を行っております。パートさんも「楽しみにしていた」と言って働いてくれたり、「イチゴができるんだ!」と非常に皆さんワクワクしてくれている、本当に喜んでくれていてありがたいなと思っています。



ネクサスファームおおくまで働く人の中には、30代〜40代という若い世代の方も多いといいます。ただその一方、その一方、避難指示解除後、大熊に帰還した方も多くは高齢者の方です。多くの地方が抱える「お年寄りの方が外出せず家に引きこもりがちになる」という問題も、ネクサスファームおおくまなど、パートで時間を決めて働く場所が増えれば解決につながっていくかも知れません。

ちなみに、案内してくれた工場長の徳田さんもネクサスファームおおくまの立ち上げをきっかけに、県外からやってきた方。徳田さんいわく、町に人を呼び戻し、雇用を増やし、にぎやかにするにはまだ不便なところもあるようです。

◆不便も徐々に解消へ
私は大熊に住んでいます。(まだコンビニが1軒だけなので) ご飯が食べられない時とかがあります。食堂が1軒、大熊食堂というのがありまして開放していただいている時間は使えるんですけれども、富岡も7時に閉まるので間に合わない時は飲み物で生活していますね(笑) でもこれから町の方でも商業施設とかできてきますからね。そうなってくると非常にありがたいなと思います。


大熊町は今年 役場の新庁舎が完成、復興公営住宅への町民の入居も始まり、さらにネクサスファームが完成。そして町の復興は、次の段階へ。来年2020年には、役場のすぐそばに商業施設と、宿泊・温浴施設なども新たに完成する予定です。生活のインフラも徐々に整っていくことで、人が戻り、さらに町が賑わっていくという好循環が生み出せるかどうかが今後の課題です。

2019年9月2日

福島県大熊町・ネクサスファームおおくま1

きょうは、福島県 大熊町の「いま」をお伝えします。

廃炉作業中の福島第一原発が立地する大熊は、住民およそ1万人の大半がいまも県内外で避難生活を続けています。一方、今年4月には一部地域で避難指示が解除され、住民の帰還も始まり、町全体の復興計画も動き出しています。


特に大きなトピックが、「ネクサスファームおおくま」。今年4月に完成した、イチゴ栽培の植物工場です。すでにイチゴの生産・出荷がはじまっておりまして、8月には関係者、マスコミを招いての工場見学会も行われました。

◆ハイテクでイチゴを安定供給
(※案内:工場長 徳田辰吾さん)
部屋の区画でいうと6区画あって、そのうちここはひとつの区画で一番小さい部屋になります。大体こちらで1日100キロくらいずつ毎日コンスタントにイチゴが収穫できる状況になっています。各部屋がそれぞれ環境制御できるようになっていまして、各部屋単位をそれぞれ6分割したエリア単位で、給液のコントロール、LEDを付けたり付けなかったり、CO2を出したり出さなかったりといった生育管理ができるようになっています。それによって非常に成長の速度をコントロールしやすい環境になっておりますので、私たちが目指す安定した生産、安定した供給、安定した経営ということに少しでも近づけられれば良いと思っています。もぎ取って食べていただいても大丈夫ですよ。今日だけですよ(笑)



ちなみにこの植物工場。敷地全体の大きさはおよそ2万9000平方m、サッカーコート4面分!大規模な太陽光発電施設でもあります。完全屋内栽培で、温度、湿度、光、CO2は全てコンピュータ制御。最先端技術で、一年を通じてイチゴを安定的に作ることができるそう。将来的には、毎日700キロのイチゴが出荷できるようになるというからスゴイ!

そしてこの植物工場。地元に人を増やすきっかけとしても期待されています。案内してくれた工場長の徳田さんも植物工場に可能性を感じて県外からやってきた“チャレンジャー”の一人です。

◆町民の力も
そうですね、設計から何から全部やりましたので、栽培方法から、あとは販売先の決定から、従業員の教育から採用から。(従業員の数は)今は8人でパートさんが2人、明後日からまた2人増えて、いま社員さんも随時募集していますしパートさんも募集しています。(皆様大熊町に住んでいる方?) 従業員のうち7割から8割が大熊町に住んでいます。6割くらいが町民です。外から来た人の中には町に住民票を移して働いてくれている人もいるので、町には少しは恩返しができているかなと思いますね。


もともと大熊町は「フルーツの香り漂う大熊」というコピーがつくほど果物生産が盛んな地域だったそうです。ネクサスファームおおくまは、全国的に見てもかなり規模の大きい植物工場ということで、フルーツの大熊、再生へ向けた期待も高いと言います。農業全体が人手不足になっていくなか、こうした植物工場は全国的にも注目を集めるはず。地域に人を呼び戻すきっかけになるかも知れません。
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 73 | 74 | 75 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN