2014年11月6日

11月6日 南三陸自習支援 『TERACO』3

今朝も、宮城県南三陸町で子供たちの自習支援を行う「TERACO」のレポートです。

仮設住宅など、学習スペースを確保しにくい子供たちのために、「自習室TERACO」を立ち上げた、代表の小楠あゆみさん。活動を支えるのは、個人支援者からの支援金と保護者の会費ですが、運営は決して楽ではありません。それでもTERACOを続ける小楠さんには、「南三陸の未来をつくるのは子どもたちだ」という、熱い想いがあります。

◆「環境のせいにしてほしくない」
自分の可能性をあきらめずに、環境のせいにしてほしくないなというのが根底にある。もしこういった場所(TERACO)がなくても、学校の教科書と家の片隅でできることもあるのかもしれないが、将来家が流されたからとか、自由な場所がなかったからできなかったんだというような大人になってほしくないと思っていて。
いま来ている子たち含めて、生活に密着した、保母さんになりたいとか、看護師になりたいとか、おばあちゃんをなくした子だったのかな、マッサージや整体など老人のケアをする仕事をしたいとか、いう子たちが、3年たって、明確にそっちの道に歩き始めた。
小中学生のときは将来についてぼんやりしていたものが、具体的に受験だとか、専門学校にいくだとか、歩き始めたから、それをあきらめてほしくないなというのがある。

わたしのキャッチコピーが「行動する子供を育てよう」。10年後20年後30年後。行動というのは「考えられて動ける子」。考えるには人の意見を聞くことが必要だし、動くためには勇気が必要。勇気はなにから出てくるかといえば、ある程度の自信だとかも必要になってくるのでは。そういう子供たちが増えて、そういう大人が増えることが、この被災地については、ゼロ以下になってしまったわけだから、とっても必要だと思う。子供たちがけん引車になって、その道のスペシャリストになって誰かを触発するようなスパイラルになったらいいなと。
復興ではなくてわたしは再生だと思っている。彼らは再生を担う種ですからね。


これまでTERACOに通った児童・生徒は、およそ250人。
震災から3年半あまり。
子どもたちは、それぞれの目標や夢に向かって、いま歩き始めています。
TERACOに通う、南三陸の高校生にも聴きました。

◆看護師になるため進学したい
わたしは3年前の中学3年生のとき、TERACOがまだホテル観洋の一室でやっているときから、通っています。避難していたときもそうだけど、最初はみんな一緒で勉強するスペースがなくて、最初はロビーとかでやってたんですけど、小楠さんが自習場所を作ってくれたので、そこでやるようになりました。テスト期間は毎日通って、あとは受験勉強のときは毎日来ています。わたしは看護師になりたいと思っているので、専門学校に進学するために、いま勉強しています。
◆夢はウェディングプランナー
いまは仮設住宅。勉強を教えてくれる人がいないので、ここにくると教えてくれる人がいるし、友達にも教えてもらえるので、集中して勉強でる。ウェディングプランナーの専門学校に通う予定。進学後は南三陸町を離れて仙台のほうでやりたいと思っています。


自習室TERACOブログ
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2014年11月6日

11月5日 南三陸自習支援 『TERACO』2

宮城県南三陸町で子供たちの自習支援を行う「TERACO」。

お話は「TERACO」の代表、小楠あゆみさん。地元の小中学校から徒歩5分ほどのところに「自習室TEREACO」を開き、子どもたちの学習支援を行っています。対象は小学生から高校生。震災をきっかけに、南三陸では、進学や就職に対する意識が大きく変わったと、小楠さんは言います。

◆TERACOスタッフになりたい!
進学意識がすごく低い地区だった。地元の高校は一校しかないし、中学や高校を卒業したら、父ちゃんの船に乗るとか、地元の郵便局に勤めるとかで、偏差値を意識することはあまり必要なかった。でもいまそういった地元の雇用がなくなってしまった。事業の再開率も5割に満たない状態だと思うので、就職先もない。地元に就職先がなければ、仙台や石巻、東京に行って、就活などで戦うようになると負けちゃうじゃないですか。それで、進学意識はかなり高まって、大学進学率もだいぶ高くなった。
地元の高校のセンター試験受験者数が0人だったのが、去年7人、今年15人と上がってきているのは、お子さんもご家庭も含め、上を目指そうということが表れた数字なんじゃないかと。そういった意味で進学や就職のために学ぶ、ということをイメージさせるには、わたしたちみたいな外からの力ないとまだまだ地元の力では難しいのかなと。
ただうれしいことに、中学校の卒業直前に震災の津波に会って、その後TERACOに来ていた子供が、今年センター受験を受けて大学生になったという子が出てきた。東京と山形と仙台の大学。彼らが夏休みに南三陸に戻ってきて、TERACOに教えてきてくれた。いまは外から大学生スタッフがサポートに来てくれているが、地元の子供たちがそこに入ってくれたら、いろんなものが変わっていくんじゃないかなとも。
あるとき小学生がかわいいことを言っていて、一生懸命勉強して、早くわたしも大学生になって、TERACOスタッフになりたいなあと。東北大に行くんだとか言って。東北大、東大、早稲田、慶応とか名前はすごい。「俺、早稲田にしようかな、慶応にしようかな」とポケットに手を突っ込みながら言っていて(笑)。「ああ、いいじゃんいいじゃん」って(笑)。


地元志津川高校のセンター試験の受験者数が、3年でゼロから15人に。
進学・就職への意識向上を表す数字なのは確かですね。

また小楠さんは、大学進学を目指す南三陸の高校生たちを連れて東京に。実際のキャンパスライフや研究現場を見学する「リアル大学見学」を行っています。

◆リアル大学見学
大学に行きたいという気持ちが強い子供たちを「リアル大学見学」という名前を付けて大学に連れていった。いわゆるオープンキャンパスって授業参観みたいにフェイクなところがあって、わたしはあまり好きじゃない。うちはサポートスタッフに早稲田の理工学部の研究室の大学生たちも結構来ているので、人工心臓とか3Dプリンターとかいろんな研究現場を見せてくれて、教授が案内してくれた。さっき言った(大学に進学した)3人は、そのとき「リアル大学見学」をした3人。結局は3人とも大学生になった。
次の年は弁護士になりたいという女の子がいたので、早稲田の法学部の教室、図書館、弁護士事務所、あと東京地裁に行って傍聴してきた。彼女は今年高校受験で、この地域では進学校と言われる高校を目指している。
町全体でボトムアップするにしても、勉強するのは楽しいよ、進学や就職の選択肢が広がるよということを見せることができるので、しばらくTERACOの活動は継続しなくちゃと思っている。


地元の子どもたちが進学して、また南三陸に帰ってきて、次の世代を育てる。これが理想と話してくれました。

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パーソナリティ 鈴村健一

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