2019年10月2日

千葉県南房総市、富浦漁港の漁師に聞く?

今週は、9月の台風15号によって被災した、千葉県南房総市からのレポートです。

南房総市富浦町は、良質な近海モノの魚があがる港町。台風15号は、そんな富浦町、富浦漁港の漁船にも被害をもたらしています。

「どういう状況で落ちたか分かんないよ。これが全部ワイヤーここ張りとってあってさ、倒れないように。で、これ取れちゃって海落ちてさ、これが逆さまになってさ。もうだから何も使えない。全部ダメ。」

こう話すのは、富浦漁港の漁船「嘉一丸」の船長、磨呂信男さん。(写真右側の方)



磨呂さんは、強い台風に備えて、漁船を丘に上げ、いつもよりも多くのワイヤーを使って船を固定していました。ところが翌朝、港へ来てみると船が無い・・・。よく見ると、ワイヤーが千切れ、船は港の中あたりで船底を海面に出し、転覆して浮いていました。しかも「嘉一丸」だけでなく、漁港に所属する15〜6隻の漁船のほとんどが、倒れたり、海に流されるなどしていたのだそうです。

金属繊維のワイヤーを引き千切って、何トンもある船を動かしてしまう・・・どんなにすごい台風だったのかとあらためて思わされます。


(千切れたワイヤー)

◆「竜巻だったのではないか」

「船が、引き揚げていた場所から落ちてさ、向こうに行ってるとは思わないよ誰も。はじめ見に来た時、風があるから船は倒れてるなと思ったんですよ。来たら船が無いから何したんだ?って思ったら、向こうの堤防のあたりに逆さまになってたから、たまげちゃった。で、東の風あったからさ、ウチなんか東向の家だから家の座敷まで水が入った。屋根はみんな飛んじゃってさ。玄関みんなぶっ壊れちゃったから玄関から廊下伝わってぜんぶ水がきちゃってさ。俺70になるけどよ、初めて。だからこの山も竜巻みたいになってんでねえか。その山の向こう側は全部枯れちゃってる。こっちは何でもないけんね。」



自宅も船も大きな被害を受けた磨呂さん。取材をした日は、海から引き揚げた船のチェックや片づけをしていましたが、傷んだ船を直して漁に出るには、まだまだ時間がかかると言います。

◆「船大工がいない」

「船大工がいないんですよここはみんな。だから大原の大工に頼んで、大原から直し来る。1週間くらいで来るって言うからさ。(だいたい何か月ぐらいかかかりそうですか?)大工さんの状況しだい。船ができてから今度エンジンをつけてさ、エンジンをつけてから今度は計器類、配線をぜんぶしてかなきゃいけない。配線は全部取っちゃったからさ。これみんな取って外してさ、新台と同じになるからさ、まだ幾分かかるよ。」




磨呂さんの「嘉一丸」は何とか大工さんの手配がついて、今週にも修復作業が始まるということ。穴が開いたりひびが入ったり、傷んだ船体を直して、さらに海水に浸かって使い物にならなくなったエンジンや計器類、配線も取り替えるという、新造に近い大手術を施します。

一方、漁港にはまだ見通しの立たない船も多く、漁師を廃業する人もすでに出はじめているのだそうです。さらに漁協も大きな被害が出ていて、富浦漁港の漁業は先行きがまったく見通せない状況にあります。

『LOVE&HOPE』、明日も富浦漁港の漁船「嘉一丸」の船長、磨呂信男さんのお話しをお届けします。

2019年10月1日

富浦漁協直営「おさかな倶楽部」(2)

今週は台風15号によって被災した千葉県南房総市。海沿いの町、南房総市は「漁業の町」でもあります。富浦漁協直営の食堂、「おさかな倶楽部」も台風による強風でお店の窓ガラスが割れて、店内に散乱。多くの漁船も破損して漁が再開できないため、長く休業が続いていました。

お店が再開したのは、台風から20日が経った9月28日。「おさかな倶楽部」の店長、盪獲拡子さんは台風の夜をこう振り返ります。

◆「風速72」の数字が・・・
台風の風速も携帯のアプリでマックスで「風速72」と表示されたんです。ニュースでは最高風速40とか50などと伝えられていましたが、そんなものではなかった。竜巻のような風が吹いたんじゃないかとも言われていて、木もただ倒れたのではなく、強風にねじれて倒れたという倒れ方でした。夜中だったので、ガラスの割れたお家は、近所の屋根瓦が家を突き破って家の中に入ってくるような状況で。わたしも真っ暗で状況がわかりませんでしたが、窓ガラスが割れたということはわかって、あとすごい風圧だったので、これ以上割れたガラスが入ってきては恐ろしいので、急いで板を探してきて抑えていましたが、2〜3人で抑えていてもそれが風圧で押し返されてしまうくらいの強さでした。
台風が通り過ぎた後は、愕然としてしてしまいましたが、そこからは近所の方やいろいろな方が助けてくれて、やっと開店にこぎつけて。今日は開店と同時にスタッフも感激して泣いてしまうスタッフもいました。泣きながら仕事したりして。お客様からも建物を修理をしているときにお店は再開していないけど駆けつけてくれて、一緒に修理を手伝ってくれたり、差し入れを持ってきたり、お見舞いにお越しいただいたり。この20日間の間、被害にあって「がっかり」だけでなく、心温まることがたくさんあったなと。感謝の日々だったなと思います。


「風速70メートル」、聞いたことがない数値。今回の台風の威力を思い知らされます。
「おさかな倶楽部」は新鮮な海の幸を使ったボリューム満点の定食が自慢。普段は11時のオープンに向けて、朝8時ごろから並ぶ人がいるほどの人気店。一番人気は、お刺身、フライ、煮魚が全部入っている「まんぷく定食」とのこと。

「おさかな倶楽部」のHP

LOVE&HOPE、明日は富浦の漁師さんに話を聞きます。
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パーソナリティ 鈴村健一

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