2015年2月18日

2月18日 東北復興新聞−福島−

今週は、「東北復興新聞」の発行人、本間勇輝さんのインタビューです。

「東北復興新聞」は紙とウェブで情報を発信しています。東北の復興に向けた取り組みの中から、うまくいっている成功事例を紹介。その知恵とプロセスを共有しよう、という新聞です。
   
「東北復興新聞」」が伝えるテーマの一つが、福島。福島県では、原発事故の影響で、いまもおよそ8万人が県外への避難を余儀なくされています。

◆帰還への道のりをサポート
町に戻れるように帰還を進めるという取り組みが各町村の大きなテーマ。福島県浪江町は全町避難が続いているが、帰還に対して住民の方がどんなことを気にされているかというと、除染はもちろん、スーパーができたのかなどの生活情報だったりもする。日々、自分の故郷と触れ合える、どんなふうに変わっていくかを感じられる情報を提供しようということで、タブレット端末を町が避難住民に配っている。「コード・フォー・ジャパン」という非営利のエンジニア集団と一緒にアプリケーションを開発している。ただ開発するだけでなく、町民の方と外部のプログラマーが一緒になって、どんなニーズがあってどんなことができるかを、丁寧に話し合ってきた。いきなりタブレット配りました、どうぞ、ではなく、町民の方と何度もワークショップを重ねながら、やっとできたのがタブレットでアプリケーション。福島のニュース、浪江のニュースを横断的に一つのタブレットで見られるようなアプリケーションが、ちょうどこの1月に始まった。非常に長期戦になっていく帰還への道のりだが、故郷に帰りたいという方をこういったアプリケーションでつなぐという取り組みが進んでいる。

  
また、本間さんが注目するのが、福島の実験的な教育プログラムです。この4月、広野町に新しい学校が開校します。
  
◆ふたば未来学園
福島は本当に未来がわからない。どうしたらいいんだという中で、未来の福島をつくっていくのは子供達や若者だろういうことで、いろんな取り組みが行われている。
双葉には8つの町村があるが、8町村それぞれの教育長が集まって、「双葉郡」として教育方針、教育プログラムをつくっていこうという取り組みが1年ちょっと前から始まった。彼らは双葉郡の教育復興ビジョンを立ち上げた。柱は2つ。
一つは広野町につくられるチャレンジングな取り組み、中高一貫校。この4月に始まる「ふたば未来学園」という学校。もう一つは、双葉ならではのカリキュラムをつくるということ。「ふるさと創造学」と名付けているが、例えば子どもたちが故郷を取材してラジオ番組を作ってみようとか、故郷に関することを調査しカルタにしてカルタ大会をやろうなど、故郷に関係することを子どもたちが主体となって、学校の先生たちがまとめながら、自発的な教育プログラムを、各校で始めている。中高一貫校でもこれを教育の柱としていく方針。こういったような外に開かれた、また地域と繋がっている学校の新しい形を模索していて、全国に先がける教育の形になるかもしれないプロジェクト。


この4月に開校する県立の中高一貫校「ふたば未来学園」。当初は「広野に学校をつくって通いたいという人がいるだろうか?」という不安もあったが、定員オーバーの応募があって、無事に開校を迎えられるそうです。
   
ちなみに制服デザインに人気アイドルグループ「AKB48」の衣装デザイナー、茅野しのぶさんを採用。すでに各方面から注目を集めています。

2015年2月17日

2月17日 東北復興新聞−産業復興−

今週は、「東北復興新聞」の発行人、本間勇輝さんのインタビューです。

「東北復興新聞」は紙とウェブで情報を提供しています。キーワードは「いい事例、共有メディア」。
「街づくり」「住宅」「人材」など、東北の復興に向けたさまざまな取り組みを取材し、成功事例とそのプロセスを情報発信しています。

今日のテーマは「産業復興」です。震災で大きな打撃を受けた東北の産業は、いま新たな局面を迎えていると本間さんは言います。

◆産業構造の改革
被災された企業という意味でいうと、国の「グループ補助金」という支援を受けた団体対象の調査だと、震災前に比べ4割ぐらいしか売上が回復していないと言われている。特に沿岸の主要産業だった水産業、水産加工業に関しては、売上の回復率が2割を切っている。主に産業復興というと、水産加工、漁業が対象になると思う。ここに関しては「産業構造の変化が必要」という認識。いわゆる下請構造というか、東京の大手企業の発注を受けて(水産加工品などを)作ってきたところが多かったが、販路を失った。供給が止まるので、大手企業も発注先をほかに切り替え、生産が戻っても再び取引することができない、というケースも多い。いま東北の水産業が直面しているのは、戻らない販路をどうやってリカバーするかというところ。そのときに、また「下請け構造」で、大きな取引先に依存するような形にまた戻ってしまうと、非常にリスクが大きい。そこで自らが営業力や商品力を持って販売していくような形に変えていく、というのが一番大きなテーマだと思う。

  
また「産業構造の改革」に加えて、異なる業種や大手企業との「連携」が、いま東北の産業復興に欠かせないと言う本間さん。その具体的な事例を紹介してくれました。

◆「フィッシャーマンジャパン」の取り組み
ビジネスにおいては、6次化というと陳腐になってしまうが、最終的な消費者のニーズをくみ取って商品開発や事業の形にフィードバックしていく形が必要。ヤフーやオイシックスが非常に力を入れて漁業者、水産加工業者のブランディングプロジェクトに取り組んでいる。中でも「フィッシャーマンジャパン」は浜を超えて、市町村を超えて漁業者が連携して団体を作って、一緒に販路開拓、情報発信をしていくプロジェクト。ウェブサイトも非常にかっこいいし、漁業者も若手が多くてすごくかっこいい。彼らのファンクラブみたいな取り組みもある。非常に期待しているのは、いままでのネットショッピングや販売の形とは異なる買い物の仕方を提案していること。「牡蠣オーナー制度」。100個分(牡蠣を)この業者から買うという選択ができて、その100個を一年の間、いつ頼んでもいい。「明日パーティあるから20個寄こして」「今日子供と二人で食べたいから3つだけお願い」などのオーダーができる。
そうすると、コミュニケーションが生まれる。ただ買うで終わらないので、「おいしい」とか「ありがとう」など、コミュニケーションの中で生産者と消費者が繋がっていく。新しい「売り方」を通じて「フィッシャーマンジャパン」が模索を続けているのが面白いと思う。生産者と消費者を繋ぐというのが、外部のプレーヤーの大きな役割だし、つながっただけでは発信力にまだまだ課題が多いが、商品を消費者に届ける力を持っているというのがヤフーのような企業。そこのノウハウが「連携」の大きなミソだと思う。


今日お話にあった産業復興の柱。「産業構造の改革」と「連携」のチャレンジは、東北に限らず、全国の各地域にとっても参考になるのではないでしょうか。

東北復興新聞のサイト
«前の記事へ || 1 | 2 | 3 |...| 627 | 628 | 629 |...| 1066 | 1067 | 1068 || 次の記事へ»

パーソナリティ 鈴村健一

メッセージ、ご意見、プレゼントご応募はこちら

特別番組 LOVE & HOPE ~10年目の春だより

TOKYO FM 特別番組 HANABI

「LOVE&HOPE~防災ハンドブック2015」PDF版ダウンロード配信中

アーカイブ

  • いのちの森
  • Support Our Kid's
  • TOKYO FM
  • JFN