2015年4月6日
4月6日 牧浜の「完熟牡蠣」阿部貴俊さん1
![](/cms/thumbnails/69/69dca24e204d68fd79ca879b51994d27.jpg)
![](/cms/thumbnails/75/759a3650bfc80736f129ae50ea29acd5.jpg)
「将来的にはこの完熟牡蠣をNYのオイスターバーに持っていて美味しいと言わせたい。ネーミングはジャパンブランドではなく、この小さな浜の名前「牧浜(まきのはま)」で牡蠣を世界に広めたい、発信したい。成功させるために日々やっている。夢物語に終わらせないように実現に向けてたどり着かせたい。」
今朝は、宮城県牡鹿半島で、「世界」へ向けた牡蠣作りに取り組む漁師さんのレポートです。
牡鹿半島の小さな集落・牧浜(まきのはま)の牡蠣漁師、阿部貴俊さん。震災後、40代で牡蠣漁師になった「脱サラ漁師」の阿部さんが取り組むのが、牡蠣養殖の常識を変える牡蠣。その名も『完熟牡蠣』です。
◆春に届ける「完熟牡蠣」!
春から初夏にかけて出荷する牡蠣を「完熟牡蠣」と名付けている。冬の一番寒い時期を越した牡蠣は春の暖かくなってきた時に日の光が入る。時化もおさまりが波が穏やかになるので牡蠣が補食する時間が増える。時化だと殻をぴっちり閉じてエサを食べないが穏やかだと半開きにしてエサをとる。雪解け水が山から沢を通り海へ流れ栄養分が海水と混じり合うことで良い環境になってくる。さらに夏に卵を持って抱卵する前の段階、一番栄養を蓄えるのが春から初夏にかけての牡蠣。牡蠣が成熟する一番良いタイミングなので完熟牡蠣と名付けた。昔から漁師たちは春の牡蠣が美味だと知っていて食べていた。初夏にも美味な牡蠣があると知ってほしいし、冬がメインだという日本の常識を変えたいと思っている。
阿部さんの完熟牡蠣、昨年から出荷がスタート。いまもまさに今春の出荷に向け、試行錯誤を続けています。
![](/cms/thumbnails/27/27ff5b9240bcc8fc26045e7eb6e56538.jpg)
◆カップの深い牡蠣を育てるために
どんな牡蠣でも冬を越せば同じ条件になると思う。そんな中でも牡蠣の一番良い環境を作ってあげて育てるという部分においては他の方とは違った養殖になっている。それがどう味に結びつくかはまだ実験段階だし食べ比べもしていないのでなんとも言えないが、それが美味しさになればいいなと。色んなノウハウがあるが、一つ言えるのは、いまはカゴの中に50個牡蠣が入っていて、海水の水と押しを良くするために少なくする作業。どの程度の水深に沈めるか、沈める場所、筏をどこに沈めるかも工夫しながら。カップと言われる牡蠣の下の部分もまっすぐじゃなく深くなっていると、牡蠣のみがぷっくり大きくなる。形状も非常に大きなポイント。ただ育てるのではなくカップの深い牡蠣を育てるのも取り組みの一つとしてやって行こうと思っている。
阿部さんは現在45歳。東京での会社員生活から、震災を経て故郷・牧浜へ戻り、牡蠣漁師になったという経歴の持ち主。阿部さんが牡蠣漁師を選んだ理由などは、明日以降、詳しくお伝えして行きます。