2015年7月9日
7月6日 ふたば未来学園(1)
今週は、この4月、福島県に新しく誕生した高校の話題です。
名前は「福島県立 ふたば未来学園」。
![](/cms/thumbnails/cc/cc912f7591d956161456b50b32405362.jpg)
「ふたば未来学園」は、原発のある福島県双葉郡8町村の要望で、この春設立されました。秋元康さんや山崎直子さんなど、多くの著名人が「応援団」として名前を連ねていることでも話題を集めましたが、その設立の背景には、双葉8町村の教育現場が置かれた、厳しい現状があります。
![](/cms/thumbnails/a0/a05ef4e01e7b89e2d83b99736a2a4dc9.jpg)
お話は、浪江町 教育委員会、教育長の畠山熙一郎さんです。
◆子どもの数、震災当時の1割しか戻っていない
双葉郡8町村に、震災前は小学校が17校あったが、それぞれの避難先で再開できたのが13校。4校が再開できないでいるが、これは全部浪江の小学校になる。中学校は11校あったが、そのうち再開できたのは9校。再開できない2校はやはり浪江の中学校。具体的には、避難先の使っていない学校の校舎をお借りするとか、仮設校舎を建てるということで再開している。再開した学校に通うお子さんの数は、割合で言うと被災当時小学生は8%、中学生が11%。
義務教育は家族とつながり、地域とのつながりが大事だが、その地域自体が大きく変わってしまった。ご家庭にもそれぞれいろいろなご事情があって、子供さんに被災前のように心配りができないということも、場合によってはある。そういういろんな変化の中で、子供たちは一生懸命耐えながら頑張っている。だから学校に来たときだけは、楽しい時間を過ごしてほしいと考えている。
双葉郡の8町村は、それぞれ避難先に仮設の小学校を再開しています。たとえば浪江町の場合、避難先の二本松市に仮設の小学校があります。一方、浪江出身の子供たちは、二本松市の小学校に通うこともできます。どちらの学校に通うか、選択することができるんです。その結果、8町村の平均として、故郷の町村が運営する学校に通うのは、震災当時の1割程度になってしまいました。浪江町の場合はさらに少なく2%ということです。
さらに高校について、双葉郡にある5つの高校は、現在新入生の受け入れを一時中止していて、在校生が卒業したら休校する見通しです。そのため、双葉郡全体の高校生の受け皿として、今回「ふたば未来学園」が誕生しました。
◆自分の可能性を開いていける道筋を作りたい
いろいろな意味で、突然の被災や全町避難など、ハンディを背負ってしまった子供たちなので、そのハンディを長引かせてはいけない、またその子供たちが勉強を通して自分の可能性を開いていけるような、そういう道筋を作りたいと思った。その延長線上に高校も欲しいということになった。それを実現したのが「ふたば未来学園」ということになる。
わたしどものような状況に置かれると、未来がどうなるんだろうということが漠としてある。ただそういう中で、自分のいろんなものに気付いて、それを自分の力に育てていく高校生活であってほしいと思った。できればそれが、決して押し付けではないが、地域の復興に結びついてほしいなという願いがある。ただ、子供たちはすでにそのことは骨身にしみて、そんなことをわたしどもが言わなくても、「将来自分たちが故郷の役に立ちたい」と、まったく自然に言ってくれる。それはおそらく実現していくのかなと思う。
もう一つ、わたし自身もそうだが、こういう(避難)生活をしていて、いろんな方にお世話になりながら、かろうじていろんなことができている。人と人とは支えあうものだというのが、これもまた骨身にしみて子供たちもわかっているんではないかと思う。自分の将来を考えるうえでも、人間的な幅ややさしさ、思いやりというものは、こういった経験をしていないお子さんに比べたら、自覚していないかもしれないけれど、持っているんだろうと思う。それを生き方の中でも大事にしてほしい。
開校に向けては、8町村だけでなく福島県外から定員を超える応募があり、この4月、152名がここで高校生活をスタートしました。半数は自宅から、半数は学校の近くにある寄宿舎から通っています。
名前は「福島県立 ふたば未来学園」。
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「ふたば未来学園」は、原発のある福島県双葉郡8町村の要望で、この春設立されました。秋元康さんや山崎直子さんなど、多くの著名人が「応援団」として名前を連ねていることでも話題を集めましたが、その設立の背景には、双葉8町村の教育現場が置かれた、厳しい現状があります。
![](/cms/thumbnails/a0/a05ef4e01e7b89e2d83b99736a2a4dc9.jpg)
お話は、浪江町 教育委員会、教育長の畠山熙一郎さんです。
◆子どもの数、震災当時の1割しか戻っていない
双葉郡8町村に、震災前は小学校が17校あったが、それぞれの避難先で再開できたのが13校。4校が再開できないでいるが、これは全部浪江の小学校になる。中学校は11校あったが、そのうち再開できたのは9校。再開できない2校はやはり浪江の中学校。具体的には、避難先の使っていない学校の校舎をお借りするとか、仮設校舎を建てるということで再開している。再開した学校に通うお子さんの数は、割合で言うと被災当時小学生は8%、中学生が11%。
義務教育は家族とつながり、地域とのつながりが大事だが、その地域自体が大きく変わってしまった。ご家庭にもそれぞれいろいろなご事情があって、子供さんに被災前のように心配りができないということも、場合によってはある。そういういろんな変化の中で、子供たちは一生懸命耐えながら頑張っている。だから学校に来たときだけは、楽しい時間を過ごしてほしいと考えている。
双葉郡の8町村は、それぞれ避難先に仮設の小学校を再開しています。たとえば浪江町の場合、避難先の二本松市に仮設の小学校があります。一方、浪江出身の子供たちは、二本松市の小学校に通うこともできます。どちらの学校に通うか、選択することができるんです。その結果、8町村の平均として、故郷の町村が運営する学校に通うのは、震災当時の1割程度になってしまいました。浪江町の場合はさらに少なく2%ということです。
さらに高校について、双葉郡にある5つの高校は、現在新入生の受け入れを一時中止していて、在校生が卒業したら休校する見通しです。そのため、双葉郡全体の高校生の受け皿として、今回「ふたば未来学園」が誕生しました。
◆自分の可能性を開いていける道筋を作りたい
いろいろな意味で、突然の被災や全町避難など、ハンディを背負ってしまった子供たちなので、そのハンディを長引かせてはいけない、またその子供たちが勉強を通して自分の可能性を開いていけるような、そういう道筋を作りたいと思った。その延長線上に高校も欲しいということになった。それを実現したのが「ふたば未来学園」ということになる。
わたしどものような状況に置かれると、未来がどうなるんだろうということが漠としてある。ただそういう中で、自分のいろんなものに気付いて、それを自分の力に育てていく高校生活であってほしいと思った。できればそれが、決して押し付けではないが、地域の復興に結びついてほしいなという願いがある。ただ、子供たちはすでにそのことは骨身にしみて、そんなことをわたしどもが言わなくても、「将来自分たちが故郷の役に立ちたい」と、まったく自然に言ってくれる。それはおそらく実現していくのかなと思う。
もう一つ、わたし自身もそうだが、こういう(避難)生活をしていて、いろんな方にお世話になりながら、かろうじていろんなことができている。人と人とは支えあうものだというのが、これもまた骨身にしみて子供たちもわかっているんではないかと思う。自分の将来を考えるうえでも、人間的な幅ややさしさ、思いやりというものは、こういった経験をしていないお子さんに比べたら、自覚していないかもしれないけれど、持っているんだろうと思う。それを生き方の中でも大事にしてほしい。
開校に向けては、8町村だけでなく福島県外から定員を超える応募があり、この4月、152名がここで高校生活をスタートしました。半数は自宅から、半数は学校の近くにある寄宿舎から通っています。